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この学校に来た理由

 航空自衛隊のパイロットを夢見る人間は数多くいても、その大半は夢を諦める事になる。現在位置で言えば、恐らく防衛大学校の航空要員は、パイロットに一番近いとも言える。

 航空自衛隊には、航空学生と言うパイロットを目指すカテゴリーがあるが、防衛大学校出身のエリートパイロットには、流石の航空学生も敵わないと言う。そう言った恵まれた状況にあって、航空要員になる事が出来た人間であると言う自覚も天野は目覚めていた。

 勿論、己の未来について悩む事もあった。だが、その度に支えてくれたのは、同じ航空要員となった同期であり、先輩であり、教官や教授達であった。自分の将来に不安があるのは、防衛大学校学生も同じ事である。

 ある教官はこう天野に言った。

 「天野学生。君の様な学生が道に迷っているとするならば、この学校に来た理由を考えさせて、スランプを脱出させるだろう。要するに我々は道標なのだよ。分からない事は誰であっても聞くべきであるし、その為のスタッフだろう。君らは、これからの日本の防人の中核を担う人材だ。どんな苦しみも悩みも共有出来るものならば共有しよう。」

 ある先輩はこう言う。

 「天野学生は、きっともうやりたい事が決まっているから、考えた事も無いのかも知れないが、この学校に来る半数の人間は、やりたい事が明確で、防衛大学校に来る。では、残りの半数の人間はどうなっているか?実は何も決めていないんだ。自分が将来どんな事をやりたいと言うビジョンも無いまま、ただ何となく防衛大学校に来る者もいる。それでも、卒業する頃には道が定まってくる。この学校にはそう言った漠然とした流される様な人間でも、意思決定を出来る様なシステムがある。だから何も不安に感じる必要はない。」

 と。防衛大学校と言う場所はつまりは、そう言う場所なのである。多くの人間により悩める若者が出来るだけ悩まなくて済むように成っているシステムが出来上がっているのである。

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