防衛大学校卒業者とは言えども
是非とも、多くの人に読まれる事を望む。防衛大学校学生の責任は、一般の大学生とは大きく異なる。自分の命をかけて国を守る為には、大なり小なりの覚悟が必要である。若いのに立派な志であると感心するばかりであるが、防衛大学校学生は、ロボットではない。彼等は血も涙もある人の子であり、彼等が腹をくくるまでにはそれなりの葛藤や心の中での戦いがある。勿論、人前ではそんな素振りは一つも見せない。顔に出す事はしないかも知れないが、彼等の心の中はグチャグチャであるはずだ。
心の中で整理して、一つ一つ乗り越えて行くしか他に方法はない。夢の為、目標の為、防衛大学校学生は、あえて自ら厳しい道を選んだのである。自衛隊の定義すらあやしいにも関わらず、現場を任せられる彼等は腹をくくっている。これ等は皮肉と言って片付けてしまってはならない。残念ながら、現状の自衛隊においては、いくら出世しても、内閣総理大臣以上に権限のある最高司令官のポストは存在しない。
それが分かっていても、防衛大学校学生は、日本国民を守り、我が国の平和を守ろうとしているのだから、立派なものである。防衛大学校が人気なのは、待遇が良いからと言う事もあるであろうし、何よりも自衛隊の幹部としての出世の道が約束されていると言う、安定志向の強い昨今の若者には魅力的な場所に見えるのかもしれない。しかし、そうした気持ちで防衛大学校に入るのであれば、やめておいた方が良いと私なら言う。
そんな生易しいものではない事は、これまでに綴って来た通りである。防衛大学校学生になるならば、普通のキャンパスライフを送る事は、先ず諦めなければならず、犠牲にするのはそれだけではない。確かに防衛大学校卒業者は、出世が約束されているが、自動出世や年功序列の様な民間会社の様なシステムを自衛隊は持っていない。完全なる実力主義の世界であり、防衛大学校卒業者だからと言って、特別視される事はない。無論、防衛大学校卒業者の努力次第では出世の最短距離にいる事に間違いはない。