自主自律の精神
出世する事も大切な事かも知れないが、本当に必要とされるべきは、国家国民を防衛する為に、何の躊躇いや迷いもなく行動する事の出来る人間であり、防衛大学校学生はそうあるべきである。自分の事よりも日本の国益の為に身を賭すという事は、誰にでも出来る事ではない。選ばれし者の責務=ノブレス・オブリジェの真骨頂はそこにある。防衛大学校学生は、自衛隊の幹部に成る為だけに入校したのかもしれない。
目指すべき所が出世や自分が偉く成る為だけにあるとすれば、そういった人間は幹部自衛官に相応しくない。人間は誰しもがそう言う目先の利益に意識が集中してしまいがちだが、幹部自衛官として国に奉仕する人間がその様な生易しい安価な気持ちでは困る。防衛大学校学生としてどんな4年間を過ごすかと言う事は、個人の自由であり専権事項である。何を学ぼうが、何を考えるかは、防衛大学校学生になる人間に、こう言った事についてああしろこうしろとはイチイチ言わない。
押さえておいて欲しい最小限のポイント位はあるのかもしれないが、はっきり言って防衛大学校学生に成れる能力のある人間ならば言うまでもない事である。防衛大学校では、自主自律の精神として自分の事は自分でやると言う伝統が生きている。起居を共にする仲間や先輩、後輩であっても私事を申し付けるのはタブーである。これは部隊勤務になるとよく分かる習慣である。
こうした、しっかりとした教育の中で伸び伸びと学べる防衛大学校学生は幸せであろう。しかしその先に待っているのは決して優しい楽園ではない。しかし、税金を投じてでも彼等には学んでもらう必要がある。防衛大学校学生が学ぶ事には全て、賭けられた額の何倍もの価値となり跳ね返って来るからである。決して彼等は税金泥棒十言われる様に努力を怠ってはならない。自衛官として何が大切で、その為には何を一生懸命にやらなくてはいけないかと言う事を考える必要がある。