国防論や思想・信条
防衛大学校を卒業して直ぐに部隊配置されず、1年間の幹部候補生学校での教育を経て初めて各部隊に配置される事は紹介している通りである。防衛大学校卒業者は、陸海空各幹部候補生に任命され、幹部候補生学校に入学する。ここを出て初めて幹部自衛官になれる。防衛大学校の4年と合算すると、約5年間をかけて幹部教育が修了する事になる。この5年間こそが、防衛大学校学生に与えられたその人生で唯一無二の養成期間である。この機会を除いては防衛大学校卒業者には教育期間はない。
だからこそ、幹部自衛官に成る前にあらゆる葛藤とは、決別しておかなければならないとも言える。その作業を終えなければ先に進めない。防衛大学校学生には等しく、国防や安全保障について悩み、苦しみ、それなりの結論を出しているからこそ、現場で活躍出来るのである。その答えが100点でなくとも、そうやって折り合いをつける事を学習し覚えておく事も重要である。理想論や希望的観測だけで、務まるような甘い世界ではない事だけは確かである。
防衛大学校学生はロボットではない。思想・信条だって持っているし、それぞれ思う事もあるだろう。防衛大学校学生には、一般人には無い視点から物事を見渡す能力もある。若くして、日本国の防衛を背負う事になった人間らしく、見習うべき士気の高さを持っている事もまた事実である。しかし、その一方で、偏った考え方や、中立公正を欠いた思想を持つ者もいないわけではない。防衛大学校学生にも、ある程度の自由が保障される必要はあるかもしれないが、それはあくまで良識と規律とルールの範囲内に留め無ければならないと言う条件が付く。
防衛大学校学生は一般人とは立場が異なると言う認識も欠かせない。防衛大学校学生が、将来幹部自衛官になった時に、そこで左右に意見がぐらついてしまうと、部隊だけではなく日本の自衛隊ってその程度のメンタルしかないの?と言うレールが敷かれてしまい兼ねない。それで困るのは日本国民だ。自衛隊以上に日本で戦争を遂行出来るような、実力組織は存在しないからである。