あったかもしれない未来
あったかもしれないIFストーリーです。
読まなくても大丈夫ですが、読んだらもっと人形たちのことが知れるかも…?
赤の部屋で478に出会ったとき。
もし、478の攻撃が強く、ランタンを手放してしまっていたら…。
478は、倒れた982を横目に、落ちたランタンを拾い、急いで部屋を出て行きました。
982が気が付いた時には、もうランタンも、478もおらず、ポツンと一人で部屋の中にいます。
沸々と怒りが湧き上がってくる982は、478を絶対に許さないと思いました。
そうこうしているうちに、部屋が少しずつ暗くなっていきます。
982はそのことに戸惑い、声を上げます。
「待って!暗くならないで!お願い、誰かいないの!返事をして!!」
いくら叫んでも返事は帰ってきません。
さらに部屋は暗くなっていきます。
「お願い、蝶でもいいから、誰か来て…。暗いのは嫌だ…。さみしいしいよう。」
982はポロポロと涙をこぼしますが、蝶も来てくれません。
部屋は、完全に真っ暗になり、982は気を失ってしまいました。
“982”と刻まれた番号が人形から消えていきます。
ほかの倒れていた人形と同じように、982もただの人形に戻ってしまいました。
「ああ、彼女は試練を超えられなかったんだね。仕方がない、試練を超えられなかったものは、また最初からやり直しだ。」
部屋の中に、どこからか声が響きました。
そして、部屋の中に蝶が現れます。
それは、982だった魂でした。
「さあ、元の部屋へお戻り。また新しい子が来るまで、しばらくの間待ってるんだよ。」
その言葉を聞いた蝶は、うなずき、その部屋から消えてしまいました。
「次に試練を受ける子が来たね。今度の子は乗り越えられるといいけど。」
声は消え、赤色の部屋には静寂が戻りました。
え?478はどうなったのかって?
478は、助けたいものを持って行っていなかったんです。
試練を乗り越えていません。
だから、982と同じように、彼もまたやり直しとなったのでした。