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人形作りの人形  作者: 天桜犀 海陽
7/8

黒色の部屋

通り抜けた先は、真っ暗な部屋でした。

頼りになるのは、手元にあるランタンと、目の前を飛んでいく蝶だけです。

あまりの暗さに怖くなった982は、蝶に声を掛けます。


「待って!もう少しゆっくり、近くで飛んで!」


しかし、蝶は982の言葉には何も返さず、そのままどんどん進んでいきます。


しばらくずっと歩いていくと、目の前で蝶が止まりました。

こちらを振り返り、ただ待っています。


「どうしたの?何が言いたいの?」


蝶はなにも返事をしません。

982はだんだんと怖さが増していきます。


「お願い!何か答えてよ!」


蝶は返事をしませんでした。

982は、蝶に何かあったのではと思い、ランタンを掲げ蝶の様子をもっと詳しく見ようとしました。

すると、ランタンに入っていた炎が蝶のもとへ飛んでいき、蝶はきれいな炎をまとう七色の蝶になりました。


「すごい、きれい。」


982はただただ感動します。

蝶のことをじっと見ていると、蝶が982に向かって飛んできます。

それを982は黙って受け入れました。

体の中にすうっと蝶が吸い込まれていきました。


部屋には明かりはもうありません。

真っ暗の部屋で一人、982はしゃがんで座り込みました。


そして、982はそのまま眠りにつきました。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



10月18日某病院



「おぎゃあ、おぎゃあ!」


分娩室で、一人の子供が誕生した。


「九夜城さん!元気な女の子ですよ!」

「よかった。元気に生まれてきてくれてありがとう。」


母親は、その女の子を抱きかかえました。


「もう名前は決まってるんですか?」

「はい。この子の名前は“双葉”、“九夜城 双葉”です。」


そうして、この世に九夜城 双葉が誕生した。


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