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やったか!?

4月1日


 ッターン!


「やったか!?」


「うるさい。少し黙っててください」


 舞の予感は的中した。高旗はやって来た、舞の隣に。


「パイセン酷いッスね。繁忙期の税務課って殺伐としてるって聞いてましたけど、ちょっとカルシウム足りてないんじゃないッスか?」


「……黙れ、仕事しろ」


「それが、もう終わっちゃったんスよね、貰った分」


「は? いくら扶養チェックとは言えそんな早い訳は……」


 扶養。税金を安くする効果を持つ所得控除の一つ。誰が誰を扶養しているか結び付ける作業は扶養チェックと呼ばれ、高度な知識を必要としない分、異動してきたばかりの職員や会計年度任用職員に取り敢えず割り振られる仕事である。


「何この付箋の数は」


「え? だってパイセン、解らねーところに付箋を付けとけって言ってたでしょ?」


「パイセンやめろ」


「じゃあ舞さん」


 舞は大きくため息をついた。


「確かに付箋付けろとは言ったけど、これ半分くらい付いてるよね」


「もっと付いてますよ」


「偉そうに言ってんじゃねえ。何でこうなった」


「だって解らねーんスもん。俺、異動してきたばっかスよ?」


「教えたよね? 前年と比較すれば大体わかると。データ上表示されてない場合はイメージ見た? ほら! 今表示されてる人もイメージ見れば扶養者名が書いてあるじゃん」


「あ、マジッスか。サーセン」


「もう一度、全部やり直して」


「え、マジすか? 全部? 手伝ってくれないんスか?」


「みんなそれより大変なことやってるの」


「やべえ。税務課マジやべえ。これ終わんなくないスか」


「だから皆残業が続いているんでしょう」


「参ったなあ。俺、今日この後カノジョと約束してんスよ。残業、無理ッス」


「は?」


「まあまあ舞ちゃん、落ち着いて。それよりも高旗くん、窓口にお客様が証明書を取りに来たみたい。覚えてもらいたいから一緒に出てもらえる?」


「あ、小浮気さん。ハイ、解りました。よろしくお願いします」


「よろしくね。あと、言葉遣いは気をつけてね。市民の方に不快感を与えないように。できる?」


「ハイ! 任せてください!」


 そう元気良く敬礼して、高旗は小浮気と共に窓口へ出て行った。


「なんで態度が違うんだよ、私と」




「いやあ、緊張したッス」


 窓口から戻ってきた高旗は尻をドカリと椅子に落とした。


「まあ、初めての窓口じゃあね」


「いや、小浮気さんが美人過ぎて」


「ああそう」

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