02 最初の目標
翌日。
俺は今後のことについて、頭を悩ませていた。
「うーん、実力者たちと戦うには、まず何をすればいいんだ?」
昨日の戦いで、第二学院の生徒には問題なく勝てることは分かった。
次は第一学院の生徒と戦ってみたい。
間違いなくヌーイを上回る強敵が揃っているはずだからな。
「となると、一番手っ取り早いのは第一学院に入ることか」
そうすれば、普段の講義などを含め、戦える機会が圧倒的に増えるはず。
では、第一学院に入るには何をすればいいのか。
一つだけ、俺は心当たりがあった。
年に一度ある進級試験。
第二学院の場合、試験はほとんど形だけで、まず間違いなく全員が進級できる。
いま重要なのは成績上位者に与えられる、第一学院への転入試験資格だ。
その資格を手に入れ、転入試験を突破すれば、無事に第一学院に入ることができ、様々な強者と戦う機会が生まれることだろう。
ただ、そのためには一つだけ大きな問題があった。
◇◆◇
「はあ? お前が成績上位者は無理だろ、実技の点数が0点じゃな」
職員室で転入試験のことについて告げると、担任のリームが渋い顔でそう言った。
彼はヌーイとの模擬戦の場にはいなかったため、俺の今の実力を知らない。
だからこそ出た言葉だと一蹴できれば簡単だが、一概にそうとも言えなかった。
というのも、進級試験の順位は学科と実技の二つから決まる。
割合は学科:実技=3:7。
学科は問題ないが、俺は実技の点数が低い。
というか0だ。
実技は定められた魔術の中から自分の得意なものをいくつか使用し、その完成度で点数がつけられる。
魔術が使えない俺は、そもそも最低基準に達していない。
にもかかわらず、成績上位者になるためには9割の点数を取らなくてはいけない。
この問題を解決しないことには先に進めない。
しかし俺は、そのための手段があることはもう知っている。
「いや、一つだけあるはずです。国立ギルドから学院に提供される依頼を達成するという方法が。それを利用します」
進級試験には加点方式が存在する。
国立ギルドから提供される依頼を達成すると、その難易度に応じた点数が加算される。
Dランクは10点、Cランクは40点、Bランクは80点、そしてAランクは200点。
学科と実技の合計点が100点なため、Bランク以上の依頼を達成すれば、その時点で主席はほぼ確定することになる。
今の俺の実力ならば、問題なくBランクは達成できるはずだ。
しかし、俺の言葉を聞いたリームが顔をしかめる。
「Dランク下位の実力しかないお前じゃ、どう考えても無理だろ」
「やってみないことには分かりませんよ」
「ああそうか。なら勝手にしてくれ」
「そうします」
会話を終え、職員室を後にする。
リームだけではなく、他の教師たちからの視線も背中に突き刺さる。
お前には無理だと、そんな意思が込められているような気がした。
「っ」
「? ……ああ」
別の視線を感じたため見ると、取り巻きと一緒にいるヌーイが驚いたようにこちらを見ていた。
あの模擬戦以降、俺を避けているようだったが、偶然だろうか。
言葉を投げかける価値もないと隣を通り過ぎようとすると、ヌーイは小さく呟く。
「覚えてやがれ、後悔させてやる」
今この場でどういうつもりか問いただした方がいいかとも考えたが、こいつの実力ではそう大したことはできないだろう。
そう考え、俺はその場を後にするのだった。




