とある異世界バーテンダーのこぼれ話 赤ずきんと狼女の散歩録
少女キャラクターの話し方が難しいよ....(´;ω;`)
パンッッッ!!! バンッッッ!!
銃声が聞こえる。2発撃った音が聞こえる。
グッシャッッッ!!! キャインッッッ!! ボゴッッッ!!! ドビョンッッッッ!!!
肉がえぐれて潰れる音と獲物の悲鳴らしきものが聞こえ、さらは獲物の何かが弾けるような音が聞こえた...。......この音は全て私が行った結果起こったものだということを私は知っている...。
バンッッ!! グッシャッッッ!!! キャインッッ!!! バンッ!! グシャッッ!!
キャインッ!! ボゴッ!! ボゴッ!! ドサッッッ!! ドッサン!!!
.......今、二匹の獲物を撃ち殺し、二匹の獲物の頭が弾けて、粘液質の液体とピンク色の欠片がバラバラに散らばって飛び散るのが見えた。
...グチャリッッ!! ピンク色の塊が床に落ちて潰れるのが聞こえた.....。他の欠片は壁にインクのように飛び散って、一種の模様のようなものが壁に塗られた後が見られる..............。
まあ、これさっき、私が銃で犬頭吹っ飛ばしたときにやってしまったんだが....。これ、村人から壁修復代、請求されないよね....?
そう私が考えていると、こちらの様子を伺う二つの視線と、こちらに向かってくる獣独自の荒い息遣いと足音が聞こえてきた......。今宵の夜はどうやら退屈しないで済みそうだ...。
...私は自前で持っている猟銃に弾を数発込めて、逸走に何もない空間に向けて、地を蹴り走り出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(数分後.....)
どこだ!! どこに行った!? あの娘はどこだ??!! 探せ!! 探して食い殺せ!!! 見つけ次第、犯しても構わん!!! 同胞を無残な姿にした償いだ!!! 見つけ次第、食い殺してやる!!! どこだ!! どこに行きやがった!?
....数匹のオオカミがバラバラに夜の霧中の町中を疾走する。あるものは同胞を殺された恨みを晴らすために。あるものはただただ夕食の獲物を食い殺すために、またあるものはただただ獲物を甚振って自身が楽しむために今宵の獲物となる娘を追っていた.....。
ガサリッッ!!! ガタンッッ!!
どこかで布切れがすれる音と、箱らしき障害物が倒れる音がした......。
オレも含め、同胞たちが耳を傾け、音がした方向に進路を変更しようと迂回するために走り出した。
コッチダッッッ!!! 今すぐに向かい食い殺せッッッ!!!
オレの咆哮が街中の路道に響き渡る.........。何度も同胞たちを導いてきた咆哮だ。これで怯まぬ獲物など、この世には存在しない....!!
リーダー格のオオカミはそう気持ちを昂らせて街中を走り回った。しかし、走れど走れども霧が濃くて前もよく見えず、ただただ霧の湿ったような臭いがするだけだ.....。
"....どうなっている!?なぜ、アイツの臭いがしない!!?アイツはこの街中に入ったのは確かに見た!!だが、この霧はなんだ!?いくらなんでもこの霧は異常だ....!??”
リーダー格としてオレは同胞に遠吠えで危険信号を出した....。暫くして、同胞から返事が入る...。
どうやら、あちらも件の少女を見つけられずに焦っているらしい....。オレは適格に指示を出していく。獲物を追い詰めるのには策が必要だ...。あの少女は大物だ....。だが、獲れぬ獲物ではない......!!
...オレ達はこの霧の中で少女を的確に追い詰めていった.....。まあ、この街は来たのが初めてではない...。そのためか俺たちの“狩り“”は効率的に進んでいた...。初めは遊ぶためにあちこちの場所を走り回っていた同胞からの連絡で判明した...。
その同胞が街中の脇の方に追い込むと意気込んでいたので、ソイツに任せてオレ達は目的の場所に向かった...。
オレ達が走り回っている間にも少女の逃げ道は絶たれていく.....。まだまだ、これは序の口だ...。そうオレは思い、獲物を的確に追い詰めるがごとく、街中を駆け回った....。
...そして、やっとだ。やっとあの娘を追い詰めることに成功した...。目の前にいる娘は息も絶え絶えの様子で服や肉体にもかなり多くの切り裂かれたような傷を作りながら、こちらを睨んできている。
...たぶん、同胞たちがなんとか獲物を弱らせるために、噛みついたり引き裂いたりを繰り返したのだろう。オレは舌で自身の右頬内をなめずり、同胞たちに死なないように噛みつくようにと伝達する。
...しかし、周りに集まった同胞たちはオレの命令が聞こえていないのか、ピクリとも動こうとしない。何が起こったのかわからなかったオレはもう一度同胞たちに命令するために吠えてみる。だが、同胞たちは動かなかった....。いや、動く事すら出来ていなかった...。許されなかった、というべきなのか.......。
同胞の一匹がオレを見た。ソイツは獲物を捕らえる際に甚振るのが趣味だった奴で、どうしようもなく、ゲスイ態度をとっていたやつだったが、今ではソイツの瞳が恐怖に塗られている....。そのまま、ソイツの瞳から目が離せないオレは次に衝撃的なものを目にした。
.........あの娘の姿がいつの間にかなくなっていたのだ.....。だが、オレは同胞の瞳から目がそらせないでいた.....。同胞が何かを伝えたがっているようだ....。次の瞬間、同胞の首が音もたてずにいきなり大きく膨張し、原型もとどめなくなった状態で“パンッ!!”と大きな音を立てて、破裂した...。
.......そこからは地獄だった。ほとんどの同胞たちはあの娘に頭をぐちゃぐちゃにされて、脳漿が飛び散っていた....。
今まで横で逃げていた同胞も頭に銃弾を受けて、首から上がない.....。その同胞の死体の近くの壁にその同胞の脳漿と血痕が飛び散っている.........。こんなはずではなかった....!!!!
こんなはずではなかった....!!!オレたちはこの牙で獲物をしとめてオレたちの口に獲物の血肉があるはずだったのだ.....!!!なぜだ...!?オレは何を間違えたというのだ...!??
....気づいたらオレの方が追い詰められていた....。後ろから正体不明の人の形をした化け物が近付いてくる...。オレは一目散に逃げる....。
同胞がいないオレにはもうたよるべきものがなかったが....、それでも死にたくなかったから逃げた....。次の瞬間、目の前に街の出口に当たる門が開いているのが見えた。
“....ようやく、ここからおさらばできる!!” オレはそう思い、一目散に駆けた。しかし、横から強い体当たりをされた。オレは体勢を崩して、再び走るために体勢を立て直そうとしたが、もう遅かった......。
.......気づいたら、俺の目の前には大きな狼の顔があり、オレの首元めがけて、牙を刺した.....。オレ自身の首元から噴き出す血飛沫を最後の光景としてオレ自身は捉えることとなった........。
~~~~数分後~~~~~~~
「いやあ~~~~~~~....。正直、あの時はウル姉さんがいてくれてよかったよ!!!ほんとっ~~~~~うに死ぬとこだったわ~~~~~。」
「......はあ..、バカ話してないで前見て歩け.....。転ぶぞ....。」
朝明けの森の中で楽しそうに話す女2人が街から出てきた。魔狼退治の次の日に出てきたので、徹夜明けの仕事を終えて、ピクニックに行くような白いワンピースを着た赤い頭巾をかぶっている見た目16歳くらいに見える女の子は楽しそうに隣にいる女性に話しかけている。かたや隣の女性は見た目20代前後でぼろ布になった外套とその中に赤いコートを着ている。
....だが、その頭の上からは三角のケモ耳がピンッと立っていた。赤ずきんのフードもよく見てみると、フードの横にケモミミが付いている。....そう、二人は普通の人間ではない。この世界における獣人となる人種である......。ただ、この二人は人種でもないのだが......。
「ねえっ~~~~~~♪ウル姉!ウル姉!!今度さ。この街に行って食べ歩きしない!?おじさんが教えてくれた露天商の特製大飴玉とかおいしそうだよ?!」
赤いずきんをかぶった少女は興奮した様子で今にでも隣にいる姉と呼ばれる人物にとびかかりそうなぐらいの距離を詰めて、目を爛々とひとしきり輝かせた様子で弾けるような笑顔で言ってきた。
「....はいはい。わかった、わかった。今度はその町目指して歩いていこう....。えっ~~~と、
座標は....、...遠いな、これ...。マジでそこに行くのか?」
ウル姉と呼ばれた女性は背中にあるリュックから商人からもらった地図を取り出して、座標を測ったが、行くには困難である、と苦い顔で言った。そんな姉の様子に少女は花を大きく膨らませ、鼻息が聞こえそうな距離まで近づき、目をランランと輝かせながらも、なおも畳みかける。
「.....おいしいものをたらふく食べる!!!そして、それを毎日食えるところに住む!!!それが私たちの目指している町でしょう、姉さん!?」
「....いや、違うから。私が言ったことはおいしい物が食えるところも確かに条件の一つにはあげたが、それだけだと、おいしければ何でもいいということになっちまうでしょうが.....。」
ウル姉と呼ばれた人物は頭の上にあるケモ耳をペタンと横に倒しながら、ハアッ、と溜息をつく。こころなしか,ウル姉さんと呼ばれている人物についている後ろにある尻尾もダラリと下に元気がなさそうに下がっている。
「...えっ~~~~~~~。つまんない!!つまんない!!つまんない!!つまらなっ~~~っい~~~!!どうして、そう考えるの?!それじゃあ、何のために生きているの!?
....あんまり、考えても肩こるし、疲れるだけだよ。姉さん。....うん。ここはひとつ悪い狼さんを狩っちゃうか♪」
赤いずきんをかぶった少女は眼の奥にある光を消しながら、にこやかな顔で冷ややかな言葉を言う。
「おい、やめろ。.....私は生き物を狩るのが苦手だっていうことはお前も周知の事実だろうが...。それとも忘れたととぼけるつもり?」
ウル姉さんと呼ばれた人物は今にでも森の中を駆けていきそうな赤ずきんの右肩をポンポンッと叩きながら宥める。
「...むっ~~~~ッ!!仕方ない。ここいらで狼狩りは暫く抑えるとしますか.....。もしかしたら、私たちの同胞も来れなくなっちゃうもんね.....。」
赤いずきんをかぶった少女は頬を膨らませながら不満げな様子で言った。
.....正直、ここで怒りをぶちまけられたら迷惑千万極まりないとウル姉と呼ばれた人物は思いながらも溜息を洩らしながら自分たちの歩む足を止めなかった。
この先に少女二人に待ち受けるのは困難な旅路であり、世界中に散らばった同胞たちを見つけるという至難の業を極める旅であるためか、理解するのが難しく、漠然とした旅であることは確かだ。赤いずきんを身に着けた少女は分かっていないようだが.....。
「......もおっ~~~~~~!!ウル姉、落ち込みすぎだって!!難しい旅なのも分かるけど、それらを楽しみながらやんないと損じゃん♪
....それにこういう機会、私達が住んでいた森では一回もなかったし、楽しまないと絶対に損だってば♪」
赤い頭巾をかぶった少女は和やかな表情でそうにこやかに笑いかけると自身の姉であるウル姉に背後から抱き着きながらそう言った。
「.....はあッ~~~......。先行きが心配になってきた....。念のため、次の町に着いたら教会で“銭ゲバ聖女”とさぼりたがりなアラジンの情報をもらうか.....。」
「....えっ??何っ?....浮気?浮気なの、お姉ちゃん?こんな可愛い妹がいるというのに他の雌犬と浮気なの??しかも、金にしか目がない雌犬といつの間に交際していたの、お姉ちゃん??......よし、気が変わった...。狼狩りを犬狩りに路線変更する....。」
「いや...、私、女同士で交際する趣味持ってないんだが....?、....はあっ...、よし、一旦、お前が両腕につけている天狼ノ鉤爪の装備を外そうか.....。それといい加減、眼のハイライトを元に戻せ。光がなくなってて正直怖いよ....。えっ~~~っじゃないよ。なに笑顔で撲殺する気満々なんだよ。いろいろとおかしいだろうが、おい。
....いやいや、だから装備外せって言ってんだろ?!なに、付け直して、さらに風属性の魔力溜めることにしてんだよ....。
えっ??なに?あの女に向けて、大風玉発射するため??....はあ、仮に発射するのはいいとしても、人様に迷惑かけたら駄目だろうが....。そもそもあの女がいるところまで絶対に届く自身あるのか、それ??」
「....絶対、届くもんっっっ!!!見てろっっ、あの雌犬に....!!モガモガッッ!!?」
「....はあっ...。それはマジで勘弁してくれ...。一旦拘束するわな。お前。」
そうして、ウル姉と呼ばれている人物は縄で赤い頭巾をかぶった少女を縛りあげ、口にも縄を付けた。
.....正直、話がうっとうしくなると感じた彼女は少女を拘束することによって暴走を止めることにしたのだ....。これには彼女の経験上、自身の妹が対話では止まらないだろうな、という判断からなった結果であるとも言えるが...。
彼女は何度かつく溜息を吐き、空を見上げる。今日は洗濯物が干せるほどの快晴だ....。
日の光が温かく感じる....。故郷の森の木漏れ日を思い出す....。彼女はそう思いながら、しばらくの間、近くにあった切り株に腰掛けながら、目を瞑った....。
.......これは、とある赤い頭巾の少女とその姉にあたる一匹の聖獣の断片の物語。普段の童話では語られない彼女たちの日常の物語.....。そして......。
「......唯一、私が知りえる彼女たちの素顔である一面を隙間見た物語....。なんてね....。まあ、これは“とある友人”から聞いた話にしか過ぎないから、実質、彼女の素顔は分かりにくいのだけれども....。君が楽しんでいただけたようで何よりだ。...君には正直に彼女たちの物語と性格、印象を話した甲斐があるよ....。なあに、心配はいらないさ。だって....。」
“君は彼らとの間に確かな絆があるんだから....。なあ、そうだろう...。エルライマ帝国の竜神皇よ。”
とある世界のどこかで歯車がカチリッ、と鳴ったような音がした....。
気が向いたら、銭ゲバ聖女とめんどくさがりな賢者の話も書いていこうと思います。
見てくださった方、本当にありがとうございます。
ご指摘とかももらえると嬉しいので出来れば、よろしくお願いいたします。