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影闘士 ―Shadow Slayer―  作者: 玉子川ペン子
第三章
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番外編2 ある者達の記録

 ある町に、絵を描いたり工作をするのが得意な男の子がいました。男の子はマンガの模写が上手で、同級生に何かのキャラクターを描いてほしいと、よく頼まれていました。

ですが、男の子が小学校高学年になると、上手な絵を描いても工作を作っても、誰かの真似をしたのではないかと疑われるようになりました。男の子は必死に否定しました。

 そして男の子が中学生になった時、事件が起きました。ある日、男の子は同級生の女の子から、君の絵が上手だから、少し真似をさせてほしいと言われました。男の子は少しだけなら、と了承しました。

 絵が学校の廊下に張り出された時、誰もが気づきました。男の子とその女の子の絵が全く同じだということに。女の子は泣きながら男の子に真似をされたと言いました。男の子は違うと必死に否定しましたが、男の子の模倣の上手さは同級生の誰もが知っていたので、男の子が悪いとされました。

 男の子はその日から、いじめられるようになりました。やがて学校に行くことも出来なくなりました。ずっと自分の部屋に籠って、何かの模写や模倣をするようになりました。

しばらく引きこもっていた男の子は、両親にこれ以上心配をかけたくないと、中学校に再び通うようになりました。そして何とか中学校を卒業して高校に入学しました。

ですが、高校でも根も葉もない噂が広がっていて、またいじめられるようになりました。それでも両親に迷惑をかけたくないと、我慢しました。

 いじめで体も心もぼろぼろになったある日、男の子は影世界に引きずり込まれました。



 ある町に、予知夢を毎日見る女の子がいました。女の子が見た夢は、その次の日に必ず現実で起こりました。女の子は両親や近所の人に、夢で見たことを話して、それが現実で起こると、みんなからすごいと言われました。女の子は得意げになりました。

 ある日、女の子は家の近所で交通事故が起きる夢を見ました。女の子は怖くて誰にも話しませんでした。交通事故は現実で起こりました。女の子は初めて自分の見る予知夢が嫌いになりました。

 それから女の子は悪いことが起こる夢しか見なくなりました。女の子はもう誰にも夢のことを話さなくなりました。そして女の子が高校生になったある日、女の子は自分の両親が影鬼に殺される夢を見ました。女の子は夢のことを両親に話しましたが、子どもの頃のように相手にはしてくれません。両親はその日、影鬼に殺されました。

 両親が影鬼に殺されてから数日後、女の子は影世界に引きずり込まれました。



 ある町に、とても頭の良い双子がいました。勉強するのが大好きで、小学生になる頃には高校の勉強が分かるほどになり、天才児として有名になりました。双子の母はとても誇らしいと思っていました。

 ですが、双子の知識はそこで留まらず、やがて大学の勉強まで分かるようになりました。母は次第に双子に恐怖を覚えるようになりました。母は双子に子どもらしさを強要するようになりました。それでも双子は知識を蓄えることをやめず、難しい迷路まで作るようになりました。

 それから母は双子に対して暴力を振るうようになりました。双子は母がなぜ暴力を振るうのか分かりませんでした。

 ある日、小学校に登校していた双子は、影世界に引きずり込まれました。



 ある町に、勘のいい刑事がいました。取り調べでは容疑者の過去をまるで見てきたように言って、容疑者の誰もが刑事を怖がりました。そして容疑者だけでなく、仲間の刑事達もその刑事を怖がりました。

 あいつは人の心を読める化け物なんだと、影でいつも言われていることを刑事は知っていましたが、彼らを怒ることはありませんでした。

 刑事はずっと孤独でした。刑事の噂は広がり、誰からも気味悪がられました。刑事は気にしていないように装っていましたが、心はかなり傷ついていました。

 ある日、警察署から自宅に帰る途中、刑事は影世界に引きずり込まれました。



 ある町に、とても運の良い女の子がいました。当たりつきアイスは食べる度に当たり、神社のくじ引きでは毎回大吉でした。女の子の運の良さは近所でも評判で、女の子に宝くじを買ってもらえば、確実に当たるとも言われていました。

 ですが、女の子が中学生になった頃、運の良さには代償があることに気づきました。自分に何か良いことがあると、誰かに不幸が訪れると知ったのです。女の子は誰にも不幸が訪れないように、何も願わなくなりました。

 高校生になった女の子は、学校から帰る途中、商店街の抽選の一等で旅行券が当たることを知りました。女の子は家族と旅行に行きたいと思い、抽選をしました。すると見事に一等が当たりました。

 女の子は喜び、旅行券をもらうとすぐに自宅に帰りました。ですが、女の子の家族は交通事故に遭って亡くなっていました。

 女の子は自分の運の良さの代償が家族に行ってしまったことに気づきました。女の子は自分を恨み、悲しみました。

 家族が亡くなった翌日、女の子は影世界に引きずり込まれました。



 ある村に、美しい髪を持つ女性がいました。女性は貴族の男性に恋をしますが、身分が違く、話すことも出来ませんでした。

 ある日、女性は貴族の男性の部下である男性達から、その男性と二人きりで会えるようにしようと言われました。女性はとても喜びました。ですが、それは男性達の嘘でした。

 男性達は女性を人気のいないところに誘い出すと、女性に暴力を振るいました。女性は心と体に消えることのない傷を負いました。女性はあまりにも身分が低いので、男性達からされたことを、誰にも訴えることが出来ませんでした。

 女性は貴族の男性にはもう会えないと、泣きながら誰もいない道を歩いていました。

 自宅が遠くに見えた時、女性は影世界に引きずり込まれました。


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