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影闘士 ―Shadow Slayer―  作者: 玉子川ペン子
第三章
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第八十五話 その目的

 光流という名の影闘士の襲撃から数日が経過し、拓士は完全に回復していた。その間にも若い男が数人消えるという事件は続いていた。未來の能力でそれに気づくのだが、時すでに遅し。手遅れだった。だが、あの雷の影闘士が関わっているわけではないという。影闘士が発する魔力を感知出来ない。相手が影闘士でなければ、わざわざ拓士の時のように武器をふるう必要がないからだ。

 何らかの理由で影世界を自由に使えるとしたら、影世界に引きずり込んで、どこかに連れ去る。影世界という強力なものがある時点で、相手がただのヒトならばそれは比較的容易に出来るはずだ。それでもやはり、若い男を連れ去る理由は分からないが。

 ただ単にヒトを捕食するだけなら、若い男に限定する必要はない。それなら、囮でも使って突き止めるのが確実じゃないだろうか。

「……やっぱり、俺がわざと捕まって突き止めた方がいいか」

「ダメに決まってるでしょ!」

 考え込んで呟く拓士を結羽がすぐに止める。

「拓士が相手だったら、確実にあの影闘士が来るよ。この前は何とかあっちが引き下がってくれたけど、今度はどうなるか分からない。拓士を危険な目に合わせられないよ」

 結羽から言われて、拓士は俯いて口をつぐんだ。梓の言う通りだ。結羽があそこで助けてくれなかったら、自分は確実にあの影闘士によってどこかへ連れ去られていただろう。もしかしたら、生きて戻れなかったかもしれない。それに、もしも結羽が自分と同じ立場だったら、きっと同じことを言って止めていたはずだ。

「何も出来ないのが口惜しいが、結羽の言う通りだな」

 拓士が考え直してくれたことに結羽達は安堵する。だが、物事を解決したわけではない。雷の影闘士と、その主であろう女の目的が分からずじまいで、学校からの帰り道の結羽達は黙り込んでしまう。

 その時、結羽達の足元の影が漆黒の穴へと姿を変える。彼女達は声を上げる間もなく、影世界に引きずり込まれた。


 結羽達が気づいた時には影世界にいた。彼女達はすぐにそれぞれの武器を召喚する。そして彼女達を引きずり込んだ張本人である影鬼が複数出現する。その影鬼はどれも十メートルを遥かに超える大きさで、おぞましい魔力が彼らを取り巻いていた。

「あたし達全員を引きずり込むだけはあるね」

「それでもわたくし達の相手ではありません!」

 未來と飛鳥の声を合図に、影鬼との戦闘が始まった。


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