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影闘士 ―Shadow Slayer―  作者: 玉子川ペン子
第二章
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第六十七話 過去の傷

 倉庫の入り口の方から突然、怒号と衝撃音が聞こえてきて、怜治は慌てた様子で来た男子生徒を一瞥する。

「何の騒ぎですか」

「お、男が二人来て、『結羽を返せ』って言って、殴りかかってきたんです……!」

 怜治は軽くため息をつく。

「……意外と早く気付かれましたね。今日はここまでにしましょう」

 近くにいる男子生徒にナイフを渡すと、怜治は他の生徒と共にその場から去っていった。それから少し経った後、拓士と颯、未來、飛鳥が結羽のもとに駆け寄ってきた。

「結羽!」

 拓士は大剣を召喚すると、結羽を拘束している手錠を凍らせて砕く。解放された結羽の体はそのまま力を失って傾ぐが、拓士が支えた。結羽の手首に刻まれた無数の傷に拓士達は息を吞む。早く手当てをしなければ。

「……どうして、ここに?」

 弱々しい声に、今にも泣きそうな顔をした飛鳥が答える。

「あの人達と会った後、お姉様の様子が少しおかしかったので、ご自宅に伺ったのです。そしたらお姉様の姿が無かったので……」

 飛鳥の言葉を引き継いで、颯が続ける。

「嫌な予感がしたから、僕と飛鳥が空から。拓士君と未來ちゃんが地上から結羽ちゃんを探していたんだ」

 そして、未來が続ける。

「使われていない倉庫街の方に行ったら、あの人達と同じ制服を着た人が何人かいたから、もしかしてって思ったの」

「それで殴り込みに行ったらビンゴだったんだよ。……聞きたいことは山ほどあるけど、とにかく傷の手当てが先だ」

 拓士は結羽を抱き上げると、心美達がいる病院の方角に駆け出した。その後を残りの三人が追いかける。拓士の腕の中で、結羽は意識を手放した。


 翌日、結羽は病院のベッドで目を覚ました。目を覚ました結羽を見て、拓士達は安堵したように穏やかな顔になる。が、すぐに険しい表情になった。その視線は両手首に巻かれた包帯に注がれている。

「同じ小学校に通ってたって言っていたけど……何があったんだ?」

 そう尋ねたのは拓士だけだったが、その場にいる全員が同じ疑問を抱いていた。結羽は一度深呼吸をすると、過去に起きたことを語りだした。


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