表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影闘士 ―Shadow Slayer―  作者: 玉子川ペン子
第一章
30/133

第二十九話 双子の影操者

 それから1か月が経過し、学校は夏休みに入った。その間も特に大きな事件もなく、やがて夏休みは終わり、9月の半ばに差し掛かっていた。

 結羽達4人はいつものように校舎前で影鬼を倒した後、並んで下校している。学校から歩いて数分後、それは久しぶりに現れた。

 突然、彼らの足元の影が形を変え、真っ暗な穴になる。声を上げる間もなく、それは彼らを一気に飲み込んだ。

 影世界に降り立った直後、結羽達はすぐにそれぞれの武器を召喚して、周囲を警戒する。自分達を一気に引きずり込んだところから、おそらく影操者がいるはずだ。その時。

「―――影闘士の皆さん、影世界にようこそ!」

「―――影闘士の皆さん、影世界にようこそ!」

 この場に似つかわしくない幼い子供の声が聞こえてきた。声の方に体を向けると、いつの間にか2人の子供が立っていた。7、8歳くらいだろうか。どちらも髪は薄緑色で、女の子の方は頭の上の方でお団子にしている。お揃いの緑と白のセーラー服を着ていて、見た目は可愛い双子である。

 だが、2人の血のように真っ赤な瞳と放たれる独特の魔力が、彼らが影操者であることを暗に告げる。

 双子は結羽達にぺこりと頭を下げると、元気に自己紹介をする。

「僕の名前はクルクマ! 影操者です!」

「私の名前はクレオメ! 影操者です!」

 そして、彼らから放たれる魔力が高まった。こちらに攻撃するつもりか。

「何かする前に倒す!」

 最初に拓士が飛び出して、双子に斬りかかろうとする。すると、彼らは一際大きな声で言った。

「せーの、“迷路(ラビリンス)”!」

「せーの、“迷路”!」

 その瞬間、結羽達の視界が歪み、気づくと蔓のようなものに囲まれた場所にいた。そして、拓士と佳奈、結羽と未來がそれぞれ別の場所に分かれている。状況が理解できずに少し困惑していると、上の方からクルクマの声が聞こえてきた。

『皆さんは今、僕達の能力によって迷路の中にいます。ルールは簡単! 両チームの皆さんが制限時間内にゴールに辿り着き、ゴールにある鏡に手を合わせれば皆さんの勝利です』

 そして次にクレオメの声が聞こえてくる。

『もしもゴールに辿り着けなかったら……みーんな一緒に食べちゃうからねっ!』

 クレオメの言葉に結羽達は寒気がした。彼女の声音にはあどけなさと残酷さが入り混じっていて、ただの脅しではないことは誰もが分かった。見た目は子供でも、やはり影操者なのだ。

 結羽達の空気に緊張感が漂う中、幼い双子の声が響く。

『制限時間は1時間! よーい、スタート!』

 開始の合図が告げられた瞬間、結羽達は迷路の中を駆けだした。


登場人物の花言葉

クルクマ:「あなたの姿に酔いしれる」

クレオメ:「秘密のひととき」「あなたの容姿に酔う」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ