表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影闘士 ―Shadow Slayer―  作者: 玉子川ペン子
第一章
18/133

第十七話 親友

 そして現在、ずっと行方知れずだった一希が、目の前にいる。

「心配させたよな……ごめん」

 謝る一希に結羽は無言で近づき、そのまま彼を抱きしめた。

「……今まで、どこにいたの……! 心配したんだから……!」

 涙声の結羽の頭を、一希は優しく撫でる。

 今まで、結羽が涙を見せることは一度も無く、それを初めて見た三人は、とても驚いていた。その中でも、一番驚いていたのは拓士だった。

 自分の知らない男と、結羽が抱き合っている。なぜか胸が少し痛んだ。

「……結羽ちゃん、その人、誰?」

 驚きからいち早く立ち直った未來が結羽に尋ねる。

 結羽は、はっとして一希から離れる。そうだ、みんなが目の前にいたんだ。結羽は軽く咳払いをしてから答えた。

「彼は紫苑一希。中学の時の同級生で……私の一番の親友!」

 

 一希と再会してから結羽は、一希と二人でたまに登下校するようになっていた。それは当然のことだろう。久しぶりに再会した親友なのだから、積もる話もあるはずだ。

 それでも結羽は影闘士としての闘いを怠ることはない。むしろ、以前よりも闘いに無駄な動きが少なくなっているようにも見える。

 一希は結羽達とは別の高校だったが、下校時は校門で一希が結羽を待っている。影鬼を一通り倒した後、結羽は一希が待っているところまで走っていく。

「ごめん、待たせちゃった?」

「いや、今来たばかりだよ。じゃあ、帰るか!」

「うん!」

 2人が歩いている後ろで、未來と佳奈、拓士が2人の後を付けていた。

「……なんでこんなことしなきゃいけないんだ」

 拓士の呆れたような呟きが未來と佳奈の耳に届き、一瞬だけ2人は彼の方を見る。

「だって、気になるでしょ?」

「結羽さんについて、知りたくないんですか?」

 2人の目が、好奇心でいつになく輝いている。こうなったら彼女達が満足するまで、とことん付き合うしかないだろう。

 拓士はため息をついて、結羽と一希の後ろ姿を見つめる。

 結羽の楽しそうに笑っている姿を見て、拓士は人知れず拳を握りしめていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ