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影闘士 ―Shadow Slayer―  作者: 玉子川ペン子
第一章
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第十三話 再会

 その日の夜、結羽が寝ているベッドの横に、佳奈と未來は座っていた。

 佳奈は拳銃を持っていた自分の手を見つめる。本当に、自分は影闘士になったんだ。遠くから見ているだけだった存在に今、自分がなっている。

 それを自覚した瞬間、佳奈の体が小刻みに震えだす。

 怖いのだ。影闘士達がいつも死と隣り合わせで闘っていることを知ったから。自分なんかが闘って、生き残れるのだろうか。

 そんな佳奈に未來は静かな口調で言う。

「……厳しいことを言うけど、影闘士はいつ死ぬか分からないの。死ぬのが怖いなら、今日のことは全て忘れて帰って。でも、闘う道を選ぶのなら、結羽ちゃんが目を覚ますまで……ずっと傍にいてあげて」

「……はい」

 佳奈は、その場から動かなかった。

 

 佳奈が影闘士になってから、1ヶ月近くが経過していた。結羽の怪我は完治し、今は学校からの帰り道で、結羽・未來・拓士・佳奈の4人で下校している。と言っても拓士は未來に半ば無理やり引っ張ってこられたようなものなのだが。

「久しぶりの学校、楽しかったなぁ。あ、そういえばもう6月なんだね」

 結羽は3人に笑いかける。

「1か月の間、お前を押さえるのは大変だったけどな」

 拓士はため息をつく。

「隙を見て、何度も病院を抜け出そうとするし」

「早く学校に行きたい気持ちは分かりますが……」

 未來と佳奈は苦笑している。

 今回も、結羽は病院から抜け出そうとした。前回のこともあって、未來と心美はもちろん、佳奈と時々拓士も見張っていた為、ほとんどは未遂で終わった。

 だが、2回だけ結羽は病院から抜け出すことに成功している。それでも、1回目は病院の近くの道路で、2回目は学校の校門ですぐに見つかって連れ戻されたのだが。

 

 そんな他愛のない会話をしている時、通りの角を曲がった瞬間、結羽は立ち止まった。

 結羽の視線の先には、同い年くらいの少年が立っている。茶髪で、灰色の瞳の少年。

 結羽は少年を信じられないような顔で見ている。やがて、少年は結羽を見て、嬉しそうに笑いかけた。

「久しぶりだな、結羽!」

 声も顔も、あの頃より大人びているが、面影はちゃんとある。

「……一希(かずき)?」

 その呟きは拓士たちの耳に、確かに届いた。


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