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群青の空へ  作者: 朝霧美雲
第三章 -The fate of the white-winged demon will change drastically-
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第17話「空の英雄として」




目が覚めて、私は気絶する前の光景を思い出す。人ならざる者の集団との戦闘で、私はライアーより先に敗北した。

そして、視界に映る由里さんの到着とほぼ同時に記憶の途切れ。


「目が覚めたか?」


声を掛けてくれたのはライアーだ。


「ライアー、ごめん・・・」


「気にするな。それより、体は大丈夫か?」


全身に痛みを耐えながら体を起こすと、体の色々な部分に包帯が巻かれている事に気が付く。

幸い、どこかを欠損したとかは無い。けど、しばらくは入院する必要がありそうだ。


「入院じゃないぞ。ここはスタジオだ」


ライアーに言われて初めて、ここがスタジオだという事を把握した。

けど設備は病院とほぼ変わらない。どういう事なんだろう。


「初めまして。キミが静音の親友の由比ちゃんだね」


「えっと」


私は見慣れない夫婦と高齢の男性の姿を見て困惑する。けど、すぐに妻であろう女性を見てどういう事かわかった。


「もしかして静音の両親ですか?」


「ああ。静音から手を貸してほしいと頼まれてね」


話を聞いた限りだと、一般の病院へ私を入院させるのは危険だとの事で、このスタジオで治療を行っていく事になったらしい。

そこで、静音と救命救急士である両親、医療知識の豊富な祖父が協力してくれるという流れに。


「夕方、また包帯を変える予定だよ」


静音が部屋に入ってきて、そう告げた。静音の怪我はもう治っていて、以前着けていた包帯は外れている。

そういえば、静音からは両親との経過を聞いていなかった。この後両親の方に聞くとしよう。


そう思っていた矢先、静音の口からその事について話し始めた。


「由比には話してなかったけど、両親との問題は解決したよ」


それを聞いて、私はほっと胸を撫で下ろした。静音について、それがずっと気がかりだったから。


「静音の殉職を聞いて、だから戦争は。だから戦闘機はダメなんだと。ずっとそればかりだった」


上着を脱いで、静音の父はそう語っていく。


「ルーガンへ行くと言って出て行ったあの日、無理やりにでも引き留めるべきだったと強く自分を憎んだ」


とても辛そうに話す彼の表情を見て、私は胸が苦しくなる。

私にも、今思えば引き留めたりだとかやらなければよかったと、失ってから後悔をする事がいくつもある。


「ちょうど去年の今頃か。静音が突然家に戻ってきて、ただいまと言った」


「次に口にしたのが、扶桑を救ったヒーローになって帰ってきてやったと。全くお前は!」


笑いと呆れと、安堵の混じった表情で静音を見る両親。私も思わず笑って、静音に微笑んだ。


「本当にごめんって・・・あの時、意地の方が勝ってて・・・」


恥ずかしげに謝る静音。でもよかった。家族と再会できて、復縁できて。




「それはそうと、損傷したMIASはアスタリカで修復と改修中だ」


私の体とMIAS。その両方が万全になるまで私とライアーは出撃禁止になった事が書面で伝えられる。

MIAS適合者が増えつつあり、私達がいなくても戦力不足には陥らないからだという。


「出撃すれば、逆に処罰を与えるとの事だ」


「それまでゲームとか配信しようかな・・・」


「配信は禁止。由比はしばらく休んでなさい」


配信禁止が友香から出され、私はがっくりと肩を落とす。

でもそれならライアーとの平和な日々を過ごせるだろうから、それはそれでアリ。


「わたちゃんの配信でも見てあげたらどう?」


「それもそうだね」


最近の彼女は戦いと楽曲収録で忙しくて配信が出来ていない私の代わりに、配信の頻度を増やしている。

12時間連続配信をしたりする事もあるとの事で、グイグイと知名度と登録者数が伸びていた。


「由比は歌ってみたとかカラオケ配信がメインだけど、彼女はレトロなゲームがメインだよ」


「そうなんだ」


「例えばアームドコアとか」


「体が闘争を求めるってやつ?」


「そう」


しばらく配信は彼女のを見て、私はゆっくりと体の治療に専念。

とにかく重傷を負わないように常に万全にして、戦いと偶像としての活動を止めないようにしなきゃ。




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