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群青の空へ  作者: 朝霧美雲
第三章 -The fate of the white-winged demon will change drastically-
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第12話[ 後編 ]「古き世界よりの」





消灯してからすぐ、外で誰かの怒鳴り声とガラスが割れる音、数秒後の悲鳴が聞こえた。

何事かと体を起こすとライアーが既に様子を見に行こうとしていて、次いで由里さん、最後に私が部屋を出る。


音は中庭からで、3人で急いで向かう。到着した時、既に事態は深刻だった。

人ならざる者はいないけど、倒れている男性と怯えている女性、その2人へ近づく金髪の男性。


「ライアーくんと由比ちゃんはそこで待機。私がそこの2人を守るからすぐに連れて退避して」


「無駄だよ。ソイツもう死んでるからさ」


金髪の彼は平然とそう告げた。どこにも出血は見られないけど、全く動かない。

近づいて確認しない限り生死の判別は難しい。


「キミの目的は?」


「調査だよ。この辺りに半神がいるって聞いてね」


「残念だけどそんな人はいないよ。帰ってもらっていい?」


「嘘だな。お前と、そこのお前は半神だろう?」


金髪の彼は私と由里さんを見るなり、不気味な笑みを浮かべた。

何を見て半神と判断したのかはわからないけど、私とライアーはMIASのデバイスに手を伸ばす。


「そうだな、まずは名乗ってやろう。俺は旧支配者に仕える半神である、敦賀一樹だ」


「旧支配者?」


「人類が生まれる遥か昔にいた、お前達人間が神と呼び崇める存在だ。半神、つまり俺達はその末裔ってわけさ」


半神という事は、彼は何か能力ちからを持っている。一体なんの能力を持っているんだろうか。


「お前も半神なら、反人類側こちらに来ればいいじゃないか。いずれ訪れる、我らの時代の為に」


「お断りだね。絶対に」


由里さんは首を横に振った。


「私はみんなが大好きだから、例えなんと言われても守るよ。この世界を、この世界に住まう人々を」


「チッ!従う気は無いか。ならこの場にいる奴全員くたばっちまえ」


彼は手を合わせて何かを唱えると、突然植物が生えてくる。

どうやら植物を司る能力らしい。だけど、私と由里さんが即座に彼を風圧で吹き飛ばした。


「うがっ・・・!」


かなりの勢いで叩きつけられた彼はそのまま気絶し、倒れこむ。

そもそも神格である由里さんに戦いを挑んだ時点で勝てっこないのにと思いながら、私は彼の手を後ろに回して捕縛する。


「普通の警察官じゃダメだから、特殊部隊とか呼ばなきゃね。ライアーくん、そういう人とコネあるでしょ?」


「そりゃな。ちょっと待ってろ」


ライアーがスマホで誰かと話をした後、30分ほどかけて一台のトラックが到着する。

私達MIAS所有者専属の特殊部隊で、常に防護服と短機関銃で武装している部隊だ。

人数は2人では足りないであろうからと4人で連れて行く。何かあったとしても即座に短機関銃が火を噴く。


「ご苦労様でした。では、我々はこれにて失礼します」


「ありがとうございました」


この一件は刑事事件として扱われる事は絶対に無い。裁判も何も無く、そのまま刑務所の奥深くに収容される。


「厄介な集団まで出てきたな」


「本当だね。この世界を壊す事になるのに。そういえば、さっきの2人は無事?」


「大丈夫です。救急隊の人達によって無事息を吹き返しました」


本当によかった。誰も犠牲になる事も無く、今回の一件は収束した。

ただ、これは警察やストラトアイへの報告が必須なものだ。帰ったらすぐに報告して、今後の対策が急務。


「また忙しくなるな」


「うん・・・」


浮かない顔で私は返事をした。半神同士での争いは危険だ。ましてや人類の敵となる集団の存在だなんて。

こんな戦いは早く終わらせなきゃ。由里さんも協力してくれるから、どうにかなるはずだ。


「由比、大丈夫か?深夜の1時だけど」


「大丈夫じゃなくて、かなり眠いからすぐ戻ろう・・・」


そのまま、私は部屋に入った途端に崩れ落ちるように眠った。


        

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