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群青の空へ  作者: 朝霧美雲
第三章 -The fate of the white-winged demon will change drastically-
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由比の日常①





「由比、ダンベル何キロ持てる?」


「はっ?」


スタジオで寛いでいると、対面に座っていた幸喜がそんな質問をしてきた。

ダンベルは持ったこと無いけど、戦役に就いていた時に友香と一緒にミサイルを積載したりした事はある。

そもそもある程度鍛えていたから、その辺の女子よりは力には自信がある。


「僕は15キロいけるけど」


幸喜はスタジオの隅に置かれたダンベルを指差して私を見た。

黒光りした鉄の塊が私の視界に入る。立ち上がってその前に屈むと、片手で15キロのダンベルを持ち上げた。


「くっ・・・っ・・・!!!」


正直とても重い。多分10キロとかそれより少し下くらいならある程度はいけそうだけど、これは重い。

まさかとは思うけど幸喜はいつもこれ使ってるのだろうか。


「そりゃ、僕も元ファイター乗りだし」


「そうじゃなくて・・・っ!」


正直幸喜の事見くびってた。今考えたら幸喜も普通に男だし、そりゃ力強いよね。

同じ元戦闘機乗りなら幸喜の方が力は強い。空戦技術は別として。

幸喜は15キロのダンベル2つを手にすると、10回ほどトレーニングをする。


「すっご・・・」


「これでもライアーさんには負けるからなあ。さすがとしか」


確かにライアーのあの身体なら幸喜よりも身体能力が高いのは頷ける。


「そういえば、この間の動画の切り抜きをアップロードしておいたから」


そう言われてその切抜きの動画を私は動画アプリで視聴する。

いわゆるスパチャで殴られるという状態の私の慌てっぷりが好評で、かなりのコメント数。


「いやー、由比はやっぱ推せるよ」


「それはどうも。でも、これ公式ってバレない?」


「大丈夫だよ。これは僕の個人のアカウントだから」


幸喜は友香から許可を貰い、個人のアカウントでも稼いでいい事になっている。

1ヶ月あたり10万程度は稼げるらしく、私も少し試してみようかなと思う。


「でも由比は大丈夫だと思うよ。日に日にファンも増えてるし」


「まあそうだけど」


ファンは3万人を突破し、ようやく軌道に乗ってきた感じだ。今のところ炎上も無い。

事務所の収入も安定してきているし、私としてはそろそろアレをしたい。


「で、本題だけど」





友香も合流して、ようやく本題に移る。友香はいくつかの資料を机に並べて、私と幸喜に説明をしていく。

本題とはすなわち新規のライバーの募集。ただし私達の事務所の募集要項は少し他と違う点がある。


「フライトシミュレーター経験者?」


「そう。将来的にバーチャルアクロバットチームを結成しようかなってね」


「そうなんだ」


募集の条件は女性ライバーで、フライトシミュレーター経験者、歌に自信のある人。

身近で思いつく限りだと朝奈と美羽くらい。美羽はすかいライという大手企業の2期生だし。


「これ本当に来るの?」


「とりあえず募集してみるしかないよ。幸喜は何か意見は?」


「僕も意見は無し。これで大丈夫だと思う」


小さな会議をしているうちに14時を回り、私は少しだけ歌の配信をする事に。

事前の告知は無しにしてどれくらいの人が来るか試したかった。


結果は2000人程度来て、ある程度は人が来るようにはなっている。

更に登録者数を増やすには流行に乗っていくのも間違いではないと友香は言う。


今日の配信では少し海外の歌を歌ったり、アニメソングとかも手を出してみた。

練習を兼ねての配信だけど、好きな歌を選んで全力で歌う。


平日のお昼休みを過ぎたこの時間でこれだけ来たのは、やっぱり3Dの配信だからだろうか?

たまにある3D新衣装の配信をしたらどれくらいの人が来るのか、とても気になる。


「由比、週1のボイトレの効果は出てるみたいだね」


「うん。後は今度朝奈との歌の動画も出してみたいかなって」


「Ok!いいよ、やろっか!」


友香は快諾してくれて、すぐに朝奈に連絡を取った。

予定を合わせてくれるとの事で、また日程が決まったら告知をツブヤイターで出そう。


「で、さっきの募集なんだけど」



こんな無名の小さなVライバー事務所に、なんと応募する人がいた。

信じられないけど、見事に要綱を満たしている。これは期待できるかもしれない。


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