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群青の空へ  作者: 朝霧美雲
第三章 -The fate of the white-winged demon will change drastically-
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第8話[ 中編 ]「新しい力」






私とライアーの、今日何度目かの模擬格闘戦が始まった。

空では私はライアーに勝てる可能性が十二分にあるけど、地上じゃ性別と体格もあって私は苦戦する。


「甘いッ!」


「危なっ!!」


「避けた先も避けろ!」


特にライアーのストレートは私の反射神経でも避けきれない時があって、そんな時はライアーが事前に察知してかなり手を抜いてくれる。

おかげで脳震盪に至る事も、かなり痛い事も無く済んでいる。

とはいえライアーのストレートで体勢を崩された私は後ろに倒れ、そのダウンする寸前に頭を守って倒れこむ。


「勝負有り、だね」


「そうですね。由比、大丈夫?」


息を切らして地面に突っ伏している私へ声を掛けてくれる友香と朝奈。

静音は無言で私の状態を確認しながら、今の倒れ方で負担が掛かったであろう箇所に氷を当ててくれた。


「ライアーさんすごいね。相手が避けた先へ二発目のストレートを当てるなんて」


「じゃなきゃ白兵戦で生き残れないだろ。それに戦闘機」


「確かにね」


静音が診察をしてくれた結果、特に異常個所は無いとの事。

そしてライアーからは以前よりも動きは改善されて、ある程度の歩兵よりは強くなりつつあると言われた。


「その細い体躯はある意味アドバンテージだな。大体の奴が見かけで判断して手を抜く」


「前は動きに無駄が多かったけど、今はだいぶマシになったわね」


朝奈も一人の武道家として意見を述べてくれるおかげで、成長を実感できる。

まだまだ訓練が足りない感覚もあるけど、今日はこれで終わりにする事にした。




今日来たトレーニング施設にシャワーは無く、私は汗だくのまま近くの温泉施設へと歩く。

正直べたついて気持ちも悪いし、朝奈達からはそんなに無いとは言われていてもにおいはかなり気になる。


「由比、ごめん」


朝奈は唐突にそう言うと、私に抱きついてきた。


いや、正確に言えば。


「ちょっ、朝奈!」


朝奈が私の体勢を崩し、地面に伏せるように押し倒してきた。

直後に近くの車が爆発して破片が私達のいた所を飛んでいく。


「由比が怪我をしたから、数秒前の過去に戻って助けたのよ!」


まさか朝奈の能力にそんな使い道があったとは知らず、私はただ驚くばかりだった。

とにかく今はこの現場から離れる事が先決で、すぐに二人とも走り出す。


数百メートル走って落ち着ける場所に来て、朝奈は笑顔で振り向いた。


「20年前にいた時に、もっと早くこの方法見つければよかったわね」


20年前にいた時。子供を助けようとして朝奈が轢かれた事故の事。

朝奈のこの能力(ちから)を使えば、きっと子供が危ない所にいく前に向かい助けられただろう。


「でも正直、その光景見た後だから精神的には良くないわ」


「朝奈」


私はゆっくりと朝奈に歩み寄り、ありがとうと言いながらそっと抱いた。


「うん。由比には無事で居てほしいから」


「無事で居られるように全力を尽くすよ」


先ほど私達がいた方向からは消防車とパトカーのサイレンが聞こえ、尋常ではない様子が伺える。

再びその現場に戻ると、目を疑うような光景が広がっていた。惨憺たる光景。何人もの警察官と消防士が倒れ、その近くに佇む電撃を纏った人間。

私は瞬時に危険と判断して、逃げようとした。


だけど逃げようとした時、私は一人の警察官が生きている事に気が付く。

また助けられないのだろうか。そう思った時に猛烈な風が吹き、それによって飛散したビルのコンクリートの破片が彼と人ならざる者とを隔てた。


「二人とも。ここは私が引き付けるから安心して助けてあげて」


空色の髪の女性がこちらへと歩いてきているのに気が付いて、私達は安堵した。

けどそれも束の間、私達の目の前が眩く光った。



やられたと感じた。死ぬんだと。



そう思ったけど、目を開けてみれば私達は生きている。一体何が起きたんだろう。

答えはすぐにわかった。


「由里さん!」


由里さんは電撃を空中に留めさせ、私達を守ってくれていた。


「空間の維持。神様ならこれくらい余裕だよ、人知を超えるくらい。ふふっ」


留められた電撃を少し離れたコンテナボックスに向けると、コンテナボックスは放電して赤く熱を帯びて変形した。

でも私達は助かり、人ならざる者は由里さんへと敵意を向けた。


「っと、ここまでだね。私はこれで」


由里さんが逃げるように走っていった直後に誰かが走ってくる。

以前テレビで見た「AISAS」を身に纏った警察官。



それから、私と朝奈は警察のAISAS部隊によって保護された。


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