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群青の空へ  作者: 朝霧美雲
第二章 -The Sky Dominated by Aces in 1998-
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特別編「あなたのつく嘘」





由比と朝奈が寝静まったのを見計らって、私はゆっくりと体を起こした。

台所の棚の奥深くに隠したノートを取り出すと、ペンでBe-0に関する項目を線を引いて消す。

あの二人には嘘をついた。Be-0の襲来は正史でも起こっていて、多数の負傷者が出た事。

ライラプス隊が出撃し、ライラプス2が負傷して戦線を離脱した事。


「・・・」


今回の事は本当に掛けだった。端から見れば私は逃げた事になる。でも・・・生きたかった。

エリが復帰して加勢してくれたのは本当に奇跡だ。エリがいなかったらどうなっていたかわからない。

私が出撃していたらきっと今後の作戦に支障が出る。「最後の戦い」に由比が一人だけで挑む事になる。


そうはさせない。絶対に。今回、由比と朝奈、エリ、私が無事でいられたからきっと大丈夫。

でもそれを由比に話して・・・失望されないだろうか。逃げた私を許してくれるだろうか。


ノートに最後の戦いの場所の地図を書き込んで、戦力の分布を考案していく。

最後の戦いで私達ライラプスは生き延びて現代へ帰れる。そんな結末を迎えたい。


「世界は残酷だ・・・」


みんなを生かしたい。だけど、救えない命もある。長倉さんもそうだ。

そんな残酷な世界を否定したくて仕方が無かった。



「静音?」


誰かが起きて台所へやってきた。眠たげな目を擦りながら、対面に由比が座る。

ちょっとだけどぎまぎしながらノートをそっと閉じ、隠すように膝元へ持っていく。


「静音、無理しないで寝なさいよ・・・ふあぁ・・・」


一言そう告げると、再び寝室のベッドへと戻っていく。


「今考えても仕方がなさそうだし・・・由比の言う通り寝ようか」


ノートを棚の奥に隠すと、少し乱れた髪を櫛で梳かして結び、私も寝室へ戻った。

みんなを生かして現代に戻って、戦争の終わった世界でみんなで過ごしたい。それが私の願い。

家族も、大事な戦友も。みんなで一緒に・・・。

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