証言記録其ノ二
2007年 9月
扶桑国 青森県三沢市
本名:ジョージ・サッチ
元アスタリカ空軍中尉 第35戦闘航空団 第13戦闘飛行隊所属
戦争が終わって少し経ったあの日、俺はナールズのミグに撃墜された。幸いにも飛行不能になっただけで、軽傷で済んだ。
数時間後に救助されたが、それまでに見た光景は今でも忘れられないんだ。
撃墜されて30分が経った頃だ。爆音と共に一機のF-15が飛んできたんだ。俺たちの救助を阻もうと飛んでいた数機のナールズ機へ向かって。
当然、奴らも反応するさ。だがそこからの状況は俺たちが思っていたものとは違った。あっという間に撃墜したんだよ、敵機を全て。
俺も僚機のマイクも、目に焼き付けようと必死だった。いくら旧式が相手とは言え、数をものともしない確かな実力があるのは明白だ。
聞けば、前に三沢基地にいたあの青い髪の少女らしい。一度飛んでいる所を見た事があるが、あの大型戦闘機を羽のように軽く飛ばしていた。
そして同時に、彼女ならどんな事があっても世界を覆せると思えた。国に住まう人や戦う人、みんなにとっての希望であり・・・。
――――敵に回せば誰も手の付けられない悪魔だって気付いた。




