才能のお話
ディオネ兄様は、やはりと言うべきか、飽きてしまわれました。だって面白くないんだもん、とばかりにお友達とお外へ行ってしまわれたよう。
私はまだお外には出してもらえませんし、なにより魔法は幼少期から使うことでうんたら、っていうのが定番じゃないですか!?頑張るぞー。
「ふぁ、ふぉ、ふぇ?」
「フォース、だな。」
読解に苦戦していると、父が横から文字を教えてくれます。しかしここで少し疑問が。父様は魔法を使えるのでしょうか。
「父様は魔法が出来るのですか?」
「あー、まぁ、昔少しな。どうだ?かっこいいだろ。」
なんていいながら抱きしめてきます。あの、中年男性に満面の笑みで抱きしめられる女子高生の気持ちになってください。ぁあ、恐ろしや。
「は、離してください。くるじい。」
「おおっと、すまんすまん、テティスは可愛いから。」
そういいつつも、少女の純粋な心のお陰か、然程嫌でもなかったんですけれど。
なんだかんだで月日は経ち、魔法を始めてから1週間が経とうという頃には「フォース」を扱えるようになっておりました。
フォースとは即ち、力を纏うことです。コツとしてはスーパー◯イヤ人になりきることですかね。
こうなってくると早いのが私であります。コツを掴めばあら簡単。定番の「ファイアーボール」が使えた時には、涙が出るかと思いました。生きててよかった!!!…卒倒しましたけれど。
それを見た時の母の顔ったら。
「テティス!貴女はやはり天才なのよ!」
ですって。ふふ。笑ってしまいます。天才だなんて、そんな。当然のことを褒めないでよ。
「でも、テティス、無理はしてはダメよ。一番大事なのは貴女の体なのだから。」
「分かっています、お母様。」
なんとも優しいお母様なのです。
ブクマしてくださった方がいるようで。至福の極みでございまして。一応期待されてるのかな、なんて。