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掌編小説集2 (51話~100話)

やっほー

作者: 蹴沢缶九郎

登山を趣味としていた男は、休日を利用して山登りに来ていた。一時間ほどかけて山頂に到達した男。澄み渡る空気に綺麗な景色、それは登頂した者だけが味わえる感動だった。


男は山頂から遠くの山々に向かって叫んだ。


「やっほー!!」


…。


山びこは返ってこない。声が小さかったかと、今度はもう少し大きめに叫んでみる。


「やっほーー!!」


…。


しかし山びこは返ってこなかった。そこへ、遅れて山頂にやってきた親子連れの子供が、山々に向かい叫んだ。


「やっほー!!」


…やっほー!!


山びこは返ってきた。


「声量は子供より自分の方が大きかったが、何かコツでもあるのだろうか?」と男は考える。そんな男の様子を見ていた山小屋の主人が、男の元へやってきて言った。


「いくら叫んでも無駄ですよ。ほら、あそこ。」


主人が指差した先には、『山びこ10回 500円 登頂の記念にどうぞ』と書かれた看板があった。


「お客さんもどうですか?」


と聞かれ、男は迷わず、


「ああ、買うよ。」


と答えた。


山びこが有料になり、誰しもが世知辛い世の中になったと思うが、苦労の先の楽しみを味わいたいのは皆一緒のようだ。

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