第3話 はじまりのはじまり
「おい、クレセリオン。」
と、声をかけた。
「起きないじゃない。」
由紀さん、ちょっと静かにしててくれ。
さっきのは嘘泣きだったようだ。
「名前が違うんじゃない。」
「おかしいな。零はちゃんと言ってたのに。」
「誰零って?」
夢の中の人、と言おうとしたがやめた。
だって馬鹿にされるのが目に見えてるもん。
精神科行きはごめんだ。
「えーと、この子は家の母親の兄の嫁のいとこのそのまたはとこ。零はその姉。」
「へー。どうでもいいけどさ。」
えっ、スルー?がんばったのに。
「本当に起きないわね。咲起きてー。」
???咲って誰だ?
「まだ気づかないの?わたしが零よ。」
このやろう。だましていたのか。
「そうでーす。この子は咲。ちなみに私は零でーす。」
「はいはい、そうですか。」
「うん。これが私の本体。」
俺は馬鹿か。めっちゃ騙されていた。
「私はこう見えて神なんだぞ。イブ様だぞ。」
「マジで!?」
安静にしてなければいけないのに叫んでしまった。
「うん。まじまじ。」
にっこり笑って言いやがった。
ほら、と言って手を俺の目の前に出してひろげた。
「じゃーん。火でーす。」
ほんとだ。ちいさい火が零の人差し指にちょこんとあった。
ちなみに、本人超どや顔。にしてもしょぼっ。
「しょぼ言うな。」
神はぷんすかぷん。
「にしてもなぜ零は俺のところにいるの?」
「そりゃー、神と天使と悪魔と闘うためだー。」
やばい、俺よりこの人のほうが診察を受けたほうがいいような気がしてきた。
「しつれいなっ。ほんとだぞ。ことのはじまりは...」
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