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私、青春やり直します!  作者: 綾瀬悠
中学一年編
9/13

第8話:ここまでバカだとは……。





家族にダンス部に入りたいと報告したとき、お父さんと兄さんは何も言わず、ただ頑張れ、と応援してくれた。


姉さんはダンス部と言えばもっとおしゃれを頑張らなきゃね!という自論をいい、これから私の体型維持や美容も力を入れなきゃ。と張り切っていた。


そんな事しなくても充分なんだけどな。

だって私に洗顔の仕方に化粧水などの私に合ったものを教えてくれるし、晩ご飯のあといつも姉の部屋でストレッチをしながらお話をしているんだから。


これ以上増えるのかと考え、少し悪寒がした気がするけど、それも姉さんが私に必要だと思ってしてくれているのなら、とまた私は了承してしまった。



過保護な家族は嫌いじゃないし、むしろ好きだが、限度があると思うのは私だけだろうか?


いや、もしかしてほかの家庭もこんなものなのだろうかと思ってしまう。







翌日、早速私は杏里と一緒に仮入部の届けを出した。

仮入部は文化部にも運動部にも両方に設けられていて、GW明けまでの約一ヶ月間を過ごす。


その期間を無事に終え、まだ続ける意志があるならば次こそちゃんと本入部が出来る。


顧問の松木すみれ先生に提出したとき、ダンス部のハードさや、本入部する時どれほど減るかどうかを話されたけど、私たちはそれを聞いても辞めるなんて気持ちはなかった。


むしろハードだと分かっていたし、杏里の言葉を借りて言えば、新しい自分になりたいからこそ入部するのだ。


たった一ヶ月でハードだからと辞めることは私たちはしなくない。




松木先生は春の遠足の次の日から仮入部期間のスタートだと教えられ、私たちは職員室を後にした。




…そういえば、春の遠足なんてこと学生時代にはあったなぁ、と少し懐かしく思った。



今年は何処に行くんだろう?













春の遠足があるのは今日から一週間後。それまでは通常授業がある。

私たち新入生は中学生活初めての授業がスタートした。



内容は私にとって簡単だった。

だって大学生までの記憶はあるし、ある程度の学力は付いているはずだから。



しかしそれで勉強を怠ることはしなかった。

だってこの人生で青春するのだと決めたんだから、勉強にも力を入れるつもりだったから。


けれども簡単だから、授業は少し眠い。

けれども眠るようじゃダメだと初めて習う事だ、と頭の中で暗唱し、授業に集中した。


もちろん家での勉強も怠らない。

もともと両親が勉強熱心だということもあり、晩ご飯のあとには決まって勉強時間が設けられていた。


この時間はテレビもスマホも小説も禁止で、必ず勉強する。


その時間で私は、授業の復習に予習、そして少し先の単元に入り先へ先へと勉強していった。


幸いにも私には高校生で成績優秀な兄と姉がいて、そして頭のいい両親がいるから分からない問題があっても、すぐに聞くことが出来る。


そうして、中学の勉強をしているうちにやっぱり頭から抜けている内容がいくつかあるのに気がついた。


もともとあの頃の私は、高校生になりだらけてきて真面目に勉強をせず、なんとなくで受かった大学に進学したから、もしかしたら今の兄さんや姉さんよりも頭は悪いほうだと思う。



そうして私は真面目な人間に生まれ変わった。

……なんてカッコよく言ってるけど、何度もやらなきゃダメ?なんて甘い考えが出てこないわけじゃない。

むしろ、毎日出てくる。



けど、私が過去に戻って未来が変わったのは、あの私の願いが叶ったのだと思い直し、勉強ができているのだ。








そして気づいたら来週の頭に春の遠足……という週末。

私たちは知らされていなかった“学力テスト”を受けらされた。


小学生で習った内容とこの一週間でならった内容。

この二つをテストするのだ。


この学校は文武両道を理念としているから、なんら不思議ではないけど、前日には知らせてくれたっていいじゃない?

リュックには今日の分の授業の教科書たちが入ってるからおもいんだけど。







結果はその日のうちに返された。

なんとも仕事の早い先生達である。


私の結果は多分いいほうだろう。

どの教科も平均より上回っていたし、間違えたのだって片手で足りる程度。


他のみんなもそんなに落とす…なんてことはないよねー。と思いつつふと私の前の席をみると、背中に何か暗いものを背負っていた。








「あ、杏里…?」


放課後、いつものように杏里と帰るために呼びかけたけど、振り返った杏里の顔はとても沈んでいた。


「ど、どうかした…?」


「悠妃……、どうしよう。」


「……え?」


「……テスト………………やばかった。」


「…………え?」




そう言って渡された解答用紙をみると、全ての教科が平均以下で、むしろよくそんなに取れなかったねと言いたいほどのピンの数。


そして点数の隣に書かれている、要勉強の文字は……赤くて大きくて……。



「……なにこれ、」


「……私のテストの結果です。」


「う、うわぁ……。杏里これは、」


「わかってる!わかってるからぁ!!」


「……とりあえず杏里この学校の理念って知ってる?」


「り、りねん……?」



あ、この子バカだ。理念の漢字も書けず、むしろ意味も分からないといった顔をしている。


私の顔は無表情とよく言われるけど、今の顔はわかるだろう。むしろわかって欲しい。


目が死んでいる。この一言につきる。



「文武両道よ。勉強と部活を両方共頑張っていい成績を残す、という意味。」



多分そのままいっても分からないだろうから、婉曲して説明した。

これで杏里も勉強が大事だとわかってくれるだろう。



その言葉を聞いた杏里はとても顔を青ざめて……



「……や、やばい……。」



ヤバイなんてものじゃないわよ馬鹿。私はすぐにこの言葉を杏里に送った。







そこから杏里には毎日少しでもいいから家で復習をするように伝えた。

ノートと教科書を読むだけでもいいから、と。


そしたら急いで杏里は机の中から教科書やノートを取り出し、鞄に入れていた。



わかってたけど置き勉してたのか。

予想通りすぎて私はちょっと泣きそうだよ?



連絡先を交換しているからいつでも質問していいよ、と言えば目をキラキラさせてありがとう!とお礼を言われた。


いや、お礼はいいから勉強してください。同じ部活にはいるんだから。






その日の晩、杏里から送られてきたメッセージには“何が分からないのかわかんない(´;ω;`)ウゥゥ” と書いてあった。






そして私は確信した。

杏里は勉強が嫌いな訳じゃなく、ただのバカだ、と。



これからの定期試験でどうなるのか少し分かった気がするのは、私の気のせいかな?









なんかテスト受けたとき以上に疲れたんだけど!?












[オマケ]テストの結果を家族に見せた結果。


「おお!悠妃凄いわ!」


「さすが私の妹ね!」


「悠妃お疲れ様、少し間違えてるな。次、頑張れ。」


「……良くやったな。」





「……ありがとう。」




別にテスト見るなとは言わないけど、なぜ既に全員がみてるの?

私が制服を着替えに行っている間になにがあったの。

それにさっきまでお父さん帰ってなかったよね?










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