用語集
《銀貨》
作中世界において、吸血鬼を殺すために精製された兵器のことを指す。
現存しているアルジェントは五つと言われているが、フランシスカが二百年かけて世界中を探し回ったのにも関わらず、所在が明らかになったのは一つだけである。その唯一は、ミカヤが所有している。
強力な神の祝福がかけられた純銀を用いて精製されており、使役者の意思によって自在に形を変えるだけでなく、対象が吸血鬼であるならば絶大な効力を発揮する。その反面、対象が吸血鬼以外の生物であるならば、その効果は激減するどころか、発動さえ出来ない場合がある。
吸血鬼を屠るためならば、質量保存の法則や、エネルギー保存の法則さえも無視する。
現時点での正式な所有者はミカヤのみ。
例外を含めるならば、絶大な力をアルジェントで抑制しているシャルロットも所有者に入る。ただしシャルロットの場合は所有しているのみであって、使役することはない。
《大禍時》
第四月【守る物、護る者】にて登場した妖刀。
忌野家に伝わる妖刀とされるが、元々は青天宮が日本全国から蒐集した霊具の一つ。刀身の長さは、三尺あまり。
大禍時の特性として、妖気を無差別に吸収・妖気を無尽蔵に貯蔵、という二つの点が挙げられる。刀身が発する紫色の陽炎は、大禍時が貯蔵した妖気である。
忌野家の人間は、大禍時に宿った妖気を、特殊な術式と、己の霊力によって操作することを可能としている。
作中では忌野が『斬撃を飛ばす』という離れ業を披露してくれたのだが、それは厳密には斬撃を飛ばしているわけではなく、方向性のない妖気に”斬撃”という指向性を与えることによって飛ばしている。つまり実際には、ただ鋭い切れ味を持つ妖気を放っているだけである。
また、妖気を操作することによって空気や光の屈折率を変化させて、刀身を限りなく不可視にすることも出来る。他にも多種多様な応用が効き、相手や状況に応じた戦法を取ることが可能。
上述した点から、大禍時は妖(妖力を持つ相手)にとって天敵とも言える刀である。
ただし忌野家の人間以外には満足に扱えない、という欠点も持つ。
《吸血鬼》
作中世界において、人間の血を糧として生きる生物を指す。
基本的には人間と酷似した外見だが、高い身体能力を持ち、夜目が利き、さらに長い年月を生きた者になると特異な異能を発現する場合もある。
吸血鬼の代表的な弱点として日光、鏡、杭、銀、ニンニクなどが挙げられる。しかし、それは人間が物語を面白可笑しくするために作り出したものであり、作中での吸血鬼には目立った弱点は存在しない。
ただし上述した弱点が、まったくの作り話というわけでもない。
例えば日光。吸血鬼は夜目が利きすぎるので、眩しい日光を直視してしまうと網膜に軽微のダメージを受ける。率直に言うならば、目に染みるのである。
例えば鏡。吸血鬼の中には魔眼を所有する者もいるので、自身の魔眼を鏡の反射によって見ることを避けるために、鏡を嫌う吸血鬼も少なくない。
例えば杭。吸血鬼は血液を力の源とするので、その血液を生み出す心臓を破壊されてしまえば致命傷となる。
例えば銀。これが正真正銘、吸血鬼の弱点であろう。ただし通常の銀では効果がない。神の祝福がかけられた純銀、つまり銀貨を用いさえすれば、吸血鬼を退治することは容易。
また人間と接触した吸血鬼が、たまたまニンニク嫌いだったということもあり『吸血鬼=ニンニクが弱点』という図式が成り立ったらしい。
作中世界での吸血鬼は、人間の血を吸わなくても生きていける。人間と同じように、通常の食事によって栄養を賄う器官が体内に存在するからだ。
ただし、吸血鬼が人間の血液を摂取しない=自殺行為とされている。
吸血鬼が己の能力を維持するために必要なものこそが、人間の血液だからだ。この理由には諸説あるが、最も有力なものが次である。
吸血鬼は長命であり、常識外れの再生能力を持つ。その根源にあるものが、驚異的な新陳代謝の早さである。新陳代謝をする際には、細胞自体の入れ替わりが発生する。
人間の場合の新陳代謝速度は、肌の細胞で28日周期、心臓が22日周期、胃腸の細胞は5日周期、筋肉・肝臓などは約2ヶ月周期、骨の細胞は3ヶ月周期ほどである。
そして吸血鬼は、上記の新陳代謝をすべて一瞬のうちに行う。ゆえに自身が生み出す血液だけでは足りず、他者の新鮮な血液が必要とされている。
吸血鬼の唾液には、人間の細胞を活性化させる力がある。よって吸血された傷跡は、数分のうちに治癒してしまう。
また吸血鬼に血を吸われる際には、性的快楽に似た心地よさが発生する。士狼曰く『温かい風呂の中に浸かっている感じ』らしい。
伝承とは違い、吸血鬼に血を吸われただけでは同族にならず、吸血鬼の血液を体内に注がれた人間のみが吸血鬼となる。ただしその場合、人間にも免疫細胞があるため、その抗体が意味をなさないほどの多量の血液を送り込まなければならない。
《吸血鬼狩り》
作中世界において、吸血鬼の相手を専門とする組織を指す。
起源は数百年前にまで遡る。千年を生きた吸血鬼の一人(またの名を千年公)を首領とし、数多くの権力者や実力者が集まることによって誕生した。
トランシルヴァニアを拠点としている。
当初は、人間社会に巣食う吸血鬼を抹殺するための組織であったが、その在り方は時の流れと共に変わっていった。
近代の吸血鬼狩りは、吸血鬼殺しというよりは、吸血鬼を取り締まる組織に近い。言ってしまえば、少々乱暴な手段を用いる警察といったところ。
見境なく人間を襲うような吸血鬼には容赦がないものの、ひっそりと人間に混じって暮らしている吸血鬼は基本的に黙認される。このことから、吸血鬼狩りが重要視するのは機密漏洩の防止であると分かる。
人間や吸血鬼など、多種多様な種族や人種が入り混じった烏合の衆ではあるが、だからこそ個人の強さには果てがない。
また吸血鬼狩りの頂点に立つのは、表向きは貴族や資産家などの顔を持つ五つの家系である。キルヒアイゼン、シュベルトライテ、スカイウォーカー、朔花、ローグライアの合わせて五家が、それに該当する。
《子犬のネックレス》
作中世界において、シャルロットの宝物を指す。
第二月の終盤、士狼がシャルロットにプレゼントしたネックレスであり、シャルロットにとって士狼から初めてもらったプレゼントでもある。
その名の通り、子犬を象った可愛らしいデザインをしている。しかし、だからこそ子供っぽいのも事実であり、少なくとも大人の女性が身につけるものではない。
大人のお姉さんを自称するシャルロットではあるが、そのわりには子犬のネックレスを肌身離さず身につけている。おまけに、それが似合っているものだからタチが悪い。
シャルロットにとって命と同じぐらい大切な物品らしく、第三月の終盤でニノと戦闘した折、ネックレスが首から外れた際には、ニノに背中を向けてまで拾おうとした。
《白い狼》
作中世界において、超人的な能力を誇った一人の傭兵を指す。
およそ人間とは思えない戦闘能力を持ち、紛争地域で暮らす傭兵や兵士の恐怖の的となっていた。しかし、あまりにも人間離れした強さだったために、逆に実在を疑われてしまい、戦場で暮らす人々の間で一種のオカルトとして語り継がれていた。
そんな彼が、今どこで何をしてるのかは不明である。
《十二大家》
作中世界において、日本の国力の大部分を支えるとされる十二の家系を指す。
家や一族という枠を超えた、高い資産力や権力を誇る。
有能な人間が交わり続けてきたことにより、生まれついた者の多くが整った容姿と優れた能力を持つ。
常人にはない才能や、超能力とも称されるような異能を発現した家系も存在する。そういった家系は、大抵が近親婚を是とした一族である。近しい遺伝子同士の結びつきが突然変異を起こし、結果として超常的な能力を持つに至ったと推測される。
表社会でのみ活動する家系。
裏社会でのみ活動する家系。
そして表と裏の両方の社会で活躍する家系などが存在する。
【九紋】
裏社会において、圧倒的な殺人能力を誇る家系。
分家に宗谷家を持つ。
【高梨】
表社会において、有能な政治家を輩出することで知られる家系。
その特性上、十二大家の中でも特に知名度が高く、一般の人々にも広く知れ渡っている。如月紫苑曰く『内政や外交にも深く関与する』らしい。
高梨家の人間には、直感像記憶能力と呼ばれる絶対記憶能力が備わっている。
【鮮遠】
裏社会において、青天宮の頂点に立つ家系であり、陰陽道本家とも称される家系。
鮮遠家が歴史の表舞台に立つことはなく、ただひたすらに霊的守護のみを担う。鮮遠宗家の人間は、自分たちを裏社会に生きる者だと忘れないように、自らの名前に”夜”を意味する文字を入れるという。
作中に登場した名前としては、朔夜、真夜、耶宵が挙げられる。ちなみに耶宵の娘こそが、凛葉雪菜である。
分家に凛葉家を持つ。
【姫楓院】
表社会において、日本における華道最大の流派を誇る家系。
分家に姫神家を持つ。
【如月】
表と裏の社会において、日本を支配する財閥の一つとされる家系。
十二大家の中でも最大の規模と勢力を誇る。
【朔花】
裏社会において、吸血鬼の血を持つとされる家系。
吸血鬼狩りの頂点に立つ五つの貴族、そのうちの一つ。
日本で起こった吸血鬼や人狼の事件は、すべて朔花の管轄である。
【碧河】
医療方面に影響力を持つ模様。
【月夜乃】
【斑瀬】
【高臥】
【哘】
【御巫】
《人狼》
作中世界において、人間でも吸血鬼でもない第三の種族を指す。
吸血鬼を意味もなく殺すことで知られ、吸血鬼殺しのスペシャリストと呼ばれる。
全体的な総数は少ないものの、人狼一個体の能力は、平均的な吸血鬼を上回るとされる。
吸血鬼とは違って異能の類は持たないが、それを補って余りある身体能力を持つ。
また吸血鬼ほどではないものの、傷の治癒速度が早い。これは人狼が戦闘に特化した種族であるためだと推測できる。
そもそも数百年前までは、人狼と吸血鬼の間には多少の小競り合いはあったものの、今ほど対立していなかった。この二種族間の対立を決定付けたのが、ヘルシング一族がフランシスカによって皆殺しにされた事件である。
それ以来、狼と吸血鬼は決して相容れないとされてきた。
……が、どこぞの狼さんと吸血鬼さんは非常に仲がよろしい様子なので、いつか未来は変わるかもしれない。
《青天宮》
作中世界において、日本政府公認の退魔組織を指す。
その起源は非常に古く、現存している資料によれば鎌倉時代以前から国家の霊的守護を担ってきた、とされている。
かつて陰陽師が歴史の表舞台で活躍したが、その栄光も長くは続かず、いつしか時代の流れと共に退魔の者は姿を消した。
しかし妖や悪霊が存在するかぎり、陰陽師の存在意義も揺るがない。そんな彼らが、霊的なものを信じない人々の迫害から逃れるために、裏で群れる集団となったものこそが青天宮である。
その影響力は目を見張るものがあり、全国に点在する神社や寺で働く人間の大部分が、青天宮に何かしらの関わりを持つとされる。
ちなみに青天宮に所属している人間は、公務員と同等の待遇を受ける。これは警察や消防隊以上に、青天宮の人間には死の危険性が付きまとうためである。
また役割に応じて部門が別れている。
主な実働部隊は以下の三つ。
一つ、悪霊などの形ないモノを祓うことに特化した除霊班。
一つ、妖などの物理的に存在する異端を排除することに特化した退魔斑。
一つ、上記二つの班が任務中に遺した痕跡などを消す軌跡処理班。
これは飽くまで実働部隊であり、上述した三つの部隊以外にも多くの部署が存在する。例えば、妖や悪霊の探知に特化した観測班などが挙げられる。
妖・悪霊などは、その妖力によってカテゴリーが規定されている。以前(100年程前)は冠位十二階に倣って色で区別されていたが、現在はアルファベッドのS~Gまでで区別されている。
《たゆんたゆん》
作中世界において、凛葉雪菜の胸の感触を指す。
敵との戦闘によって足首を負傷した雪菜、それを見兼ねて彼女をおんぶした士狼は、背中に感じられる感触を『たゆんたゆん』と命名した。
このことから、雪菜のバストは実にご立派であると推測できる。
余談として、暦荘における、宗谷士狼の独断と偏見に満ちたランキングが次である。上から順に、高梨沙綾、ニノ=ヘルシング、凛葉雪菜、久織透子、シャルロット、如月紫苑、……………………姫神千鶴。
如月紫苑が平均的なバストであると仮定すると、シャルロットはやや大きめ、雪菜は結構大きめ、ニノはかなり大きめ、沙綾はめちゃくちゃ大きめ、ということになる。
千鶴のバストに関しては、推して知るべし、といったところ。
《ブルーメン》
作中世界において、士狼たちの街に店を構える喫茶店を指す。
周辺にはライバルになり得る有力店はなく、また人通りが盛んな場所に建っていることもあって、立地条件には恵まれている。
内装は、観葉植物が置いてあったり、絵画が飾られていたりと、お客様をリラックスさせることを第一としたデザイン。マスターである中原の趣味か、ジャズに似た音楽が鳴っている。
従業員は近隣の女子大生が大半を占めるらしい。またシャルロットとニノが看板娘のような存在となっている。雪菜と千鶴も籍を置いているが、二人がシフトに入ることは滅多に無い。しかし、たまに出没する。
ブルーメンを利用する客層は幅広く、サラリーマンやOL、近所の主婦連中、高校生や大学生、ちょっとしたデートの一環として立ち寄るカップル、隠居生活を満喫しているご老人などなど。
コーヒーや紅茶の美味しさ、軽食の種類の豊富さ、そして何より従業員の可愛らしさが大人気の店である。実際のところ、駅前にチェーン展開している有名喫茶店よりも人気があるとかないとか。