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第19話 セレスティア王立魔法学園

「エミー、よく似合っているわ」

「兄上、かっこいい」


母様とルディに褒められながら馬車に乗り込む。馬車にはありったけの荷物が詰められていた。どれも俺の服飾品や教科書など、学園で使う持ち物だ。


俺、エミリオ・バーンデッドは本日、セレスティア王立魔法学園に入学する。


先日15歳の誕生日を迎え立派な青年となった今、学園に入学する条件が全て整ったのだ。

入学条件は、試験に合格すること、15歳以上であること。なお、光の乙女などは例外を認められるらしい。


ゲーム内のエミリオ・バーンデッドは、コネ入学という設定だった。しかし、俺は努力した。寝る間も惜しんで直前まで勉強し――――そのおかげで、ギリギリのところで一般枠の合格を勝ち取り、見事自分の手で入学枠を得たのだ。


これには母様も、「あのエミリオが……!」と涙を流していた。確かに数年前の俺じゃ、信じられないことだ。




「ぼっちゃま、着きましたよ」

「ありがとう侍女長マリサ。あと、もう坊っちゃま呼びはやめてくれ」


馬車から降り、学園の門前に立つ。最初に寮に入るために、荷物を自分で持ち、一般寮の門番に入学証を見せた。


「ば、バーンデッド様!どうぞお通りください」


門番は慌てた様子で通してくれた。

それもそのはず。普通、公爵家は貴族枠で入るため、一般枠のここではない。貴族専用の他の寮に入るのである。


しかしそれだと、あのネチネルドや他の悪役令嬢たちと同じ寮になってしまう。それは嫌だ――!ということで、俺は人一倍勉強し、倍率の高いここの寮を勝ち取ったのだ。



「えーと……部屋は、ここか」


寮の中は意外にも綺麗で、ソファがある談話室や食堂など、かなり施設が充実していた。


俺の部屋は三階の角部屋。静かでこじんまりとしていて、実に俺好みの場所だ。そして驚いたことに、同部屋の相方は“あいつ”だった。



「久しいな、エミリオ」

「な、なぜエドがここに……!? 」


なんと、相部屋の相手は、小説仲間であるエドワルド・グレイソンだったのだ。


いや、俺が驚いているのはそこでは無い。なぜ、彼が学園に居るのかについて驚いているのだ。


エドは俺の1つ年下だ。つまり、まだ学園に上がれる年齢ではないのだが――――。


「なぜここにいるか?それはこの僕だからだ。当たり前だろう?」


答えが的を射ていないが、何となく分かった。

光の乙女の例外があるように、恐らくこの学園は、余程の天才ならば飛び級というのが出来るのだろう。


新定理を幾つも発見した彼にとっては、この学園に入ることなど、造作もないことだ。


「そうか……流石だな」

「ふん、まぁな。これからよろしく頼むぞ、エミリオ」

「おう!」


エドはふんと鼻を鳴らし、荷物の整理をしはじめた。それに釣られて、自分も整理しだす。


中には二人で行った聖地巡礼の思い出の品なんかもあって、俺たちはなんだかんだ楽しく過ごしながら荷造りを終えた。



◇◇◇




「第74期生の諸君、セレスティア王立魔法学園へようこそ。この学園では――――」


入学式。俺たちは丁度上下に並び、校長の挨拶を聞いていた。

やはり王都一の魔法学園。生徒数は見違えるほどに多く、その大半は貴族が占めているようだった。


「えー、次に新入生代表の言葉です。レオナルド王太子殿下、よろしくお願いします」


ざわり、と空気が揺れる。令嬢たちが色めきたっているのが分かった。


てっきり新入生代表の挨拶は、首席のエドがやるのかと思ったが、どうやらレオナルド殿下がするらしい。やはり次席だとしても、王太子のことは無下にできないか、と考えて納得する。


心なしか、エドは少し不機嫌になっているような気がした。



「――以上。新入生代表、レオナルド・ユースヴァルド」

「「キャァァァ!!」」


殿下の挨拶が終わり、黄色い歓声が湧き上がる。


殿下はふっと笑みを浮かべ、ひらりと手を振った。一瞬俺を見て微笑んだように見えたが、まあ気のせいだろう。気のせいだと思いたい。


「い、今、殿下に微笑まれたわ!」

「いや!私よ!」


両隣の令嬢たちがそんなことを言っているのも、気のせいだと思いたい。


「エミー、また後でね」


殿下は最後にマイク越しにそう言うと、段上から降りていった。その最後の言葉に、黄色い歓声が一気に騒々しくなる。


エドは目を見開きこちらを見ていた。目が「殿下とか知り合いなのか!?」と訴えている。

周りの令嬢たちもそのエドの視線に気が付き、俺の方に針のような視線を送っていた。


はぁ……それも全て気のせいだと思いたい。いや事実だ……。なんてことをしてくれたんだあのお方は!


俺はそう溜息をつきながら項垂れた。あぁ、穴があったら入りたい。

こうして、俺の学園生活は幕を開けたのだった――――。


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