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5 ユリアナ王妃と侍女

翌朝、早くから私は城へとやってきた。

ユーリ王子に会いたいと言うこともあるが昨日封じた大剣がどうなっているか気になって夜もよく眠れなかった。

あれだけの殺気を出している念がこもった呪物を私如きが作ったお札で封じる事ができているのだろうかと不安になる。


馬車を降りるとユーリ王子が迎えてくれた。

忙しいだろうに私を待っていてくれたようだ。

爽やかな笑顔で私が馬車を降りるのをサポートしてくれる。

差し出されたユーリ王子の手を掴んで馬車を降りる。

彼の手に触れるだけで胸がときめく。


「おはよう。今日もよろしく頼む」

「おはようございます。ユーリ王子は私に付き合わなくても大丈夫なのよ」


本当は一緒にいてほしいが、強がっていうとユーリ王子は笑みを絶やさず首を振った。


「俺が半分強制して城に連れてきたようなものだ。最後まで付き合うし、不都合があればなんでも言ってくれ」


「まぁ、そうね。でも助かるわ」


正直、ユーリ王子が常に行動を共にしてくれるのは仕事がしやすくてありがたい。

呪物鑑定士など怪しいと思う人も多く、情報を教えてくれないこともある。

ユーリ王子がいれば不都合なことなど何もないだろう。


歩きながら私は隣を歩くユーリ王子を見上げた。


「昨日の大剣はどうなっているかしら?変化はない?」


「何かあったという報告は受けていないが……」


王子が言い終わる前に数人の騎士が私の元へと駆け寄ってきた。


「ロゼッタ様、ありがとうございます!」


突然お礼を言われて私は戸惑いながらも愛想笑いを浮かべた。


「な、何かしら?」


「演習場のあの奇妙な剣を封印してくださってありがとうございます。演習場の空気が浄化されました」

「重苦しい空気もないし、剣が発している闘気みたいな恐ろしい感じも無くなったし、やっと本気で練習ができます」


喜んでいる騎士達に私は若干引きながら頷く。


「それはよかったわ。ただ、あの呪物すごい殺気を持っているから気をつけて。完璧に封じられた感じがしないのよね……」


釈然としていない私に騎士たちは笑顔で頷いた。


「どうにもできないと思っていたので助かりました。異変があったら直ぐお知らせします」


何度も頭を下げて去っていく騎士を見送ってからユーリ王子を見上げる。


「かなり深刻だったようね」


「そうだな。今日は、ユリアナ様と会って欲しい」


「王太子妃ね。お会いするの初めてだわ」


ユーリ王子に会うとわかっていたので一番いいドレスを着てきて良かった。

ホッとしている私にユーリ王子は頷きながら案内してしてくれる。


「ユリアナ様は兄上と幼少期からの婚約者で10年前に結婚している」


「知っているわよ。盛大なお式だったわよね、私は参加していないけれどお父様が言っていたわ」


ユーリ王子は頷きながら声を潜めた。


「10年前に結婚をしたが子が産まれていない。それを気にしているのかユリアナ様は様子が毎年おかしくなっていったんだ」


「なるほど。かなり繊細なお話ね。それが呪物と関係しているか見て欲しいということね」


「そうだ。ただ、子供の話や結婚の話はユリアナ様にはしないでほしい」


小さくいうユーリ王子に私は頷いた。


「分かっているわよ」


ユーリ王子に案内されながら城の中を歩いていく。

相変わらず重苦しい呪物の気配を感じて体が重い。

水の中を歩いているような重い足を動かしながら、たどり着いたのは見事な庭園だった。

冬なのに、綺麗な花が咲いており手入れが行き届いている。


「庭を案内してくれるのかしら」


「いや、庭を超えた離れの館でユリアナ様が静養されているんだ」


大きな噴水を横切って庭の奥へと入っていく。

細い小道を通り、木々を抜けるとこじんまりとした洋館が立っていた。

城の空間から抜けたからか重苦しい空気から解放されて清々しい気分になる。


「あの洋館でご静養されていらっしゃるの?」


私が聞くとユーリ王子は頷いた。


「3年ほど前から本格的に移られた。……何か感じるか?」


「……ぱっと見だけれど、嫌な気配はしないわ。逆にすごく清々しい空気で気持ちがいいぐらいよ」


私の言葉にユーリ王子は複雑そうだ。


「呪物であって欲しい気持ちもあったが、やはり夫婦の問題なのだろうか、兄上には幸せになってほしいのだが……」


「お兄さん想いなのね」


「俺が5歳の頃に母上が亡くなり、ずっと兄上が励ましてくれたから。俺が大人になったら兄上を助けようと思っていたのだが、あまり協力できないようだ」


がっかりした様子のユーリ王子の背中を叩いた。


「まぁ、こればかりは仕方ないわよ。それに夫婦の問題なんてユーリ王子がわからないだけじゃない?王太子は今幸せかもしれないじゃない」


何気なく言った私の言葉にユーリ王子はタメ気をつく。


「どうだろうか。兄上の幸せとはなんだろうか」


考え込んでしまいそうな気配を感じて私はもう一度ユーリ王子の背中を叩いた。


「さぁ、ユリアナ様に紹介してちょうだい。呪物が関係しているかどうかちゃんと判断してするから」





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