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18 ユリアナ様と呪物

イグナート様の部屋の前に行くとすでにロベール騎士団長と数人の騎士が集まっていた。

ユーリ王子に引っ張られきた私を見て手をあげてくれる。


「おはようさん。鈍感王子に起こされたか」

「寝巻きのまま連れてこられそうになったわ」


不満げに言う私に騎士たちがヒソヒソと話す。


「さすが鈍感王子」


「それで、兄上のご様子は?」


ユーリ王子が聞くとロベール騎士団長は真面目な顔をする。


「今医者の診察が終わったが、原因不明だそうだ。以前から足が悪かったが今回は両足だからな」


ユーリ王子は頷くと私を振り返る。


「ロゼッタ、兄上を見てくれ。医者が原因不明だと言うことは呪物の可能性が高いだろう」


「まぁ、可能性はあるけれど……」


頷く私をユーリ王子はまた引っ張って部屋の中へと入っていく。


「兄上!ロゼッタを連れてきました!」


ユーリ王子は大きな声を出した。

部屋の中央に置かれている大きなベッドの上でイグナート様は起き上がっている。

ユーリ王子を見て苦笑しているようだ。


「病人を見舞う声量ではないな」


「兄上、大丈夫ですか?」


捨てられた子犬のようにしょんぼりしながらユーリ王子はベッドの横に置いてある椅子に腰掛けた。


「大丈夫じゃない。足が突然動かなくなったんだぞ、お前は今日何度同じことを言わせるんだ」


厳しい言い方だがイグナート様の顔は呆れながらも笑っている。

どうやらユーリ王子は何度も部屋を訪れているようだ。


「少しお忙しかったから、お休みになる時期だって神様が言っておられるのよ」


侍女を従えてユリアナ様もちょうど部屋へとやってきた。

侍女が持っているお盆の上にはフルーツが乗っている。

それを手に取るとユリアナ様はベッドの横の椅子に腰掛けた。

両脇をユーリ王子、ユリアナ様に囲まれてイグナート様は顔を顰める。


「足が動かなくなっただけで病人ではない」


「兄上、ロゼッタを連れてきたから」


そう言ってユーリ王子は私を振り返る。

イグナート様は鼻で笑った。


「もしこれが呪いのせいだとしたら、この城のせいだろう。重苦しい空気はここ数日酷くなったからな」


イグナート様の言葉に私はハッとする。


「侍女の方も同じことを言っていたわ。私は最近城に来たからこんなもんだと思っていたけれど」


「ロゼッタ嬢が来る数日前から悪化している」


イグナート様の言葉にユーリ王子とユリアナ様は首を傾げた。


「俺はさっぱりわからない」


「私もだわ」


どうやら2人は鈍感なタイプらしい。

イグナート様がいる部屋におかしいところがないか目を凝らした。

呪物のせいで足が悪くなったのならすぐに感知できるはずだが今のところ何も感じない。

むしろ、清々しい空気を感じる。


「呪物らしき気配は感じないわ。ユリアナ様が居るお屋敷のような清々しさを感じるわね」


私が言うとユーリ王子は納得できなさそうだ。


「呪物ではないなら一体兄上はどうしたんだろう」


私によく調べろと言う視線を向けてくるユーリ王子にイグナート様が声をかけた。


「ユーリ。少し落ち着け。前から足の調子は悪かった、今日たまたま少しだけ調子が悪いのかもしれない」


「でも兄上が心配だ」


「明日にはよくなるかもしれない。だからゆっくり休ませてくれ」


いつまでも心配しているユーリ王子が面倒になったのか私に連れて行くように目配せしてくる。

確かにいつまでも心配そうにしているユーリ王子がそばにいれば休めないだろう。

私は肩をすくめた。


「ユーリ王子、イグナート様の部屋には呪物の気配が無かったけれど城の中を見れば何かヒントがあるかもしれないわ」


ユーリ王子の腕を叩くが立ち上がろうとしない。


「そんなにイグナート様が心配ならユーリ王子のネックレスをお守りにお渡ししたら?」


私がいうとユーリ王子の目が輝いた。


「そうだな。母上からもらったネックレスがあれば例え呪いがあっても大丈だ」


ユーリ王子はいそいそと首からネックレスを外してイグナート様に渡そうとした。


「それはお前が持っていろ」


イグナート様は受けろうとせずユーリ王子の手を握りしめる。


「ロゼッタが言っていたんだ、金色に輝いているって。きっと兄上のお守りになるから持っていて欲しいんです」


ね!というようにユーリ王子の青い瞳に見られて私は頷いた。


「はい。そのロケットペンダントは私の目には金色に光り輝いて見えます」


実際今もユーリ王子の手の中で輝いている。

神々しい輝きは衰えることがなくペンダント自ら金色に光って見える。


「……そうか」


なぜかイグナート様は頷いて考え込んでしまった。

ユーリ王子と私は目を合わせて首を傾げる。


「何か思い当たることがあるんですか?」


私が聞くとイグナート様は首を振った。


「何もない。俺の分をユーリにあげたのだから一つだけ借りよう」


イグナート様はユーリ王子からペンダントを受け取ると二つのうち一つを外した。

すぐに控えていた侍女が、どこから持ってきたのか銀のチェーンをイグナート様に渡す。

イグナート様はチェーンに通されたネックレスを首にかけた。


「どうだ、これで安心だろう」


イグナート様に言われてユーリ王子は頷いた。


「はい。これは元々兄上のものです。同じものをお母様からいただいたんだから」


先ほどまでしょんぼりしていたユーリ王子は目をキラキラさせてイグナート様を見つめている。

本当にお兄様が大好きなのが伝わってきてほのぼのしてしまう。


ほんわかした気分で居たが、向かい側に座っていたユリアナ様は冷めた瞳をしてユーリ王子を見つめていた。





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