灰色の夜
白とも黒ともつかない夜のあわいに
流れ出せば沖の只中
うすい雲を透いて射す
群れなす星の光の下
さざ波は 海の記憶も星の記憶も
今そこに吹き付ける
風の記憶さえも帯びながら
繰りかえし繰りかえし
送り出される
すべては辿り着くために
放たれた冴ゆる孤独も
海原の一滴 沈んでゆけば
古く大きな耐えがたいさびしさが
暗い水底 どこまでもつづいていて
溶けあうように
分かち合うように
滲ませて行く
一人ではなれない灰色に
染め上げて行く
いくつもの寄る辺ない夜に
すべては辿り着くために