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第二十九話

 何故急に黙っていた紅夜さんが、勢い混んで頼み込んで来たのか? その疑問はあっさりと氷解した。


 結局、一緒に流れて食事を取ることになりながら、説明してくれたのだ。

 豪華絢爛な昼懐石は圧巻の一言。じっくりと味わう。紅夜さんには悪いが話半分にしか聞いていない。


 今は素晴らしい料理に夢中だ。一応は聞いているから良いだろうということにしておく。


「じ、実は今回の失敗もあり、次で挽回しないと……もう失敗することが出来ないんです」

「それとさぁ、僕ちゃん達の話を聞きたいってのと何か関係ある訳ぇ〜? 結局、何か知らないけど助かったし、また助けて貰えば良いやとか考えてない?」

「そ、それは……」

「確かにな。古屋敷さんのお爺さんの提案は純粋な気持ちから来るのは分かる。だが、君からのお願いは必死さはわかるが……」


 失敗してから周囲からバッシング。後が無いから焦っているのかな? と思っていたらその通りの様だった。


「皆さんはあの予約が困難な有名店の予約枠を持てるくらいな方々です。食通なのでしょう? 是非アドバイスして欲しいんです」

「待て。誤解がある。確かに予約枠を所持してはいるが、招待券。つまり、自分達で入手した訳ではない」


 そう連が伝えるとアテが外れてしまったから、がっかりとしてしまったみたいだ。

 今度は頭を抱えだし始めた。ブツブツ言っていて正直やや怖い。


「ああぁあぁぁ。もうおしまいだ。どうしよう。私なんて尊敬されるお祖父様にも見放されるに違いない。それどころか仕事すらマトモに出来ないなんてえぇ……けど、私が調べても秘書や部下に調査させても、結論なんて出なかった……こ、こうなればもう古屋敷一族から追放に……」


 この光景を見ていた権三郎さんが盛大にため息をついた。


「最近は特にこの有り様だわい。全く持って情けない」

「うぅうぅぅ。お祖父様、申し訳ございません」

「あの。純粋に疑問なんですが、仮に私達と話したところで解決するとは思えないんですけど……食通の何か関係が?」


 出汁が抜群にきいていて、自作は到底不可能なプロ作成のだし巻き卵を口にして悶える。

 権三郎はちらりと横目で紅夜を確認すると、未だに落ち込んでいるのをみて、話してくれた。


「実はな。無駄に権力を持ってる者共にこやつの顔見せの会があるのだ」

「無駄に権力……」


 あまり想像したくないし、関わりたくないワードだ。しかし、権三郎さんは首を振る。


「イキっている若者はおらんよ。単なる暇と金と時間を持て余しておるジジイ共の集まりじゃ。まぁ、中には働くのが趣味な変人も混じっておるがな」

「それだけじゃないんです。めちゃめちゃ美食家で食にうるさくて厳しいんですよ」

「それはそうだ。なにせ、無駄に偉いだけあって旨い店での接待に、自分で出向く店はある程度の格式は必須。会員制の美食クラブ専用ラウンジや店を利用しておる連中ばかりだからな。あらかたの有名で美味しい店は抑えておるのだ」

「…………そ、そんなメンバーに会食の店手配して顔見せするなんて無茶だ……」


 なるほど。話は良くわかった。紅夜さんは、予約困難な有名店を利用出来るなら何か有益な情報を持ってるのかもと期待したのだ。

 結局は招待券だから意味ないけど。残念ながら私達には関係ないわ〜〜〜。


 と、思っていたら何故か連と空の視線が私に集まる。すると、流石に権三郎さんや、紅夜さんも何かあると思ったらしい。


「もしや! 何か良い案があるのですか?!?!」


 紅夜さんが物凄い食いついてきた。さっきまでの落ち込みは何だったのだろうか?


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