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第十七話

 迷惑ヨーチューバーのゆーたんの影響力は決して無視出来るレベルではなかった。

 配信では、純粋におにぎりが美味しいなら食べてみたいと希望する者もいたが、そんな訳ない。ステマやらせに決まっていると断言する層が沢山いたのだ。


 結果、大炎上した。


 そして、そのおにぎりが売られている場所を公言している以上、検証と言う名目で他の配信者達が叩き来るというのは必然だったのである。


「はい! では、今日はあのゆーたんが美味しすぎてゴメンナサイしたという例のおにぎり屋さんに来ています! やらせ疑惑は本当なんでしょうか? 気になりますよね? 今回は徹底検証します! 店内の許可は残念ながらとれなかったので、代わりに外で例のおにぎりを頂きたいと思います。ってか、本当に周囲に出歩いている人間いないですね、はははっ。商店街が貸切ですよ……って、うまああぁぁぁぁぁああああぁああ!」


 興味を持った人物や真偽を確かめようとする人間がホイホイ釣れていた。ちなみに結果と言えば、即落ちニコマばりに一口食べてあっさりと堕ちる人間ばかりであった。

 

「えっ、ちょ、待って、え? 何これ、本当におにぎり…………?」


 ゆーたんの他にも一人くらい似た反応であれば、それこそステマの可能性が高かっただろう。しかし、一人、また一人と犠牲者が増えるにつれ流石にこの人数を買収は不可能だろうとリスナーも勘付く。

 というか、リスナー個人でもわざわざやって来て、味わっている。


 そういう人物は訳知り顔でドヤ顔コメントを打つ始末。


 ━━━━つまりは皆が皆、右に倣えで美味しいと褒め称えるのだ。


 異常事態だ。だからこそ、人の興味を引き付けてやまないのだろう。


 自分なら絶対にああはならない。真相を己の目で確かめてやる。本当なのだろうか? そんなに美味しいなら食べてみたい。

 

 ━━━━誰一人否定的な感情を抱かない伝説のおにぎり。中でもデコボコ歪なのは幻のおにぎり。


 噂が噂を呼んだ。きっと特殊な米が使われているからというものや、和食の頂点を極めた人間が握っているなどと憶測も飛び交う。


 いつしか、配信を見た若い年齢層がおにぎりを求めだす人で商店街はやや賑わっていた。おにぎりは飛ぶようにどころか爆速で売り切れる日々だ。

 売る時間帯を見計らい待機しているらしい。別段告知してはいないので、全てお客さんや配信者の予測の賜物だ。

 

 そして呼応する様に、密かに示し合わせて動いた人物達がいた。



□■■□



 

 ある日。今日も今日とて開店して即座におにぎりが完売して営業を終了してしまった私は後片付けをしていた。すると、そこに数人のおじさん達が来店したのだ。


「申し訳ありません。今日はもう売り切れなんです」

「あ! いや違うんだ。ここの和人に用がある」

「分かりました。呼んできますね!」


 そこで呼んできた和人さん達を含めた人たちが奥へ向かい二階の部屋へと引っ込んだ。気にせず片付けているとそこへ連がやってきた。


「あの時は本当にすまない。俺が居たらあんな奴に好き勝手させなかったのに」

「も~~一番最初に配信者が来た時の話でしょ? 何回謝るの? もう良いよ。それに不服ではあるけど、あれがきっかけでお客さんが凄い来るようになったしね」

「それが気に食わない。俺が巻き込んだんだ。責任を持って璃々を守る。大体そんな騒ぎがなくともあの美味しいおにぎりなら直ぐに話題になるに決まっていた」

「守るって、連が? どうやって?」

「肉壁くらいにはなるだろ? その間に人を呼んでくることが出来る」

「ぷっ。真顔で連は冗談言えるのかー」

「冗談ではなくて、事実だからな」

「…………どうリアクションして良いのか悩む」


 そんなやり取りをしていた時だった。


 和人さんに呼ばれた。不思議そうな顔をするも、連と一緒に二階へ向かう。

 するとそこにはさっきのおじさん達が居た。ズラリと揃ってなぜだか神妙な顔をしている。


 そしてそのうちの一人が代表してか叫んだ。


「救世主様! 頼んます! 許してくだせえ! この通り!!」

「ち、ちょ、ちょ、えええぇぇえええええ!!」


 おじさん達一同に土下座されてしまうとんでもない事態に発展していた。

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