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第一話

オリジナル小説初心者です。よろしくお願いします

「え……は……? なにやってんの……?」

「きゃ~~~」

「げえっ。いや、これは、その……」


 植本璃々子は自宅の寝室で大きな衝撃を受けていた。ドサリ、と重い音を立てて床に落ちた買い物袋。しかし、それを確認する余裕なんて微塵もない。ドラマでは良くある、良くある展開だった。でも、だからってそれが自分自身にも同じことが起こってしまうだなんて誰が予想出来るって言うの??


 ───総合職。本来残業だった筈の仕事をがむしゃらに頑張って片付け帰宅してみると、ベットに彼氏が浮気相手を連れ込んでいた。


 今日は付き合って5年目の記念日の筈だったのに。きっと、今回は入籍の話が出るかもしれない。仕事一筋で働いて来た中、27歳で付き合い始めついに32歳。彼氏の相良 純は年下だ。年の差がかなりあり24歳。甘え上手で、可愛めな顔立ちをしている。何かやってあげるといつもオーバーに喜んでくれるのが嬉しくてつい色々とお世話を焼いており、プレゼントをしていた。相手が年下なだけあって、気遣ってデート費用は私が出すことが多い。

 だが、結婚の具体的な話をする様になったのだ。そして同棲生活の中で、二人で結婚資金を貯めようという話だった。今までの思い出が走馬灯の様に駆け巡り、呆然としている中、再起動は向こうの方が早かった。


「っあ~~~~ダル。バレちゃったらしかたないよねぇ」

「……浮気してたってこと? あんなに二人で一緒に頑張ろうって……結婚しようって言ってたのに」

「お前と結婚? はっ、冗談やめてよ。そんなのお前から金をむしり取るための建前に決まってるでしょ?」

「ぷっ。おばさん、鏡みたら? でもって年の差考えなって。お金目的以外であんたなんかが純ちゃんに釣り合う訳ないでしょ~?」

「……………そんな……だって……」

「結婚資金を貯めるだっけ? する筈のない結婚のためにご苦労様。ま、これは慰謝料がわりにもらってあげるよ~」


 どうやら馬鹿にするだけでは飽き足らずせっかく貯めていたお金まで奪っていくらしい。流石にこれには私も激しい怒りがこみ上げてくる。衝撃を受けていたので、直ぐには反応出来なかったものの、これはぶん殴っても許される案件だ。

 即座にやり返そうと決め、まずは言い返そうと大きく息を吸い込んだ瞬間だった。


「ってかさ。本当に結婚出来ると思ってたの? ドジで間抜けで不器用で……何より致命的なまでに”メシマズ”な癖に」

「…………っ!!」


 言葉の行き場を失ってしまった。黙るしかできなかったのだ。言い返せなくて。なぜなら、私は料理に関しては致命的なまでに出来ない。仕事はできるし、家事は出来る。だけどこと料理に関しては相性が悪すぎるのだ。ドジで間抜けで不器用。その通りなのだ。今までの人生でまともな料理が出来たことは一度もない。


 「ってか見て! 買い物袋の中身。デパ地下の惣菜ばっかりよ!」

 「そーそー。コイツさぁ、麻帆と違って、全く料理できねーの。つか、出来ないってレベルですらないから。信じられる? 包丁まともに使えない。米だ ってちゃんと炊けやしない。俺の方がよっぽど出来るね! 大体、一番簡単に出来る筈のおにぎりですらすげーまともじゃないから。食えたもんじゃないわ。動物の餌以下」

「キャハハハハ。うそ~~~~ウケる~~~~~」

「やっぱさ。女の子は、お料理が出来ないとね。麻帆みたくさ!」

「料理なら任せて! 麻帆はぁ、駅前のレストランのシェフなんだから、料理は得意!」

「ほら。璃々子と比べるまでもなく分かるよね? な?」


 話を聞けたのはそこまでだった。気づけば私は寝室を飛び出していた。目的地などなく、あてもなく走り出した。顔はもうぐちゃぐちゃだ。涙と鼻水で化粧がひどいことになっている。通行人の目も痛いのだけれど、気にする余裕は全くない。


 とにかく人目につかない場所を目指していたのに、気づけば屋台が沢山並んでいる通りに出てしまった。夏祭りだ。最悪なことが起こったのに、追い打ちをかけるかの様に運悪く最悪なことばかりが起きてしまう。


 しかし、ここまで来た私はいっそのことヤケになっていた。ぐしゃぐちゃな顔のまま神社へと向かったのだ。文句を言いたかったのに、言えなかった。なのでせめてその鬱憤を晴らそうというのだ。神様に八つ当たりして祈りで叫んでやろうと言う気持ちだった。ちなみに周囲が引いているのは無視。


 しっかりと順番を守って並び。いざ、参拝。ガラガラとこれでもかと紐を揺らし、大きな鈴を鳴らすと柏手を打った。


 ───私だって本当は料理が得意になりたかった。そりゃあもう料理チートレベルで!

もし、やり直せるなら伝説級のおにぎりだって握ってみせる!

あと捨てた元彼に復讐がしたい!


 ───その願い叶えよう


 ───え?


気づけば、あれだけ賑やかだった祭りの気配は全くなく周囲は静まり返っていた。





 そして、暗転。



 

「えっ! なにこれ?!?!」

───目を覚ますとJKになってるってどういうこと?! 


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