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タピオカ 5 年 11 月 12 日

 法律の話が苦手だ。法律が嫌いなわけではない。法というものが抽象的で考えにくくて、目が廻る。プログラミングの方が解り易いとすら思う。飽く迄私にとっては。

 でも法学部は人気らしい。弁護士とか裁判官とか検察官とかなんとか書士とか儲かるのかな。――あ、政治家。

 ――とまあ、面倒臭い話なので(法学畑の人には悪いけど)、今日何となく家の墓に往った話でもするか。(書籍だとこの辺で空行を置くのだろうけど、ストリクトな HTML は空行の存在をあまり認めないのである)

 先ずこの場を借りて自白すると、私は岡山県井原市の者である。千鳥の醍醐、元い大悟がテレビでご迷惑をかけている。ご容赦願う。

 まあ大悟はどうでもいいとして、生まれてこの方物見遊山はともかく、移住をしたことがない。母方は長らく井原に住んでいたらしいが、父方は秋田から婿入りしてきた。

 で、墓地が山中にあるので、往来が不便。ゼーゼーハーハー言いながら自転車を推した。自転車より徒歩のほうがよかったかも。

 もう祖父母は四人ともいない。外祖父、内祖父、外祖母、内祖母の順に死んだ。外祖父は共産党に被れてか、宗教を気に入っていなかった。そんな祖父が買った墓だから、墓石には「鳥栖家の墓」としか書いてない。「の」が平仮名なのもまんまだ。無宗教なのに何故墓を買うのか、は訊かず終いだった。母についても、神仏を敬っている所を見たことがない。父もマタギの儀式を行事としか思っていないらしい。

 墓誌には外祖父母の名前があった。祖母の方の名前を見たのは今日が始めてだ。

 外祖父母はまんま井原で死んだ。葬儀屋が司会をして、棺に花を納めて焼く、お坊さん無しの無宗教葬だった。

 内祖父は秋田で死んだ。葬式には新幹線で東京経由で往った。内祖父も一応マタギの狩猟には往っていたらしいが、一方で日蓮宗身延派にも籍を置いていたらしく、葬式では延々とお題目を聞かされた。葬式だというのに熊の肉をごちそうになった。

 内祖母は晩年井原に来て生活していて葬式も井原だったが、私はお腹の調子が悪くて缺席した。新調した喪服も未だに着ていない。今日、この墓に来て「ああ、秋田に眠らせたのかな」と考えた。

 そういう私も信仰心なんかない。特に死後の世界ってのが解らない。人間、毎日毎日睡眠と称して七、八時間くらい気を失っている。夢は観るかも知れないが、歳を採れば採る程夢が単なる生理現象で、いづれ自然科学で分析されるもんだと思っている。それなのに、脳の細胞が死んでも意識が連続する、というのはおかしい気がする。

 しかし喉が渇いた。墓地の麓の自販機で売ってあった緑茶が安かった。まあ、私も 35 歳とはいえ、したいことはあるし、精々程々の長寿を祈る、いや、願おうか。

 本作は「私小説」のタグを置いた通り、己の経験を元に編んだ物語です。無論、実際の経験とはわざと違えた部分も相当あります。今日の墓参りの件なんか猶更。

 一応今日の件を以て連載は休もうと思います。他に書きたい物語があるので。こっちに書きたいことがあったら書きますが。

 読者の皆様、ありがとうございました。

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