ep27 運動
【登場人物】
井藤フミヒロ・・・主人公。不登校の中学二年生男子。
ネーコ・・・未来から来た美少女アンドロイド。通常は制服姿。正式名称は田網祢絵子。
伊野上小茉・・・フミヒロのクラスメイトの美少女学級委員長。やさしくてマジメ。
* * *
日曜日。
晴れわたる空。
穏やかな風。
心地よい気温。
健全な者たちにとっては絶好のおでかけ日和。
といっても俺みたいな人間には関係ないこと......のはずなのに、
「さあフミヒロ様!体を動かしましょう!」
とネーコに強引に連れだされ、俺は大きい運動公園に来ていた。
「いや、家で勉強してたほうがよくないか?(万が一こんなとこで学校の人間にも会いたくないし......)」
「なにを言ってるんですか!
昼は外で体を動かし、夜はベッドで腰を動かす。
これこそ思春期の健全な男子たる姿でしょう!」
「後半は不健全だろ!」
「すいません。童貞のフミヒロ様の場合『右手を動かす』でしたね」
「うるせぇ!」
何でこんなことになったのか。
それは今朝のこと......。
「ん......んん?」
「あ、おはようございます。フミヒロ様」
目覚めると、俺の身体には下着姿のネーコがぴっとりくっついていた。
「ね、ネーコ!布団には入ってくるなって言ったろ!」
「だめ......ですか?」
ネーコは細い眉を八の字にさせておねだりするように言った。
「たのむから寝起きに〔セクシープログラム〕はやめてくれ!」
「これは〔セクシープログラム〕ではありません」
「えっ??」
「ネーコがフミヒロ様と肌を重ねていたいと思ってこうしているのです」
俺はネーコの言葉にドキッとする。
「そ、それってどういう......」
「わかりませんか?」
「いや、だって、ネーコはアンドロイドで、その、だから...」
「フミヒロ様。シますか?」
「な、なにを??」
「ナニを、スルと思いますか?」
「わ、わからないよ」
「運動です」
「!!」
「運動をして、いっぱい汗をかくんです」
「なっ!!」
「ヌルヌルと、ベトベトと、全身汗まみれになって...」
「ちょちょちょちょ!それはマズイって!」
「運動、シタくないですか?」
「いきなりそんなこと言われても!」
「シタいかシタくないかで言えば、どちらですか?」
「そ、それは......!」
「それは?」
「し、シタいかもしれないけど......じゃなくて!それは本当にマズイから!」
「シタいのですね!わかりました!では運動しにイキましょう!」
「......は?」
という具合に......。
今に至ったのが今日だ。
要するに、俺はまんまとネーコにたぶらかされたということ。
「フミヒロ様!なにを不貞腐れているのですか!」
「べ、べつに、ふてくされてないよ」
「せっかくスポーツジャージに運動靴で公園のグラウンドに立っているのです!運動しなきゃ損ですよ!」
「その割にお前はいつもの制服姿だけどな」
「チラリと見える可能性があったほうがフミヒロ様は頑張れるかと思いまして」
「ば、パンチラなんて期待してないから!」
「それについては、安心してください」
「?」
「履いてませんから」
「!!」
「したがってパンチラはありません。まんチラです」
「い、いやいやいや!マズイマズイマズイって!!」
「見たく...ないのですか?」
「そそそそういう問題じゃなくて!」
「フフフ。相変わらずウブなリアクションですね。冗談ですよ冗談。安心してください。履いてますから」
「ほ、本当か!?」
「確かめますか?」
「えっ、いや、そ、それは!」
「大丈夫ですよ。私も公共の場でまさかそのようなはしたないマネはいたしませんので。とにかく明るいネーコを信じてください」
「な、なら安心だけど......」
「本当は残念なのでは?」
「そ、そんなことよりも!な、なんでグラウンドに俺たち以外誰もいないんだろ?(万が一にも学校の人間に会わずに済むのは助かるけど......)」
「国家権力を使って貸し切ったからです」
「そ、そうなの?でもそっか、ネーコって政府機関の人間だもんな。アンドロイドだけど」
「正確に言うと、私が市のサーバーをハックしただけですが」
「ちょっ!」
「未来から来た私からすれば四十年以上前のセキュリティですからね。チョロいもいいところでした」
「そ、そんなことしちゃって大丈夫なのか?」
「一定の範囲内であれば私の現場判断に任されていますので問題ありません」
「ならいいけど」
「なんならフミヒロ様のため選りすぐりのコンパニオンを発注することも可能です」
「『一定の範囲内』が全然わからねぇ......」
「それに、部外者がいないほうフミヒロ様も安心でしょう?」
「...!まあ、そうだけど」
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