日常
家に帰るといつものように夕食事の準備をする。
そしてご飯を食べ、片付けを終えるとソファーに腰を下ろし2人でくつろぐ。
『貴方の瞳は私の魔法石と同じ色でとても綺麗ね。』
私はふと思ったことを口に出した。
すると彼は優しく私の頭を背もたれに押し倒し髪を撫でた。
『君のこの黒い瞳も吸い込まれそうでとても綺麗だけど。』
そういうと彼は私の瞳をじっと覗き込む。
私は頬を赤くした。
『もう、からかわないでよ!』
お互い軽く笑い合った。
彼は再び私の短い茶色の髪に愛おしそうに触れる。
『ねえ?いま何考えてるの?』
私は彼の黒髪を撫でた。
『さぁ。』
そういうと、いたずらに目を細めて笑った。
そして彼は黒髪に触れていた手に指を絡め、耳元で囁く。
『まだわからない?』
低く透き通った声で耳まで熱くなる。
私は恥ずかしくなり彼を少し引き離した。
彼は少し残念そうな表情をしたが、すぐに意地悪な笑みを浮かべた。
『…おやすみっ。』
このままでは身がもたない気がして私は自分の部屋に戻った。
次の日、朝食の後いつものように2人でソファーに座っているとき、私はふと気になったことを聞いてみた。
『ねぇ、ジェラルド。あなたと契約した時、願いを叶えることができるっていってたけど、みんなが幸せに暮らせますようにとかってできるの?』
『それは、無理だな。規模が大きすぎて代償が足りない。代償は自分のものでしかできないからな。』
『そっか…。』
私は考え込んだ。
その時神殿で会ったシエルの話を思い出した。
『じゃあこの世界に誰かを転移させてほしいって願いは叶えることができる?』
『どういった理由かよくわからないが、1度くらいならできると思う。やったこともないから上手くいく保証もないし、代償もかなり大きいと思うけど。』
『なるほどね。じゃあ、もしこの魔法石に誰かを転移させる願いをかけたら、これを通して他の人が転移することはできるの?』
『たぶんな。でもなんでそんなこと気になるんだ?』
『ううん。気にしないで、ただ聞いてみただけだから。』
私は再び考え込んだ。