散歩
それから数日、雨の日が続いた。
この日は久しぶりのいい天気だった。
ちょうど窓の外を見ていたジェラルドに話しかけた。
『ジェラルド、ちょっとだけ散歩に行かない?』
久々の晴れの日に嬉しくなり、私はジェラルドの手を握り家から出てきた。
ついつい浮かれて手を握ってしまったことに気づき、サッと手を離した。
『…ごめんなさい。つい、浮かれてしまって。』
私は少し恥ずかしくなり俯いた。
それを見て、彼は私の茶色の髪を沿うように撫でた。
そして少し意地悪な表情で見つめた。
『えっと…その…。』
私は頬を赤くし、思わず目を逸らした。
彼はいたずらっぽく笑い、その隙に無防備になった私の手を優しく包み込んだ。
2人はそのまま水辺に来た。
水面に光が反射してキラキラと輝いていた。
周りを囲む木々の葉が優しく風に揺れ、枝の間からの陽射しが心地いい。
『ねぇ、ジェラルド、ここって本当に素敵なところね。』
私はジェラルドに自然に微笑みかけていた。
『ああ。素敵だ。』
ジェラルドは優しく手を引き、私を抱き寄せて言った。
背の高い彼の髪が私の頭の上にかかる。
突然のことで時間までも止まったような感覚になった。
爽やかだけど少し甘い彼の香りが私を包む。
『俺はずっと孤独だった。だが、いまは君がいてくれて徐々に自分の中で何か変わったような気がする。俺のそばにいてくれてありがとう。』
彼の腕の中にいた私は少し顔を上げ彼を見た。
『私こそ、貴方に出会えてこんな気持ちを知ったわ。ありがとう。』
金色の瞳と目が合い恥ずかしくなり少し目線を逸らす。
彼はその瞬間も見逃さずに、そっとキスをした。