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浮気現場を目撃するドン底から始まった異端なラブコメ  作者: 漆田
一章 〘浮気はきつし怒る乙女〙
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6話『飲み会(合コン) 始 』

 大学の授業が終わり、薄井と大学の最寄り駅まで歩いている。

 今日は飲み会だ。

 五駅くらい先にあるちょっとだけ大きな都市に目的の飲み屋がある。

 ま、合コンなんだけど。


 「こういう時に限って五限の授業入れてないんだよな」


 薄井は気だるそうに道端の小石を蹴っ飛ばす。


 「ま、あっち行ってから適当に時間潰そうぜ」


 不機嫌でもない薄井をなんとなく宥めるような言葉をかけて、俺たちは電車に乗り込んだのだった。



 

 俺たちはまるで女子のようにカフェでお茶を楽しんだ。

 周りの女子たちから妙な視線を浴びていたのはきっと気のせいだろう。

 気のせいであって欲しい。


 そろそろ飲み屋へ向かわなきゃいけない時間。

 俺たちは席を立ち、飲み屋へと向かった。


 カフェで聞いた話だが、今日は男子三人、女子三人の計六人で執り行われるらしい。

 元々違う人間を呼んでいたが、来れなくなったらしく俺を呼ぶことにしたのだという。

 薄井的にはかなり都合の良い展開だろう。

 欠員を埋めようとしていたら、知り合いが破局した。

 ご都合主義ってやつか? これ。


 いや、違うな。

 多分こいつは佳奈が長谷川と一緒にいる段階から画策していたはずだ。

 今になってやっとあの妙なワクワク感と線が繋がる。

 人の不幸を楽しんでいたわけじゃないのだ。

 自分の都合が良くなり、一人で喜んでいただけだった。

 なんというか……。

 侮れないやつだ。


 ちなみに、相手の女子については全く知らないらしい。

 薄井はあくまでも男のメンバー集めにしか関わっておらず、女子は女子に一任したということなのだとか。

 てか、話を聞く限り、一任されたのは薄井っぽいのだが。

 ま、正直この辺りはどうでも良いのであまり深く突っ込まない。


 待ち合わせ場所は飲み屋の前。

 仕事終わりのサラリーマンやデート終わりの高校生カップルたちが横切る中、俺たちはボーッと立ち、待っていた。

 薄井は真剣な眼差しでスマホと睨めっこしている。

 忙しなく指を動かしているので誰かと連絡取っているのだろう。

 ま、普通に考えたら今日の飲み相手だろう。


 何もせずに棒立ちってのも面白くないので、俺もまるで誰かと連絡取っているかのようにスマホを弄り始めた。

 ちなみにネットサーフィンしているだけです。


 ネットサーフィンに集中していると、隣から薄井の声が聞こえてきた。

 パッと顔を上げると、薄井の向かいには見知らぬ男性が立っていた。

 金色と茶色のメッシュ。

 まさに大学生というような感じだ。


 「お、君が佳奈ちゃんの元彼氏か」

 「アハハ、そうです。初めまして」


 佳奈の顔はそこそこ広い。

 サークルにも参加し、文化祭などの委員会にも参加している。

 だから俺のイメージは佳奈の彼氏というようなものだったのだろう。

 虚しくなる。


 「彼女居なくなったから参加か?」

 「ちげぇーよ。敷田は俺が無理矢理誘ったんだよ」

 「なるほどなぁ」


 彼はふーんというような感じで話を終わらせた。


 「そうだ。先に自己紹介しとくか。俺は大久保輝樹(おおくぼてるき)。これでも法学部所属だぜ」

 「見た目とは乖離してますね」

 「ハハハ、良く言われるぜ。ま、教育学部じゃないからセーフなんだよ」


 と、笑った。

 掴みどころの無い人だなと思っていたが、案外取っ付きやすい性格なのかもしれない。


 「ちょっと待ってな。俺、君の名前当てるわ」

 「そんなこと出来るんですか?」


 超能力者かよと思ってしまう。

 しかし、俺の名前をどこかで聞いたことがあるのだとか。

 ま、佳奈の彼氏として知っていていのだから、名前くらい聞いたことあっても不自然じゃないだろう。


 「えーっと……」


 口元に手を当て、うーんと唸る大久保。

 その様子をニヤニヤしながら見つめていた薄井は我慢できなくなったのか横槍を入れた。


 「敷田慧斗だ」

 「ちょっ、お前! 言うなよ」

 「おっせーからだよ」

 「は?」


 冗談っぽく睨み合う二人。

 一触即発なんて雰囲気はさらさらなく、先に笑った方が負けというような雰囲気の方が強めなので俺は隣で笑いを我慢しながら、この茶番を見つめていた。


 「おー、みんな揃ってる、揃ってるね」


 パンパンっと手を叩いて割って入ってきたのは知らない女性だった。

 茶色い髪色の女性である。


 「誰?」


 俺は薄井に耳打ちする。


 「高橋(たかはし)。今日の女子陣営のボス」

 「は? ボス?」

 「よ、ボス!」


 気付いたら大久保が乗っかっていた。

 これダメだ。

 収拾つかなくなるやつだ。

 何? 大学生ってこういうもんなの?

 俺今まで民度高いところに居たんだな。


 「あと二人もすぐに来ると思うよ」


 高橋はサッと切り替えて業務連絡を行う。


 「じゃ、先に入っちゃうか」

 「うん、それが良いかな」


 ということで、俺たちは飲み屋へ入ったのだった。

 サーっと店員に案内された個室。

 そこで食べ放題、飲み放題コースを注文し、女子二人をおいて先に飲み物を注文したのだった。


 居酒屋特有のザワザワと騒がしい空間。

 俺は既に雰囲気に酔っ払ってしまっていたのだった。

 ま、これなら佳奈のこととか気にせず楽しめるわ。

 ちょっとだけ安堵していた。

 きっとこれは場の空気に酔ってるからである。

 多分。

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