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ある街の独白  作者: キシ ゲキセイ
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8



子は、この布に気付くだろうか。


私は、子と交流する術を持たない。


私が一方的に育てている気になっているに過ぎない。


子は本能的に乳の実を食べ、小さな毛布にくるまり、これまで生を繋いできている。


子の目は何もうつさない。


故に、人が服を着るということも知らないのではないか。


この布も、寝るには小さくなってきた毛布の代わりになってしまうのではないだろうか。


服の代わりとなるものとしてこの布を選んだが、こんなところでまた悩むことになろうとは。


この時、私はあることを思いついた。


私には人でいうところの体温がある。


人は地熱と呼ぶ。


人が身体を動かして熱を発するように、私もまた動き、熱を発する。


人にわかるような動きではない。


大地の深い深い部分で、私を成すエネルギーは常に動いているのだ。


私は、出来るだけこの動きを止めてみた。


全ての動きを止めることは難しいが、社の周囲くらいまでならなんとかなる。


ここしばらくは、私の感覚が集まっていたこともあり、他の地に比べて社周囲の土地は暖かくなっていた。


それは大地に手を触れればわかるほどに違いがあった。


私は、動きを最小限にすることで社の温度を下げようと思った。


人は体温調節を自在にできない。


だから、服を着て調節するのだ。


私の目論見は成功した。


冷えた社の中で裸でいるのは厳しい。


子は、布を身体に巻きつけ、服のように纏うようになった。

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