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子はもう赤子ではない。
背丈は、既に乳の実の木とさほど変わらない。
ここで私はあることに気がついた。
人は服を着る。
成長に合わせて布や皮を組み合わせ、それを服にして着用する。
この子は何も身にまとっていない。
赤子の時に寝かされた時のまま、小さな毛布を寝床にしているだけで、その身には何も着けていない。
社に訪れた人がこの子を見ないようにするのは、この子の身なりのせいかもしれない。
私は、この子のいく先を思い悩んでいたはずなのに、急に、人としての在り方が気になってきてしまった。
この子に、人として恥ずかしくない格好をさせねば。
そんな思いでいっぱいになった。
今思えば、この時既に、私は子の親のような気になっていたのかもしれない。
消化するかどうかで悩んでいたはずが、子の身なりを気にする時点で答えは出たも同然だ。
私は、この社で、この子を育てていくことに決めた。