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私は迷った。
果たして、これは私の栄養としていいのだろうか。
この社に寝かされているということは、人として不要と判断されたものと私は認識している。
つまり、この子は不要な赤子なのだ。
泣き声ひとつ上げず横たわっている赤子に、私は興味を持った。
私のところに、私の栄養として送られてきたのだ。
私の好きにしてもいいだろう。
私はその子を消化せず、社で生かすことにした。
社の片隅に乳を出す植物を生やした。
その木の根は社の石壁を貫き、私から栄養を摂り、枝の端にはたわわに実をつけた。
子は、腹が空けばその実を口に含み、乳のような果汁を吸った。
社には多くの人が日々出入りしているが、この子に気を留める者などいなかった。
皆一様に、敢えて見ないようにしながら私への栄養を置いて、逃げるように去って行った。
果実の実をかじり取れるほど子が大きくなった頃、私はこの子が私の元へ置かれた理由を悟った。
子は、子の目は、光を受け取ることができていなかった。
この子の親は、何も写せぬ子の目を悲観し、この子を私の元へ送ったのだろう。