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私も食事をする。
人が少ないうちは虫の死骸や枯れた植物を主に食べていた。
徐々に人が増えていき、私の食事内容も変わっていった。
老いた家畜、熟れすぎた野菜、人や家畜の排泄物、人が作った木製品、壊れた農具、割れた皿、食べ残された料理、人が必要としなくなった物。
私はそれらを摂り、新たな土を産み泉に水を満たす。
時には輝く鉱石や宝石を。
時には新種の植物を。
私は人々から食事を得る代わりに様々なものを産み落とした。
どのくらい経ってからだろう。
いつしか私の食事は私のための社に集められるようになった。
毎日、毎日、そこには私の栄養が運ばれてくる。
私はそれらを毎日、毎日、消化するのだ。
ある日、社の中に生き物の気配を感じた。
珍しいことではない。
人にとって不要な生き物とは結構いるようだ。
しかし、この日は少し違った。
社に寝かされていたのは人の赤子だった。