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白魔の殺し屋  作者: 久樹圭吾
1/1

一話

初めて書いてみました。

よろしくお願いします。

  辺り一面草や木も何もない荒野。


「 お前は人じゃない・・・・・()()だ。人の命を何とも思わない狂った()()だッ!!」


  地面に膝を付け仲間だった者の血で濡れた男が恐怖や怒りを込めて目の前の少年に言う。その少年は白い髪に黄金色の瞳で顔つきだけを見るならまだ十六才ほどに見えるのに、その目は人間らしさが感じられない底のない暗闇のようでまるで人形のようである。

 

  男の言葉に私は周りを見る。そこは一つの地獄であった。男の仲間だった百人ほどのうち大半は目を潰され両足か両腕もしくはその両方を斬られそれ以外は首と胴を斬り離されている。

 でも・・・・・それら全てを行ったことにこの感情は何も揺れることはない

  生きるためにもう何千何万人の人を殺してきた。だから今回も―――――

  少年は男に向かって手を振る。グシュいう音が鳴って男の首は地面に落ちる。それを確認してから後ろを振りかえる。


「・・・出てきなさい」


 少年が声をかけると何一つなかった荒野から黒いスーツに金色の髪そして特徴的な蛇のような縦長の緑色の瞳の男が出てきた。その男は今回の殺しの依頼を斡旋したギルドの一つ帳に所属する従業員であった。

 殺し、窃盗、スパイなどあらゆる後ろ暗い仕事を取り扱う裏社会にあまた存在するギルドに依頼され、その依頼に適した者をギルドが選び依頼する。ギルドには広い情報網が存在するため行方のわからない者さえ見つけるため多くの者がギルドを利用する。


「ふふ、さすがあのドレッド事件を引き起こし国すら滅ぼした白魔の殺し屋ですね」


 男はそういって笑みを浮かべて少年を観察するようにその肢体を見る。


「・・・依頼を受けてからずっとつけていましたよね」

「おや、気づいていたのですか。それならなぜもっと早くに声をかけなかったんですか」

「・・・あなたから殺意は感じなかったから」


 それに殺意を持ったら───殺せばいいだけ───


「なるほどそういうことですか・・・それと、今回あなたをつけたのは依頼主から確認を依頼されたからなんでそこのとこ分かっておいてくださいよ。では、報酬を支払わせていただきますね」


 男はそう言って持っていたスーツケースを開き少年が確認できるように差し出す。そのスーツケースの中には大量のお札が入っている。


「一束が百万円となります。合計で百束ありますので報酬通り一億円になります」


 少年は差し出されたスーツケースを受け取りそのまま男の横を通過しようとするに男に声を掛けられた。


「それと一つ面白い話があるんですけど、興味ありませんか?あらゆる願いが叶うという聖杯について」


    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


  2150年世界は吸血鬼、人魚、妖精、獣人等の幻想の者とされていた亜人達と人間との人魔戦争を各々の種族の領土を認めるのと戦争を仕掛けることを禁止し、条約を結んだ国に攻撃された場合共に条約を結んだ国同士が協力し反撃する、領平(ヴァルフ)条約に主要国家が率先して批准することで他の国もそれに続いて結ぶことで終える。それから十年経った2160年、領平(ヴァルフ)条約に加盟する中でも十二存在する常任理事国の一つエウレア王国に私はいる。      

 

 ここまで来るのには各地から出ている飛行機を利用することで到着した。エウレア王国は魔林の森の自然に溢れ、また別名魔導技科国と呼ばれるほど魔導技術に優れており中でも対抗反式魔導などエウレア王国にしかにしかない存在しない魔術式等が存在し、フィール王家によって統治されている。

 今日は一年に一回の星に願いを捧げる星願祭のため、通常より屋台がずらりと並んで人に溢れ活気があるらしい。

『安い!旨い! フィラル牛の焼き鳥はいかが!』

『体に透き通る! バナナとリンゴに牛乳をミキサーにかけたミックスジュースはいかがですか!』

『イチゴをすり潰したパリパリの皮に一粒のイチゴとイチゴのクリームを包んだイチルクはいかがでしょうか!』

 屋台で働く人達の売り文句を聞きながらすべての屋台が一覧できる噴水広場まで歩くと近くのベンチに腰掛ける。多くの人が見える。友人と楽しんでいる者に愛する人と連れ添うもの、そして家族と過ごしている者。

 ちらりと頭に浮かぶは()()()()()()()()。でも自分には誰かと共に時間を共有するなんてことはきっと・・・・・

 

「もし、良かったらコレをどうぞ?」


 そう言って透き通るような白い肌に、スミレのような紫色の長い髪。そして淡い青色の瞳に眼鏡した美女は先ほど通った屋台で売られていたイチルクを差し出してくる。


「・・・・・どうして」


 目の前の女性にはこれまで一度だって会ったことはない。かといってどこかしこかの組織から仕向けられた刺客というわけでもない。刺客ならこんな人通りの多い場所で仕掛けてくることもほとんどないうえ、そもそも女性から殺意が感じられない。それなのにどうして・・・・・


「ふふ、だってあなたこっちを凄く見ているのだから欲しいのかなって思ってね。ほら、とりあえず食べてみて」


 女性の差し出していたイチルクを手に取る。口に含んだ瞬間イチゴの香りがいっきに香るとともにイチゴの甘酸っぱさが口に広がっていく。


「どうかしら、美味しかったでしょ?」

「えぇ、美味しかったです」

 そして、もう一度周りの人を見る。


「ここは・・・・・初めて来ましたけどいい国ですね」


 今まで行った場所は戦争中で荒れ果てそこに住む人々もみな暗い顔をしていたり、また国の上層部が腐敗していてそこに住む人々の怒りなどの負の感情ばかりを見てきた。でもこの国の人々は───


「多くの人が笑っています。誰もがなにかに支配されることなく笑顔でいられています」

「・・・・・不思議なことを言いますね。まるでどこかの王様みたいですね。でも、あなたから自分の住んでいる国を褒められるのを聞いていてなんか嬉しく思うのと同時に少し気恥ずかしいですね」


 そう言ってほんの少し顔を赤らめて笑いかける。


「そういえば、まだあなたの名前を聞いていませんでしたね。先に、私の名前はフィリアといいます。あなたの名前は?」


 名前・・・・・それを聞かれたのは一体いつぶりだろうか。今までずっと戦ってきたから。仲間なんて誰もおらずただがむしゃらに。いつの間にか血濡れの白魔と呼ばれるようになって・・・・・


雪那(せつな)といいます」

「では雪那、もしよかったらですけど一緒に回りませんか?」


 ちょうどこれからこの都市の地形や住居の位置などを把握するため都市を歩き回る予定だったが地元の人と一緒に回れば自分では気づかない通路にも気づくことができるかもしれない。


「はい、いいですよ」

「では、行きましょうか」


 そう言って彼女は立ち上がり自身に手を差し伸ばしてくる。その手を取り立ち上がり共に歩き始める。


 そこから先は屋台などで売られているものを食べ歩きしたり射的などのゲームをしたり本屋さんに行ったり都市のいろんなところを巡った。

 そして今、俺たちは最初の元いた噴水広場のベンチに腰をかけている。空を見上げると日も陰り、夕焼けに染まっている。屋台はちょうど仕事終わりのお客さんで昼間よりごった返している。


「雪那、私の好きなように連れまわしてしまいましたが楽しんでもらえましたか?」


 楽しむ・・・・・その気持ちはよく分からないがそれでも何か温かいものを感じました。だからきっと―――――


「はい、楽しかったですよ。それに見ず知らずの人にいろいろしてくれてありがとうございました」


 彼女はそれを聞いて嬉しそう微笑む。


「いいえ、こちらこそありがとうございました。きっとあのまま、あなたには声をかけないで一人で回っていたらこんなにも楽しめませんでした。・・・・・それと申し訳ないんですけど、もうそろそろ帰らないと()()()()()に怒られてしまうので帰らないといけません」

「そうですか」

「はい・・・・・ですが二十一時頃に花火が上がるのでよかったら見てください。普通の花火と違っていろいろあるので楽しめますよ」

「わかりました。楽しみにしておきますね」

「はい、ではさようなら」

「ええ、さようなら」 


 彼女は手を振り笑いながら、人ごみの中に消えていった。

 さてこちらもそろそろ準備をするか。少年のその瞳が16歳という少年にそぐわない先ほどよりも暗い底のない殺し屋のものに変わっていく。

「これが――――願って」

 少年の後半の言葉は人ごみのざわめきに消えてしまうと共に少年も立ち上がり人ごみのなかへ歩き出す。



一章が終わるまで二日に一個ずつ投稿していきたいと思っています。評価が貰えると励みになりますのでもしよかったらお願いいたします。

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