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【八十四階層】ダンジョン再攻略②

死亡説を否定するために投稿。

 マジックバックから取り出したのは、最新型のキャンプ用品。


 魔石グリル三熱源式、バーベキューコンロ『剛力火山FS4』だ。


 実を言うと無煙グリルはあと2つ持っているが、LPガスのコンロを買おうとしたら、発売前の魔石式を提案されたんだ。



「弥、まさかここでバーベキューをやろうと言うのか……しかもこれって魔石式じゃんかよ。電気式のようにプレート全体に熱がいき渡り、ガス式のように火力調整が抜群で、炭のようにじっくり焼き上がるあの魔石式グリルじゃん」


「お、おう……光太、詳しいじゃん…………」


 ちょっぴり引くわ。


「欠点と言えば、値段が高いのと、燃費が悪いことでしたっけ?」


 ひかるの言う通り。


「そうだな、これオプション込みで70万円するからな、しかし……今日倒したモンスターだけで2000個近くF級魔石を手に入れた」



「当然肉も持ってきてるんだよな? 弥様」


「もちろんだ光太。見ろ! モンスター肉(特上)60kgだ!! 持って来たのは肉と少しの野菜と水だけだけど、かなりの容量だった」


「ゴクリ、兄さんが容量30倍のマジックバックにこだわった訳が解りました。流石です」



 俺は『剛力火山』を自慢しながら準備をする。



「ステンレス製のコンロに、3つの火力調節つまみが付いていて、火加減は自由自在。魔石式なので三熱源と言ってもムラなく広範囲を焼き上げる40×120。

 広範囲プレート。サイドテーブルは、作業台として使えてに使い勝手がかなり良いうえに、ここを外すとカセットコンロに早変わりして、煮物も二箇所同時に出来てしまう。グリルの蓋は簡単に取り外しがてきて、コンロを中心に囲うように食事することも出来てしまう。どうだ?」


 みんなを見ると、俺の説明はそっちのけで肉を焼く準備をしてる。



「おーい、何か言うことがないかぁ?」








 4人でコンロを囲い、各々肉を焼いている。

 持ってきた野菜はコボルトスパイスを振りかけ食感を良くして、出来るだけモンスター肉に負けない副材料に仕上げる。


 手の空いた者は、フロー、フェイの分の肉を焼く。



「頂きまぁす」

「いただきます」

「頂きます!」

「にゃにゃにゃにゃん」

「ニャニャニャァン」

「はい、頂きます」



 美味い、いつも食べてるモンスター肉だが、みんなで食べると更に美味い気がする。


 疲れもあるのだろうか、みんなで一心不乱で食べいて、咀嚼音しか聞こえない。


 半分(500g)くらい食べたあたりから、ようやく会話が出始めた。



「はぁぁ……なんか幸せです」

「同感……」

「光太さんに同じく……」

「ニャンニャンニャン」

「にゃんにゃんにゃん」


 美味すぎる肉、シャキシャキの野菜、そしてまた肉。

 仲間と一緒に、焼きながら食べる。


 確かに幸せだ。

 ビールもあればなお良いが、探索中だからな。


 次からは炭酸飲料でも、持ってこようかな。


 会話が出始めると、話題がダンジョンでの戦い方になってくる。


「翠ちゃんが魔法攻撃を避けられるようになったのはすごいな。戦い方に幅が広がるよな」


「弥さん、光太郎さんも限界突破Ⅰで魔法攻撃を避けられましたから、それも組み入れましょう」


 そう、限界突破ⅠならMPの消費も少ないし、作戦の一つとして使えそうだ。


「はい、報告です。気のせいかもだけど、モンスターの狙いが俺に集まってる気がする」


「先ずは、距離の近い人に……同程度の距離だと何か法則があるのでしょうか?」


「一番弱い光太を狙った可能性もあるし、ただの偶然や、モンスター毎に特性があるかも知れない。もっと戦ってみないと予測も出来ないな」


 みんな、モグモグしながら頷く。


「あれほど多くいた探索者も全く見なくなりましたね」


 そう、ひかるの言う通りなのだ。


「駅前ダンジョンの上級向けの狩り場は十階層のヒュージスライム、十一階層のゴブリン、十二階層のスケルトンまでですね。それより強いモンスターを狩るなら『ドス』のダンジョンに行きますから」


「階段付近も一応セーフティーエリアだけど、探索者どうしの揉め事を避けるなら、六階、十一階、十六階にあるセーフティールームは鍵がかかって安心だからな」



 翠ちゃんと光太郎は駅前ダンジョンなら、かなり詳しい。


「そうなんですね。だとすると、魔法が豊富に使えないパーティは、スライムは避けますからね。でスケルトンは刺突攻撃に強いし、ゴブリンの素材は旨味が少いので、人が少なくなってくるのは解ります」



 そうなんだよ、ゴブリンソルジャーのドロップアイテムは『ゴブリンの耳』で、鑑定しても合成素材としか表記されないんだ。

 因みにもっと上層階で出てくるゴブリンのドロップアイテムは『ゴブリンの小耳』だった。


 いまのところ、価値の解ってないアイテムで買取価格もポーションやモンスター肉より安いんだ。


 ただ、買取不可ではないから無駄ではない。



「とりあえず、明日から十七階層のワーフォックス狩りをしようと思う。光太郎と翠ちゃんには厳しい相手だけど、スキルを使いながら頑張ってくれ」



 俺、フロー、フェイとひかるは単独で相手にできるから、5体まとめてやってきても大丈夫なはずだ。




 ■□■□■□■□■□■□



 2日後の夜。


「光太郎が強くなってきたから、狩りの予定を変えよう」


 ワーフォックスには単独で勝てないけど、翠ちゃんとセットなら確実に勝てるまで成長した。


 そして驚くべきなのはスキルの使用回数が爆上がりしたことだ。


 限界突破Ⅰを使わせてみたら、16回も使えるようになってた。


「俺が強くなったと言うより、狐男ちゃん倒しすぎて戦い方が解ったってかんじだ」



「私も同じですが、光太郎さんは確かに力をつけてきてます。なんででしょう?」



 確かに、ワーフォックスばっかり戦ってきたから、癖と言うよりパターンがあるのが判ってきた。


 一見、臨機応変に対処してると思われるワーフォックスだけど同じ条件で同じ攻撃をすると、相手返しが全く同じになるんだ。


 同じ条件で攻撃だから、相当数のパターンがあるんだけど『これだ!』って攻撃を3つ使えるだけで、戦いがかなり楽になる。


 でも俺は力でゴリ押しだけどね。


「で、明日は十八階層のゾンビを光太のお腹がタプタプになるまで狩る予定だ」


「兄さん、光太さん用のマジックポーションは用意してますか?」


「光太専用マジックポーションはないから現地調達。だけどパーティ用は60本ある。ここのゾンビを計算して少なめに持ってきた」


「マジックポーション60本で少なめとか、感覚がおかしい件」


「それね」

「それね」

「ニャン」

「にゃっ」



 解せぬ……





 ■□■□■□■□■□■□



 ボス部屋にいた6体のワーフォックスを始末して、墓地ステージに来た。


 ここで出現するゾンビは力が強く耐久力も高い上に、速度上昇スキル封印の毒までもっている。


 反面、攻撃速度は遅いし、移動速度は激遅だ。


 とりあえず容赦なく魔法を使って倒そう。


「光破LV2!」

「火弾LV1!」


「にゃにゃあ!」

「ニャニャニャ」


 3体のゾンビ相手にして2体を魔法攻撃で倒した。


 残りの1体は、ストレスの溜まったフロー、フェイのおもちゃとなったた。


 フローとフェイなら、絶対に負けないがかなり時間がかかる。



 その間にひかるたちと、検証結果を報告しよう。



「やっぱり2体の場合の最適解は光破LV2と火弾LV1ですね」


 ゾンビに対して攻撃の浸透具合を調べてみた結果、『刺突攻撃≪物理攻撃<魔法攻撃≪火魔法≪光魔法』と、みんなで判断した。


 ゾンビ1体には、火弾LV2。

 ゾンビ2体には、重なる位置から光破LV2と火弾LV1。

 ゾンビ3体には、重なる位置から光破LV3。

 ゾンビ4体には、重なる位置から光破LV3と単体に火弾LV2。


 5体は余ったゾンビをみんなでタコ殴りにした。


 あとマジックポーション(上)は、光破LV2を5回分回復する効力があった。




「もうお腹タプタプ……」



 今日は早いけど、安全地帯に行って休憩しよう。


 ボス部屋で出て来たゾンビの数は6体で、全員バラけて戦った。


 俺とひかるが先に倒せたから翠ちゃんと光太の援護にまわった。



 ゾンビ相手に肉弾戦はどうにも効率が悪い。


 数えると今日倒したゾンビは130体ちょいだろう。


 ゾンビを倒して得たマジックポーションは26本だけど、使いすぎて11本しか残っていない。



 十九階の地上に帰れる魔法陣部屋で休憩を取りながら肉を焼いて食べる。



「モグモグ、今日はっきり気づいたんだけど、

 弥の魔法回復量がおかしい件について、モグモグ」


 光太郎の言葉に誰も返事をしなかったが、2人とも肉で頬張っていたので頷いていただけだった。


 たしかに今までは、MPが他の人に比べて高いとは感じていたけど、MPが枯渇してからマジックポーションを飲んで、また枯渇するのに光太郎と差がありすぎた。



 あっ……



「ムクムク……コクン。どうしました弥さん?」


 俺の変化をいち早く察知した翠ちゃんは、慌てて肉を飲み込み聞いてきた。



「今思い出したんだんだけど、俺には『MP消費量半減』のパッシブスキルがあるかもって、知り合いが言っていた」



 知り合いだからな、同志じゃないからな。


「モゴモゴ、それだ! チキショー弥のやつまだ隠し弾を持っていやがった」


「格闘技経験もないのに戦士並みの身体能力、バランスの取れた多彩なスキル、毎日長時間ダンジョンに潜っても平気なメンタル、ねこちゃんずのチートな相棒、さらにMP消費量半減とか、もう国家に狙われるレベルですよ兄さん」



「光太郎さんのファンタジーなスキルも霞んじゃいますね」


「最近、メキメキ強さを実感して、調子に乗ってたらこれだもんなぁ、バクッ、モシャモシャ……」




 光太郎のクレームを聞きながら明日の予定を再確認した。



 明日からは、強くてまともに戦うのが面倒だった、回復スキルを持つヒュージトレントとの再戦だ。






ステータス




 ネーム……一関 光太郎

 レベル……21

 ジョブ……勇者(仮)

 ヒットポイント……870

 ストレングス……99

 デクスタリティ……117

 マジックポイント……240

 スキル……限界突破3、光魔法3、再生2、剣技1、火魔法0

 パッシブスキル……EXP2倍

 コレクション……第一ダンジョン攻略







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[良い点] 作者生存確認! お兄ちゃんって誰が言ってるのかと少し読み返したわ
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