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【七十三階層】第一ダンジョン攻略④

 十三階層の探索を始めた。


 まだ、手強い敵は来ないだろうと思い、MPを温存しなくてもいいかなと判断したので、索敵スキルを使って足速に移動する。


 ここは一定間隔で綺麗に石板を敷きつめてあり、その完成度に圧倒されそうになる。


 壁は彫刻でも施してあるような、流線形の跡があり、シンプルな彫刻に見えなくもない。


「まるでお城の通路みたいですね」


「わたしも、みどりさんと同じ感想です」


「オレもオレも!」



 光太郎の後出し相づちに苦笑しながら、モンスター反応を3つ見つけた。



 距離から判断すると、通路より広い場所で待機してると推測できる。


 待機してるよね?


「みんな、この先でモンスターが3体いる。ここは俺、フロー、フェイでやるから、みんなは見学してくれ」




「要は、モンスターの特徴や弱点を暴けってことな」

「ついでに、私たちの出来ることを見つけましょう」

「この先が広がっていて広間のようです。小さなモンスターが遠くに見えます」




 確かに肉眼だと、小さめのモンスターが1体だけ見える。



 おお、これは猪突猛進すると両側から不意打ちを受けるやつじゃん。



「フローは右、フェイは左、俺は真ん中を貰う」


「にゃにゃ」

「ニャッ!」


 先手を取るつもりで駆け足で突っ込む。

 左右からフローとフェイがすり抜けていく。


 速すぎだろ!?


 正面のモンスターはコボルトで、身の丈に合わない剣と盾を持ち、気品すら感じるような鎖帷子を身に纏っていた。


 俺は体を回転させて盾のない側の下半身を狙って攻撃した。



 だが、相手は盾を使って俺の攻撃を防いでしまった。


 単純すぎだったか? と思ったら無理をしたのかバランスを崩して立て直しているところだった。



 そこで、変に動きが止まったので、追撃を与えてやった。


 自宅ダンジョンで出てくるコボルトジェネラルも妙な挙動をするんだよな。




「コボルトキング、モンスターランク7。多彩なスキルを使用できる可能性を秘めている。です!」



 後ろから教えてくれた翠ちゃんの情報に、僅かな引っ掛かりを感じたが、今はコイツだ。




「ギギギ 闇撃LV1」



 このコボルトキングは装備は違っても、魔法攻撃の挙動はコボルトジェネラルと同じだった。



 いい物を装備はしているが、戦いだけならホブゴブリンよりも戦いやすい。



「ギギギ 闇撃LV2」


 2度ほど良い攻撃を与えた後に、コボルトキングの反撃は上位の魔法攻撃だった。

 闇撃LV1はテニスボールくらいの大きさだとするとLV2はサッカーボールくらいはある。


 オマケに射出速度が倍くらいありやがる。



 避けられない……


「グッ!!」


 魔法攻撃の特徴は、すでに理解している。


 避けられないのなら、盾でカバーするか、着弾に合わせて気合いを入れれば、ダメージは半減できる。



 痛いしかなりのダメージを受けたのが解った。

ダメージを半減出来たはずなのに、この威力かよ。


 確かに俺が使うと、雑魚モンスターを一撃で始末して、大活躍していた魔法スキルだからなぁ。



 魔法攻撃以外は大したことないが、気の抜いた攻撃をすると盾で弾かれる。



「ギギギ、二連撃」


『二連撃』は初撃を外して、二撃目を盾で防ぐと楽に対処できる。


 こっちは物理法則を無視しない二回攻撃でやり返した。




「ギギギ 闇撃LV2」



 またこの痛い攻撃か!!

 速すぎはしないが、避けられる攻撃じゃないのは、もう理解した。



 闇撃を盾で受け止め、痛みを我慢してやり返す。




「ギギギ 高速剣」



 コボルトキングはスキルをバンバン使ってくる。

これも厄介なスキルだけど、格下が使うと無意味に感じる。



 鎖帷子と盾に阻まれて若干攻撃しにくいけど、ダメージをどんどん与える。





 ん? 途中またしてもぎこちない動きをしたので、畳み掛けるようめった打ちする。



 コボルトキングは、消滅して魔石を落とした。



 フローとフェイを確認するとちょうど魔石をジャラジャラと落としていたので、ほとんど同じタイミングで倒したようだ。



 俺の方が攻撃力あるのになぁ。



 しかし、魔石の数が多過ぎな気がするんだけど。



「弥!」

「弥さん大丈夫ですか」

「ダメージはどのくらいですか?」



 光太郎、翠ちゃん、ひかるちゃんが一斉に俺のところにやってくる。


 そうだ、あの攻撃だけは厄介だった。


 あのLV2の魔法攻撃はヤバい、あんなのを5、6回も受けたら死んでしまうかもしれない。




 念のため回復スキルを使って、検討会を始めた。



「まず俺から一言話すな。モンスターと戦ってあんなに痛い思いをしたのは久しぶりだ。あの魔法攻撃だけは別格で厄介だった。みんなは俺たちの戦いを見て、分かったことや感じたことはないか?」



「じゃ俺から」


 光太郎が手を上げて立ち上がる。

 わざわざ立たなくてもいいのにな。



「弥には強敵みたいだったけど、フロー、フェイの2人は楽勝だったぜ。なにせあの闇撃だっけか? あの速い魔法すらスルリと避けて側頭部にダブル猫パンチだったからな。あと、猫パンチ五連打をもろに食らってる時がいくつかあったから、コボルトキングも大したことないように感じた」



「光太ありがとう、あと立たなくてもいいからな。フロー、フェイならコボルトキングはノーダメージか……」



 光太郎に釘を差したので、次の翠ちゃんは座ったまま感想を述べる。



「私のスキルで『多彩なスキルを使用できる可能性を秘めている』とありますが、4種類のスキルを多彩と呼ぶにはおかしいかなって思いました」



「あのコボルトキングは2回ほど変に動きがぎこちない時がありましたよね? タイミングは3体とも最初と『高速剣』を使った後でした」



 みんなよく見てる。


「俺たちは部屋に入らずに様子見していたせいか、見向きもされなかったぜ。あとひかるちゃんと翠ちゃんの話しを組み合わせると、本来なら挙動がおかしいところに別のスキルが発動するんじゃないのか? それなら『可能性を秘めている』って辻褄が合うぞ」




「……」

「……」



 そうだった、光太郎は普段が馬鹿だから忘れてたけど天才だったんだ。



「なんか、いいですねこのパーティ」


 ひかるちゃんの笑顔がちょっと怖い。




「それより、こっから攻略ペースガタ落ちだよな。弥がいるからって舐めてたわ」



「いや、そーでもないぞ。これからちょっと気を入れるから」





 次からの攻略は索敵を使い、走ってダンジョン探索をした。





 走ること5分ちょいでモンスターの反応を確認した。


「正面の部屋、敵は3つ! 高速!!」




 速度上昇スキルを使いつつ、先制攻撃をしかけるため、勢いよく部屋に突入した。




 前回と違い、フェイントを使って小さいダメージを確実に与え、動きが止まるタイミングで大振りの攻撃。




「ギギギ 闇撃LV1」



 魔法を使い終わったやり頃のコボルトキングを剣で切りつける。


 そろそろ来るぞ……


「ギギギ 闇撃LV2」



 今だ! 迫りくる闇の一撃をギリギリのところで避け、さらに大きく体勢を崩すこともなかった。


 反撃までは出来なかったけど。



 ニ戦目で判ったけど、俺の攻撃には臨機応変に対応しようとするが、スキルの攻撃パターンは完全固定だった。


 もう2回ほど戦えば『高速』スキルさえかけていれば、楽勝なモンスターになるだろう。




 この後の『二連撃』『闇撃』を完全攻略してコボルトキングを倒した。




 フローとフェイはまだ戦っていたが、スキル『高速剣』を出されてから、程なくして消滅した。





「みんな、魔石は無視してどんどん進もう」



 途中、たくさんの『コボルトスパイス』だけは拾ったが、下に降りれるであろう階段のある部屋を見つけた。



「ボス部屋だけは分かりやすいのな、豪華な扉があるから」




「しかも索敵スキルのおかげで、コボルトキングが7体いるのも確認済みです」




「ここからは総力戦だ。事前にバフをかけておこう」



「にゃにゃっ(防御膜)」

「ニャニャッ(壁)」



「怪力」

「瞬速」

「高速」

「限界突破Ⅲ」




「にゃにゃっ(防御膜)」

「ニャニャッ(壁)」



 翠ちゃんとひかるちゃんに防御スキルがかかり、扉を開ける。



 初っ端は俺と光太郎の魔法攻撃だ。


「火球LV3」

「光破LV2、ガス欠だ」


 俺と光太郎は敵の動線が重なるポイントで魔法を使った。


 しかし光太郎の魔法ではコボルトキングを倒せなかったし、俺の魔法でも2体目に到達したが2体目を倒すことは出来なかった。



 フローとフェイは距離のある2体を、光太郎は自分の食べ残しを、翠ちゃんとひかるちゃんは俺の食べ残し、そして俺は一番近い位置にいる2体、まとめて相手だ!




「いくぞ!!」



 さらに速くなった俺はコボルトキングを圧倒できるが、相手だって動かない訳じゃない。



「ギギギ 闇撃LV1」

「ギギギ 闇撃LV1」


 二箇所からの魔法攻撃はかなり避けにくい、他を気にしていたら余計なダメージを貰ってしまう。




 この次に来るLV2の魔法攻撃さえなければ、大したことない相手なのに。




「加勢に来たぜ」


 早くも光太郎が手伝いに来てくれたけど、そろそろ痛いのが来るぞ?




「魔法はもらったか? 次はもっとクルぞ」


「今の俺、スペシャルタイムだから避けちゃった」


 確かにコボルトキングなら余裕な感じを受ける。




「にゃにゃっ(防御膜)」

「ギギギ 闇撃LV2」

「ギギギ 闇撃LV2」



 絶妙なタイミングで光太郎に魔法防御スキルがかかるが、パリンと壊れる音がして、さらに光太郎を襲う。


「光太!」


 俺の方に来た魔法攻撃を避けながら、光太郎を気にかける。



「ダイジョブ、ちっと痛いだけ。さすがフロー」



「加勢します」

「加勢します」


 翠ちゃんとひかるちゃんが揃ってやってきたが、ひかるちゃんの魔法防御スキルは消えていた。

コボルトキングの魔法攻撃を受けたのだろう。




 残るコボルトキングは4体。



 こっちは、4対2で戦うことになった。



「ギギギ 二連撃」

「ギギギ 二連撃」


 コボルトキングの二連撃は翠ちゃんとひかるちゃんに襲いかかったが、フェイのかけてくれた物理防御スキルに阻まれる。



「光太、ひかるちゃん離れて!」



 翠ちゃんには、まだ魔法防御スキルが活きているから、頑張って貰う。



「ギギギ 闇撃LV2」

「ギギギ 闇撃LV2」


「ぐっ、耐えられます!」


「よし、一斉攻撃だ!」


 

 4人がかりでなだれ込むように攻撃したらコボルトキングが1体消滅した。


「ギギギ 高速剣」


 ひかるちゃんを狙う攻撃は光太郎が受け止める。

 なんか凄く格好いい。




「ギギギ 剛腕」

 


 なんとコボルトキングは攻撃力上昇スキルまで使ってきた。



 だけど、4対1の戦いに為す術もなく消滅してしまった。




「やったぁ、ボス部屋攻略ぅ」

「お疲れ様です、みどりさん、光太郎さん大丈夫そうです?」

「はい、わりと余裕な感じですが、防御なしで立て続けにあんな攻撃を受けたらと思うとゾッとします」

「はい、俺と翠ちゃん以外はノーダメージね。MVPはフローとフェイな」

「にゃん」

「ニャン」


 確かにスキルをガンガン使わないと勝てないまでも、危険な戦いに発展していたと思うな。



「お疲れ様、たった今出現した階段を降りたら休憩しよう」




 俺たちは一時の休息を取るために、十四階層に降りていった。

















 ステータス





 ネーム……一関 光太郎

 レベル……32

 ジョブ……一般人

 ヒットポイント……640

 ストレングス……64

 デクスタリティ……96

 マジックポイント……128

 スキル……限界突破3、光魔法3、再生3

 パッシブスキル……EXP2倍

 コレクション……なし







 ネーム……七瀬 翠

 レベル……30

 ジョブ……農耕士

 ヒットポイント……750

 ストレングス……90

 デクスタリティ……90

 マジックポイント……150

 スキル……攻撃力上昇3

 パッシブスキル……EXP1.2倍、M鑑定

 コレクション……なし





意外と手こずった十三階層でした。

コボルトキングの身体能力は、現時点のひかるちゃんよりちょい上くらいです。

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