表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/102

【六十四階層】翠と光太郎、自宅ダンジョンに挑む

「あのぅ」


 スタンピードが終わって、一息ついていたら横から声がかかった。


 受付の女性のことすっかり忘れてた。


「あっ、大丈夫でしたか? もう少しすれば動けるので、少し休ませてもらいます」


 本当は今すぐ動けるんだが、忘れたことを誤魔化すために、嘘をついてしまった。



「・・・・・・」

(私を守るために動けなくなるまで守ってくれたの?)



 なんかジィ~っと睨まれてる気がする。

 受付さんを忘れていたことを、バレないうちに退散しなくては。


 しばらく無言の空気が漂っていた。

 気まずい・・・・・・



「・・・・・・テイマーだったんですね。猫も小さいのにもの凄く強くて、でも速すぎてよく見えなかったんですけど。あっ、助けてくれてありがとうございました。わたし管理者の七瀬葵といいます。後日ダンジョンの管理者としてお礼をさせて下さい」


 気まずい空気を払ってくれた『七瀬葵』という女性。

 ん、七瀬? ま、まさか。


「あのぅ、七瀬さんでしたっけ?」


「はい」


「つかぬ事を伺いますが、このダンジョンって以前にもスタンピードがありました?」


「はい、そうなんです。その頃はここら辺一体は畑だったんですけど」



 ビンゴォ!!

 トラブルの予感しかしないからズラかろう。


 逃げても後でなんかありそうだけど、とにかく逃げたい。


「そ、外の様子を見てきます。怪我人とかたくさんいたら手伝わないと」


 適当な理由を言って逃げる準備を進める。



「あっ、待ってお名前を」


 俺はこの場を走り去った。


 だがちょっとだけ遅かったみたいだ。


 外には翠ちゃん光太郎を含めた50人近い探索者達と遭遇した。


「翠ちゃん」


「弥さんお久しぶりです、光太郎さんに聞いてビックリしました。妹の葵を助けてくれてありがとうございました」


 光太郎から事情を聞いたのか、もう色々と、わかってるみたいな翠ちゃんだ。


「うん、中で休んでるから見にいってあげなよ」


「はい、弥さん。・・・・・・それと、落ち着いたら話があるので逃げないで下さいね」


 翠ちゃんの洞察力は健在だった。





 △▽△▽△▽△





 翠ちゃんに釘を刺されていたので、そのまま自衛隊が到着するまでこの場にいる羽目になった。


 待っている間、改めて翠ちゃんの妹と自己紹介をし合い、光太郎達とこれまでのことを話した。


 結論として俺も光太郎も翠ちゃんも運が良いとしか思えない。


 俺は1人で回復と攻撃魔法、光太郎も再生と攻撃魔法と限界突破の反則スキル。

 翠ちゃんは、光太郎に比べると見劣りするけどモンスターの鑑定スキルと攻撃力上昇、素で光太郎を少しだけ上回る力。


 これにフロー、フェイの物理防御と魔法防御のスキルが加われば一気にダンジョン攻略が進むことだろう。



 俺は頃合を見て、2人をスカウトする。


「なあ、光太、翠ちゃん。ダンジョンは1パーティの許容人数で挑んだ方が効率がいい。これからは一緒にダンジョン探索をしないか?」


「・・・・・・」

「おっ、いいねぇ! 翠ちゃんも俺も育ってきたしパーティ再結成いいじゃん」



 光太郎は乗り気見たいだけど、翠ちゃんは思うところがあるらしい。


 力の差を気にしてるのかな?


「弥さん、あの時に見た最後のモンスター、Gラビットと戦わせて下さい。返事はその後でいいですか?」


「ほう、あの時の弥はGラビットが適当な相手だったのか」


 翠ちゃんの意図はなんとなく分かった。


 俺は気にしないが、翠ちゃんがそれで納得するならそれでいいか。


「それでいいよ。いつ来る? 俺は何時でもいいぜ」



「それでは明後日でお願いします」


 何故明日じゃないのかは、ダンジョンを管轄する機関から呼び出しと褒賞をもらうために1日取られたので、明後日が最速だった。


 マジで翠ちゃんは超能力者か?



 この後、自衛隊や翠ちゃんの妹さんからの質問攻めで、この日最大の疲労感を覚えた。





 △▽△▽△▽△




 光太郎の運転で翠ちゃんがやってきた。

 ナンバープレートの文字から、レンタカーだと判別できた。


 翠ちゃんはレオタードとライダースーツの合体タイプと装備は変わらないが、武器が増えている。薙刀の刃先だけみたいな形状の短刀を持っている。


 そして奇妙な形の小型シールドを持っている。


「いらっしゃい、光太、翠ちゃん。翠ちゃんは気合い十分だね」


「はいっ!」


「あれっ!? なんかあっちの方が整地されてる。弥、まさか土地を分割販売するのか」


「ダンジョンの隣でそんなこと出来るかっ。そこに住まいを移して、今の家はダンジョン管理棟っぽく改装するんだ」



 家を建てる予定の場所を横目に見ながら、部屋に招き入る。


 光太郎が着替えてる間、翠ちゃんは装備の点検をしている。


 おっ、翠ちゃんのシールドはハンマーが脱着できる特殊仕様だった。


「ハンマーはスケルトン対策です。実家のダンジョンにはスケルトンが一階層で出て来るので。でも、スキルを使わないと光太郎さんと2人がかりでも倒せません」



 って言うことはスキルを使えばスケルトンを倒せるのか? たった2人で!?


 翠ちゃんとの会話はここで途切れた。

 翠ちゃんの緊張が伝わってくる。

 まるで資格試験でも受けるかの様だ。


「よっ、準備出来たぜ。翠ちゃんのついでに俺も同じミッションをやってみるぜ」


 光太郎は楽しそうだな。


「弥んとこのダンジョンに出てくるGラビットを単独で倒せればいいんだよな?」


 いつからそんなに決まりになったんだろうか。


「その前に聞いていいか? 2人はどんなモンスターと戦ってた?」


「はい、駅前ダンジョンのGモール、Gバット、スライム、化けキノコ、コボルトソルジャー、ラージスライム。実家のダンジョンではスケルトン、ゴブリン、ホブゴブリンをサポーターとして補助していました」


 結構な種類のモンスターと戦ってたみたいだな。


「分かった。なら四階層まで一気にいくぞ」


 こうして俺、フロー、フェイ、光太郎、翠ちゃんの五人組で自宅ダンジョンに潜っていった。









 ステータス



 ネーム……七瀬 翠

 レベル……23

 ジョブ……農耕士

 ヒットポイント……575

 ストレングス……69

 デクスタリティ……69

 マジックポイント……115

 スキル……攻撃力上昇3

 パッシブスキル……EXP1.2倍、M鑑定

 コレクション……なし



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 農耕士の固有スキルって農業だよね?
[一言] 久しぶりの投稿めちゃくちゃ嬉しいです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ