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【七階層】役所に行く

眠いので、少し前倒します。

 四谷さんは、下に行く階段を(しばら)く見続けていた。


(わたる)さん、私は天国のご両親になんて伝えればいいのか。風呂場を改造なさって。ええ、確かに今この家は弥さんの物。でも、さすがにこれは……」


 天然なのか、わざとボケたのか判らない四谷さんだ。

 だんだんいつもの感じに戻ってきた。

 両親が死んでから、なんか距離を置かれていた気がしたからね。

 でも、改造したくらいでダンジョンは出来ないからな。



「弥さん、その下に風呂場があるのですか? 随分と不便になりました」


 うん、四谷さん完全に元通りだ……



 ……

 …………


 長い説得の末、さすがにダンジョンが家に出来たのを信じてくれた四谷さんは、深刻な顔をしていた。


「この思い出の家も、国に没収とかされちゃうのかしら。せめて来年くらいまで待ってもらえないのでしょうか?」


 実は両親が植えた柿の木は、順調ならば、来年実を結ぶ予定なんだそうな。


「弥さん、あれは本当に、あのダンジョンなのですか? 弥さんの本棚にあった、ファンタジーな世界の入り口とかだったりしないのですか?」


 掃除という名目で、俺の本が読まれていた件。


「ああ、あのダンジョンだよ。 今、証拠を持ってくるから、ちょっと待ってて」


 俺は、冷蔵庫からモンスター肉を取り出して、四谷さんに見せた。


「弥さん、まさかこれは……ダンジョン産の肉!? 嘘よね? こんなにたくさんあるなんて嘘よね?」


「食べてみる? 食べた事あるんだよな?」


「そうね……食べれば判るわね」


 モンスター肉を焼いて、四谷さんの前に持ってくる。


 フロー、フェイと俺の分まで焼いたから、時間がかかってしまった。


今回(・・・)は味付けしてないから、一口食べてから、塩でもふって食べてみてくれ」


「頂きます」

「なぁ~」

「ナァ~」

「はい、頂きます」


 四谷さんは、一口サイズに肉を切り分け、パクッと口に入れモグモグしている。


「ん~っ!? 間違いないわっ。ダンジョン産の肉よ!」


 分かっていただけましたか。


 すると、肉を食べた四谷さんが『ハッ』とした表情になった。


「弥さん、確かにあの肉はダンジョン産の肉でした。ですが、もし命がけなら止めてください。ご両親に続いて、弥さんにもしもの事があれば……」


 確かに初めは命がけだったが、今はそれほど危険でもない。


 泣き出しそうな四谷さんの姿を見てしまった。


「四谷さん大丈夫だよ。 調べたらこのダンジョンに出てくるモンスターは、強くないって書いてあったし、今は楽々モンスター肉をゲットできる。 念のため明日は役所に報告に行く。危険はないから心配しないで」


 やっぱり四谷さんはいい人だった。


 ◇

 ◆

 ◇

 


 俺は役所の最上階の端にある『ダンジョン分室』の前で、順番待ちをしている。


 週明けにもかかわらず、他の受け付けより、かなり()いている。


「番号6番の札をお持ちの方、2番の受付けにお願いします」


 俺が手に持ってる番号札は『6番』呼ばれたので、少し緊張して受付に向かう。


 高めのパーテションで区切られた『2番』の立て札の置いてある机に向かう。


「おはようございます」


「はい、おはようございます。 どうぞ椅子にお座りください」


 椅子に座って『6』と書かれた札を渡す。


「はい、六角橋(ろっかくばし)(わたる)さんですね。 どのようなご用件でしょうか? 」


「はい、うちの家の中にダンジョンが出現しました」


「はぁ!?」


 ……

 …………


 今は個室に移されて、2人の職員と話をしている。

 さらにもう1人は、俺の家に行ってダンジョンの確認を済ませていた。


 確認までの待ち時間で、ダンジョン入り口の管理者登録と、探索者登録の書類を作製している。


 必要事項を記入している間、色々な話が聞けた。


 管理者は、1ヶ月に1度、定期連絡の義務がある。

 管理者は、探索者になるための登録費用が免除になる。

 管理者は、親族又は同居人を管理者代理として、最大3人までたてる事が出来る。

 管理者代理の探索者登録費用は、半額の2万5千円とする。

 管理者及び管理者代理は、ダンジョンモンスターの瞳が赤から青に変化したのを確認した場合、速やかに所定の機関に連絡しなければならない。

 管理者及び管理者代理は、最低でも7日に1度はダンジョンモンスターの瞳の色を確認しなければならない。(ただし、探索者が代理で確認してもよい)

 管理者は可能な限り、ダンジョンに入る者を、探索者か確認しなければならない。



 かなり緩いルールだと思う。

 因みに、ダンジョンモンスターの瞳の色が変わるってのを初めて聞いたけど、スタンピードの前触れで、1ヶ月後にダンジョンの入口からモンスターが溢れ出るサインだと聞いた。


 スタンピードとは、ダンジョンからモンスターが地上に溢れるように出現する事態のことを言う。


 ただ、スタンピードが起きても、俺の家にあるような規模の入口だと、出現しても50匹程度らしい。


 ついでに、探索者の基本的ルールも聞いた。


 探索者は、探索者になったその日から、現在加入している生命保険の資格が失効する。

 探索者は、犯罪による罰則が一般人の5倍から10倍となる。

 探索者は、住居にいる場合を除き、探索者証を常に携帯しなくてはいけない。

 探索者は、ダンジョンで得た収入の一部から税金を支払わなければならない。

 探索者は、攻撃スキルを地上で使用してはならない。(ただし、特別に許可を得た場合を除く)


 まだまだあるけど、大まかに言えばこんな感じだ。


 因みに、探索者の資格を得られる事が出来る人物の審査は、かなり厳しいらしい。


 過去15年に犯罪歴があると、探索者にはなれない。

 納税の著しい延滞、または未納があると、審査はさらに厳しくなる。

 年齢制限があって、18歳から60歳までの人が探索者となれる。


 職員に、18歳からって若くないか? と聞いたら、この年齢制限は今年になってからで、昨年までは21歳から55歳までだったらしい。

 それと、犯罪歴も過去18年から緩和されたって話だ。


 それでも、未成年時代に『オレは若い頃、やんちゃしたからな』とか威張ってるようなオヤジは、暫く探索者になれないって事だ。


 俺個人の考えだと、調子に乗って警察の世話になった人達は、探索者に不向きだと思うから、その資格は得られないんだろうな、と考えた。



 実りのある話を聞いていたら、わりと時間が経っていた。


「はい、お待たせいたしました、探索者の身分を証明するカードです。特殊な方法や材料で造られていて、非常に丈夫なんですよ? 原価だけでも2万円以上かけているので、紛失しないよう充分気をつけてください」



 随分と高いな、なにかしらの最新技術とかが、組み込まれてるかもしれない。

「分かりました。 後ですね、探索者用の武器や防具とか売ってる店が、どこにあるか教えてくれますか? 住所の一覧とか地図なんかあると助かるのですが」


「すみません、そういった地図はないですね。でも役所の地下階には大概設置されています。 もちろんこの建物の地下2階にも、探索者のカードを持っていないと購入できない物が、販売されています。 後は、役所以外だと……あっ、ここがいいですね。今、住所を教えますね」



 ◇

 ◆

 ◇


 役所の所員さんの奨めで、探索者専門店の前までやってきた。


 小規模な倉庫を改装した感じな、店構えだった。

 店の名前は『武藤探索店』この名前で、客が入ってくるのか?


 取り合えず、店の中に入るか。


 俺は、外側からでは確認出来ない店の中に入った。














 ステータス


 ネーム……六角橋 弥

 レベル……3

 ジョブ……一般人

 ヒットポイント……76

 ストレングス……23

 デクスタリティ……26

 マジックポイント……46

 スキル……回復魔法0、火魔法0

 パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職

 コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正





誤字報告、ありがとうございます。


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