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【五十八階層】地下9階のモンスター

大変おくれています。

 

 地下9階に降り立った。



 お馴染みの通路を抜けると、辺り一面緑色の世界だ。


 空は夕焼けのようにオレンジ色に染まり、反対側の空は若干暗い。


 しかし、周囲は見にくいことはなく、普通に観察できる明るさは保っている。


 地下に草原や夕焼けとか非常識なのに、戦う環境は整っている。


 まるで意思ある何かが『飽きさせない世界を用意しました。存分に闘ってください』とか言ってるみたいだ。



 しゃがんで地面を確認する。


 緑色の正体は芝生で、その草をかき分けても土が見えない。


 まるで人工芝だ。


 こんな場所で魔石を落としたら、拾うのが大変だよな。




 索敵のスキルを使い、空の明るい方角に向かって歩く。


 地表で目印になるのは、階地上に帰る魔法陣のある区画だけだ。



 そのままゆっくり歩いていると、正面から人らしき者が3人、こっちに走ってきている。




 そのまま警戒して待つことにした。



 待つこと数秒、索敵に反応が出現した。

 分かってはいたけど、これで確実に敵だと判断できた。


 今回のモンスターは人間そっくり…………じゃなかった。



 半ズボンにポロシャツを着た色の濃い男性かと思ったが、頭部が違った。


 狼男!?

 その狼男っぽいモンスターが3体俺たちに向かって走ってくる。

 瞳は赤く光っている、間違いなくダンジョンのモンスターだ。



「フロー、フェイ、モンスターだ! いくぞ!」


「にゃん」

「ニャッ」


「」


 保険をかけて、速度上昇のスキルを使い、敵を迎え撃つ。


 敵はおよそ10㎝もの長い爪を使って攻撃してきた。


 その攻撃はスケルトンの剣撃よりも速く、細い腕から想像しづらい力を保有していた。


 が、爪を振り回す動きは単調で、リーチも短い。

 余裕で盾を使って防ぐ事ができるし、盾を弾く重さもない。


 両手を使った連続攻撃は素早いと思うが、スケルトンの使う『高速剣』より鈍く『二連撃』より対処しやすい。


 爪を振り回すだけの連続攻撃を防ぎ、躱しながら反撃を繰り返す。



 戦って理解した。

 この敵は、基本能力ではあのスケルトンを上回るが、怖さがない。


 しかも、巧さもない。



 地下9階のモンスターはボーナスステージだった。



 ただ、俺が力を乗せた攻撃を仕掛けると、両爪攻撃が捌き難くなる。


 安全策をとるなら時間をかけて戦わないと駄目なのも分かった。



 戦いが盛り上がってきたところで、両手を広げて抱きつくような動きを見せた。


 速度で完全に上回る俺は、それを避けて背後から思いきり切りつけた。



「あっ」


 モンスターはここで消滅した。


 あれっ? 思ったより簡単に倒せた。


 モンスターは少なくない数の魔石を落としたけど、フローとフェイが気になる。



 フローとフェイはまだモンスターと戦っていた。



 しかし、このモンスターは何なのだろうか?


 狼男みたいだけど、違和感が拭えない。


 狐男? 犬男? どれもしっくり来ないな。



 フローとフェイも戦いにくいのか、まだ倒せていない。

 そして敵モンスターも、小さいフローとフェイ相手に戦いづらいみたいだ。


 ただ、それでも完全にフローとフェイが格上なので、時間さえ掛ければ倒せるだろう。


 待つこと数分、モンスターは塵となって魔石を落とした。



 落ちた魔石は、芝生の中に消えていった。



 うわぁ、拾うのが面倒そうだ。



 フローとフェイに見張りをさせて、落ちた魔石を拾う。


 1体あたり7個のE級魔石を見つけた。

 みんな同数だから、取り洩らしはないだろう。



 これがパチンコ玉と変わりない大きさのF級魔石だったら、拾うのを諦めたかも知れない。



 まだ余力を残してるから、もう少しこの階層を探索してみよう。



 歩いても歩いても、景色は変わりない。

 目印になるのは、上に戻る階段のある一画だけだ。


 変わりない景色のせいで、進んでいる方角は判るんだが、自分の位置を知るすべはない。


「にゃっ」

「ニャ!」


 フローとフェイが、モンスターの接近を知らせてくれた。


 今度は2体だ。


 モンスターの1体をフローとフェイに任せて戦う。


 このモンスターは、強いはずなのだが俺にとって戦いやすい。


 フローとフェイも問題ないみたいだけど、終盤戦になると、モンスターの抱きつくような動作が気になってしまう。


 もしかしたら、大技の予備動作なのかもしれない。


 どんな攻撃が来るのか興味はあるけど、自分で体験するのは、さすがに恐い。


 次は1体のモンスターを見つけたけど、毎回モンスターの方が、先に俺たちを見つけて襲ってくる。


 見通しがいいから、不意を突かれることはないけど、警戒はしておこう。


 ここで、人型モンスターはアイテムをドロップした。


 小さな入れ物にの中に、白い液体が入っている。


 ま、まさか………


 目に力を入れてアイテムを見る。


『ライフポーション(ランク1)』

『別名、回復ポーション原液。ある組み合わせでランクを上げることが可能』


 これは、俺がアイテムショップに行くといつも売り切れだった回復ポーションだ。


 たしか1個15万近くしなかったか?

 その回復ポーションをこのモンスターは1度に4つもドロップしたぞ。


 地下7階で、特上のモンスター肉。

 地下8階で、MP回復ポーション。

 地下9階で、HP回復ポーション。


 都合がいい、良すぎる。


 これから、しばらく地下7,8,9階と探索していれば充実したダンジョン生活がおくれるんじゃないのか。



 俺は、機嫌よくフローとフェイを撫でまくった。


 しかし翌日には、世の中思い通りにはいかないものだと思うことになる。










 ステータス


 ネーム……六角橋 弥

 レベル……29

 ジョブ……軽戦士

 ヒットポイント……874

 ストレングス……162

 デクスタリティ……191

 マジックポイント……208

 スキル……回復魔法3、火魔法3、速度上昇3、索敵3

 パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職

 コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正





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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「フロー、フェイ、モンスターだ! いくぞ!」 「にゃん」 「ニャッ」 「」  保険をかけて、速度上昇のスキルを使い、敵を迎え撃つ。   「」に何が入る予定だったのかちょっと気…
[一言] シレンの時?
[一言] 狼より強い猫ちゃん かわいい! フローとフェイの活躍がもっとみたい! むしろ主人公はどうでもいいwww 猫ちゃん無双求む
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