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【五十六階層】家を建て直そう

 

 俺は、ホブゴブリン乱獲計画の空き時間で、家を建てる計画を練っている。


 役所が紹介してくれた会社は、不動産も取り扱う建築会社の『新世紀22』だ。




『新世紀22』のたくさんある店舗の中で一番近い場所は、家から徒歩で約一時間半。



 もう何回も足を運んだ店だけど、対応が面白かった。





 1回目は親切な対応ながらも、探索者はローンが組めないことを説明されて、賃貸が主な業種の提携会社を紹介されそうになった。


 そのタイミングで、役所からの紹介状を渡すと、担当者が別の人間に代わって、この会社の手掛けていることや、強みを教えてくれて、いくつかプランをプリントアウトしてくれた。



 今度は、探索者カードで発行できる残高証明書と、親から相続した自分の土地の資料も添えたら、担当の人間が2人になった。



 俺は土地があるので、1000万から5000万までのプランを、たくさん見せてくれた。



 そして3回目の訪問で、個室に連れていかれて、店長が挨拶をしてくれた。


 どうやら、俺の探索者カード情報で色々仮申請したらしく『補助金』が使えることと、国庫から借入までできることを説明してくれた。


 探索者はローンが組めないんじゃなかったのか?




「それで、六角橋様は管理者でダンジョンのある土地の地権者様なので、色々と自由に建物を建てることができます」




 色々相談して、自分の家とダンジョンのある家との2戸を建てることになった。


 先ずは、わりと安価な建物を空いている土地に建てる。


 一戸建てで、3LDKと若干小さめの家だが、風呂が広い。


 建物代で1500万円を下回る価格だ。


 この建物が完成して引っ越しが終ると、今の家を取り壊して、ダンジョン付の家に建て直す。


 こちらは、建物の強度やダンジョン入り口前に、戦闘できる空間を用意したりと、かなり金額がかさばるようで、俺個人の負担は3500万円から5000万になりそうだと聞いた。


 価格がはっきりしない理由は、正規に補助金の申請をしていないかららしい。



 話がトントン拍子に進んで、新築の方の契約を済ませた。


 国が推薦してることと、対応が誠実で面白かったので、前金として先に1000万円を支払った。



 実際は1割程度で良いらしいのだけど、多い分には自由みたいだ。




 ところが、休憩中この会社のミスを見つけてしまった。



 わりと長居したので、トイレに入ったら、壁の方から小さな声が聞こえた。



「今回のお客様、超優良物件よ! 1000万を『ぽ~ん』と払っちゃったのよ!? まるで小遣いみたいな感覚でっ!! しかも独身」


「いくら興奮しても無駄だよ、私たちはここで知り得た情報を使って、連絡したらいけないんだから。もちろん親族を紹介するのもアウトだから」


「娘を着飾らせて、お茶汲み係にして、お客様から声を掛けてもらうのは?」


「それもダーメ。第一高収入の探索者なら、美人なんて見慣れてるわよ」


「あ~あ…………ここで良い男を見つけても、義理の息子にはできないか……あの美味しい肉がもう一度食べたい」


「結局それか」



 …………一応耳を澄ませば聞こえる程度だけど、しっかり聞けてしまった。


 もしかしたら、従業員や壁構造の落ち度じゃなくて、俺の聴力の問題だろうか。



 家作りにある程度目処が付いたら、モンスター肉の上くらい、お裾分けしてもいいかな……それとも並の肉にしようか。






 次にやろうと思っていたのは、武器や防具の持ち歩きについてだ。


 まさかスタンピードが身近に起きるとは、意識の片隅にもなかった。


 もう、こんな事態はないだろうけど、用心に越したことはない。



 ただ防具はともかく、武器の携帯は違法だ。


 例外は探索者のウェポンケースだ。


 ウェポンケースはトラベルケースみたいに大きいから、俺の2つ持っているマジックバッグに入らない。



 マジックバッグだから、無理やり入るのかと試したけど入らなかった。


 容量は問題ないけど入り口の大きさが小さかったみたいだ。



 そこで、ウェポンケースを持参して、武藤さんがいるアイテムショップに行って聞いてみた。



「すみません、このケースが入るマジックバッグはありますか?」



 武藤さんは俺の突然の言葉に驚きもせず、にっこりと微笑んだ。


「弥くん、遠征するのかい? 確かにE級魔石をガンガン集めてるから『ドス』のダンジョンの方が効率はいいかもな。ピッタリ入る奴と、容量に余裕のあるやつが三種類あるけど、あっちに行こうか」



 武藤さんに盾を買った時みたいに、別室に連れていかれた。



 武藤さんが持ってきてくれた物は、バックパック型のマジックバッグだった。


 3つともほぼ同じ形だが、色が違う。



「今回用意したのは、どれも容量5倍のマジックバッグだ。違いは身体に取り付けるベルトとデザインだけだ。いま、25㎏のモルタルを持ってきたから、中にいれるよ」



 1つ25㎏のモルタルはマジックバッグに吸い込まれるように入っていった。


「本体が2㎏弱と重たいが、これでだいたい7㎏の重さになった。さぁ弥くん、これを背負って動いてごらん」


 なるほど、広い部屋に連れていったのは、これを背負って動きを確認するためだったのか。



 背中に背負った7㎏の重りは、全く問題にならない。


 バランスは悪くなってるのに一体感がある。


 俺は、特に一体感を強く覚えた、マジックバッグを選んだ。


 メインはダンジョンだから、色は考えてない。


 動きやすくなったから、次からの探索が楽しみだ。









かなりお待たせしております。

私用のため、まだ執筆はしていませんが、これからゆっくり書き始めようかと思います。


今回は、未完のストックを書き足したものになります。


ストックが増えたら投稿します。




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