【五十五階層】ホブゴブリン乱獲計画
最近暑すぎますね。
仕事以外なにもしてない気がします。
自宅に戻ってから翌日、旅行先の自衛隊のお偉いさんに教えてもらった役所に行った。
もちろん、探索者カードの更新とフローとフェイが普通に入ることができる、ダンジョンの場所を教えてもらうためだ。
更新に一時間近く待つと言われたので、ダンジョンの場所について説明された。
同じ県内の3ヶ所で、問題なく入れるそうだ。
そこは、公務員の探索者と、ごく一部の限られた探索者しか入れないダンジョンってことだった。
俺も、ごく一部の人間になったらしい。
あと、注目を浴びてもいいのなら、大半のダンジョンでペット同伴で入れるそうだ。
だけど、自宅にダンジョンがあるから、その場所まで行くことはないだろう。
俺は今、独りで今後の計画を練っている。
問題は狩場の地下7階までの道のりが、わりと時間がかかってしまうことだ。
普通に歩いて戦いながら進むと、半日近くかけてしまう。
既に道のりは暗記してるのにだ。
ここで、1つの作戦を試してみることにした。
作戦名『ほぼ全力で走ってみよう』だ。
今まで早歩きやジョギング程度には移動したことはあるが、本気で走るのは初めてだ。
電波時計以外はなぜかダンジョンでも使えるから、計りながらやってみようと思う。
前提条件に必要なスキルは『索敵』のLVⅡだ。
全力で走るんだから、60メートルの索敵は必要だろう。
念のため、アイテムショップでマジックポーションを2本買ってある。
これには通常のスキル4回分のMP回復ができるやつなんだ。
ずっと『売り切れ』の表示がしてあったが、俺が来たとき、たまたま入荷していたんだ。
「フロー、フェイ長い時間走るけど大丈夫か?」
「にゃん」
「ニャン」
よし行くか。
俺は索敵のスキルを使い、ダンジョンに突入した。
地下7階に到達した。
こ、こんなに早く到着できるものなのか。
60メートル先からモンスターを認識して、攻撃するから、低層階はほとんど先制で戦いをしかけられる。
もう不意打ちに近いんじゃなのか?
魔法を使うコボルトやトレントも迎撃してくるけど、スピードにのったまま攻撃を回避できるから、安定して戦える。
お陰でモンスターとの遭遇回数は減少した。
まあ代わりに、モンスターの再配置の仕組みが解らなくなったが。
移動速度が上がり、モンスターとの戦闘回数が減ったので、7階までの時間はかなり短縮できた。
使った索敵の回数は7回。
馴れれば、6回くらいには短縮できそうだ。
ホブゴブリンと何回も戦うと無傷とはいかないが、順調に倒して肉を集めている。
スケルトンと比べて精神的疲労も少ないし、かと言って雑魚でもないので、今の俺にはベストモンスターと言える。
そんなことを考えていたら、2体のホブゴブリンを見つけた。
「oh、best friend」
「にゃっ!?」
「ナャニャ?」
間違えた、ベストフレンドじゃなくて、ベストモンスターだった。
さあ、こいつは肉を落としてくれるかな?
最近は、ある程度強くなったと実感してるから、およそ3日に1日のペースで休んでいる。
いわゆるスローライフを体験している。
代わりに働く日は、1日あたりのホブゴブリンとの戦闘時間が何倍にも増えたけど。
空いた時間は、あるつてを使って相談をしている。
その話は、また今度にしようか。
毎日ホブゴブリンと闘いながら、毎日握力計を握りしめている。
旅行から帰ったときの、握力は『400㎏』を余裕でオーバーしてた。
人間超えてんなぁ、と思ったよ。
それから、次の日にレベルが上がって、その3回探索後にレベルがまた上がり、もう一回上がった時は5回探索した。
きりの良い握力500㎏達成まで、実動20日も探索した。
レベルは5つ上昇したのは判ったけど、どんどんレベルが上がりにくくなっているのが解る。
ホブゴブリンの倒した数は増えているのにだ。
これからの方向性を決めかねているうちに、ドロップアイテムがずいぶんと増えた。
この1ヶ月で集めたアイテムは、こうだ。
スライムゼリー……120個
トレントの木材……120本
コボルトスパイス……400個
モンスター肉(並)……60㎏
モンスター肉(上)……120㎏
モンスター肉(特上)……640㎏
因みに一桁の位は四捨五入した。
魔石の収穫はF級魔石が7500個で、E級魔石が5700個だ。
これは下二桁目を四捨五入した。
売れば一体いくらになるのだろうか。
武藤さんのところに、換金にいったら呆れられてしまった。
「弥くん、実は次回の換金から、E級魔石の買い取り額が正規の『4000円』になる」
「えっ? それって」
「ああ、弥くんは『億超え』の探索者になった」
なんか『億超え』って言われると、どっかの
海賊みたいだな。
だけど、俺の場合はフローとフェイの力があるから、実質4分の1くらいだと思っていた方が良いだろう。
喜ぶのは4億稼いでからだな。
「武藤さん、これって4億になったら知らせてくれることってできるんですか?」
「……ははっ、弥くんがいくら稼いだかなんて、店側じゃ判らないよ。ただ魔石の買い取り額が変わったから推測できただけなんだ。
うちの権限じゃ弥くんの許可があっても調べることはできないよ」
そういうことか。
なら次の魔石の買い取り額の変化で判るんじゃないのか?
E級魔石があるってことは、D級魔石やC級魔石だってあるはず。
「武藤さん、D級魔石の買い取り額の変化で総収入額が判るんじゃ……」
「ははっ、それは現実的に無理な話だ。『D級魔石』は、二つ目のダンジョン『ドス』の最下層でも出現するかどうかの激レア魔石なんだ」
えっ? D級魔石で激レアだって!?
「もちろん、自衛隊なんかは難なくその魔石を手に入れてくるだろうけど、民間では、極一部の探索者しか、その魔石を持ってくることはできないと思うよ。一応値段は設定されているけど……うちの店でも取り扱ったことがない」
D級魔石は、俺の想像を軽く超えて、ものすごい物だったらしい。
ステータス
ネーム……六角橋 弥
レベル……29
ジョブ……軽戦士
ヒットポイント……874
ストレングス……162
デクスタリティ……191
マジックポイント……208
スキル……回復魔法3、火魔法3、速度上昇3、索敵3
パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職
コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正
弥フローとフェイの快進撃の秘密。
(秘密じゃないけど…………)
①ダンジョンが近い、近すぎる
②猫様の手助けがでかすぎる
③回復スキルを持っている
④毎日ダンジョンに入っても大丈夫な心
⑤探索者になったときのコレクション初期ブースト
⑥3人(匹)のスキルの豊富さ
⑦ダンジョンの強さ(ウノと言われたが、ウノではないようだ)
誤字報告感謝しています。
ありがとう!!